幻想即興曲 響季姉妹探偵 ショパン篇/西澤保彦 ★★★☆☆

ピアノ教師の野田美奈子が、夫の刺殺容疑で逮捕された。しかし、小学生の古結麻里は、事件当時に別の場所でピアノを弾く美奈子を目撃していたのだ。成長した麻里は事件をモデルとした小説を書き上げるが…。事件から40年後にその原稿を受け取った編集者の姉・響季智香子は、新進ピアニストの妹・永依子とともに真相を推理する。あのとき「幻想即興曲」を弾いていたのは誰だったのか。真犯人は?

西澤作品だし、表紙イラストもこんなだし、まさか姉妹で・・・?とか心配しながらの読書ですよ。
まぁ、あのテイストは軽めでしたね。別に要らないけど。
ストーリーはほぼ麻里の作中作の形式で進むので、この姉妹すら必要ないような。
いつもの通りロジックが乱暴ですが、真相はなかなか意外性があって楽しめました。

幽女の如き怨むもの/三津田信三 ★★★☆☆

戦前、戦中、戦後にわたる三軒の遊郭で起きた三人の花魁が絡む不可解な連続身投げ事件。
誰もいないはずの階段から聞こえる足音、窓から逆さまに部屋をのぞき込むなにか……。
大人気の刀城言耶シリーズ最新書き下ろし長編!


<にたっ・・・と嗤ったのです>

第一部はとにかく読み応えがありました。
遊郭が舞台ということで、初代緋桜がこれからどういう目に遭うのかが予想できるだけに、とてもやりきれない気持ちにさせられるのです。
彼女の心の動きが本当に丁寧に描写されていて好印象。深みを持たせるなぁ。
なかなか事件が起こらないのにまったくイライラしないのですよ。もう夢中でした。

でも、第二部からは形式が変わったからか、もひとつ乗り切れませんでした。
第一部では、もう事件なんて起こらなくてもいいや〜という気分でしたが、実際、真相が予想通りで二転三転もナシとくると、やっぱりもの足りなく感じますね。
巻末にある参考文献をかなり解りやすくまとめてくれているので、遊郭事情には詳しくなれたかも。

ココロ・ファインダ/相沢沙呼 ★★★★☆

自分の容姿に自信がもてないミラ、クラスの人気者カオリ、「わたし」というしがらみに悩む秋穂、そして誰とも交わろうとしないシズ。同じ高校の写真部に所属する4人は、性格も、好きなカメラも違うけれど、それぞれのコンプレックスと戦っていた。カメラを構えると忘れられる悩み。しかし、ファインダーを覗く先に不可解な謎が広がっていて…。

<わたしは、絶対にわたしを撮らない>

おお。これはイイ。
コンプレックスに悩む女子高生という設定は辻村作品で読み尽くした感があったのですが、こちらもなかなか完成度が高かったです。

カオリがシズの撮った写真に怒った理由。シズは「何をフレームから外した」のか。
ミラのSDカードに保存されていた「壁」の写真。撮ったのは誰?
カオリが告白された相手を殴った理由は?
シズが撮影後、写真屋でプリントしたはずの写真が、インクジェットでプリントしたものと差し替えられていたのはなぜ?

お気に入りは、一番反転が効いていた「ツインレンズ・パララックス」
どの作品も少しハッとさせられる展開があってよかったです。
相沢さん、こういうのも書けるんだなぁ。
あまりにも繊細な描写に男性作家だということを忘れていました。
そして、女の子視点の方が(邪念がないぶん)すんなりと読めました。

マツリカ・マジョルカ/相沢沙呼 ★★★☆☆

柴山祐希。学校に居場所を見つけられず、友だちもなく、冴えない学園生活をやり過ごす高校1年生。そんな彼の毎日が、学校近くの廃墟に住む女子高生マツリカとの出会いで一変した。「柴犬」と呼ばれパシリ扱いされる憤りと、クールな色香に昂る男子的モヤモヤ感との狭間で揺れながら、学園の謎を解明するために奔走する祐希。そうして彼の中で何かが変わり始めたとき、自らの秘密も明らかになる出来事が起こり?

<マツリカさんの太腿が恋しい>

「原始人ランナウェイ」は既読。

マジックシリーズのポチくんよりも(ある意味)鼻息の荒い高校生・柴山が主人公。
この著者は女の子の魅力をフトモモでしか表現できないのか。
カバーイラストにだいぶ助けられていますよ。

マツリカの存在が不思議すぎるため、ファンタジーを効かせた真相なのかと予想していたのですが、どれも思ったより現実的でダークなものでした。
私としては、最初にマツリカが興味を持つ怪談も真相に絡めて欲しかったかな。第一話だけじゃなくて。

前シリーズとキャラがかぶっている上、魅力が落ちているのが残念。
マツリカの正体が明らかになるにつれ、面白くなることを期待します。

千年ジュリエット/初野晴 ★★★☆☆

こんどの舞台は文化祭。アメリカ民謡クラブ、演劇部、そして吹奏楽部…おかしなキャラクターたちがひき起こす難問題とは?青春ミステリ“ハルチカ”シリーズ第4弾。

<想いはずっと生きていく>

今回は、ひとまず普門館は置いといて文化祭が舞台。
どれも安定した謎解きなのですが、少し印象が薄いかなぁ。

ほとんどの登場人物が個性的なので、逆に区別が付かなくなってしまったかも。
これまでのキャラの記憶がぼんやりしちゃっているからでもありますが。
生徒会長の存在感はさすがですが、お気に入りだった名越がだんだん霞んでしまって寂しいなぁ。
「エデンの谷」では、草壁先生の古い知り合いが登場。これでやっと秘密が暴かれるのかとドキドキだったのですが。謎解きはシンプル。
「失踪ヘビーロッカー」は読後、タイトルにニヤリ。
「決闘戯曲」のオチには「ああ!そんな手が!」と笑えました。
表題作は儚さたっぷり初野ワールドでしたが、少し展開が読めてしまったかな。
次は、普門館に向けて前進して欲しい。
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 2005年8月〜

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