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カマラとアマラの丘/初野晴 ★★★★☆

「カマラとアマラの丘」
セラピストのわたしはハナの遺骨と遺灰を埋葬してもらうために秘密の霊園を訪れ、墓守と名乗る青年と出会った。
そして、わたしは彼にハナとの物語を話すことになった・・・。

「ブクウスとツォノクワの丘」
秘密の霊園を訪れた夫婦。
彼らが引きずってきたシュラフにはビッグフットの遺体が入っていると、夫は言う。
しかし、夫と妻の話は食い違いが多く・・・。

「シネレッタの丘」
霊園を訪れたのは、殺人事件を追う刑事。
殺人現場を目撃したと思われるインコを探していると言う。
そのインコには、とても高い知能があった・・・。

「ヴァルキューリの丘」
裏社会に顧客を持つ弁護士・鷺村は、クマネズミ駆除を請負う「おんじい」の後をつけて霊園にたどり着く。
地元の名士・藤城が土地売買契約後、突然、山林を不法占拠し、その原因におんじいが関係しているのではと怪しんだのだ・・・。

「星々の審判」
僕は保健所に連れて行かれたライカを取り戻し、7ヶ月間一緒に時を過ごしたあと、記憶がぷっつりと途切れてしまった。
そして気づくと、ライカのあとを追って遊園地へと迷い込んでいた・・・。


<すべてはあなたのため>

この世界観。
どれも哀しい童話を読んでいるよう。
余韻の重さが半端なかったです。

前半のトリッキーな仕掛けはもちろん、そのままでも十分インパクトのある真相にさらにヒネリを加えて、より深く衝撃を与えるテクニックが絶妙。
連作としてのオチもちゃんと用意してあって、ホッとしました。
青年の「嘘が大嫌い」と「一番大切にしているものを差し出す」という設定が少し弱かったり、題名になっている伝承や神話もヴァルキューリ以外はこじつけっぽく感じたりもするのですが。でも満足。
ほんと、クマネズミの章は壮絶の一言でした。

千年ジュリエット/初野晴 ★★★☆☆

こんどの舞台は文化祭。アメリカ民謡クラブ、演劇部、そして吹奏楽部…おかしなキャラクターたちがひき起こす難問題とは?青春ミステリ“ハルチカ”シリーズ第4弾。

<想いはずっと生きていく>

今回は、ひとまず普門館は置いといて文化祭が舞台。
どれも安定した謎解きなのですが、少し印象が薄いかなぁ。

ほとんどの登場人物が個性的なので、逆に区別が付かなくなってしまったかも。
これまでのキャラの記憶がぼんやりしちゃっているからでもありますが。
生徒会長の存在感はさすがですが、お気に入りだった名越がだんだん霞んでしまって寂しいなぁ。
「エデンの谷」では、草壁先生の古い知り合いが登場。これでやっと秘密が暴かれるのかとドキドキだったのですが。謎解きはシンプル。
「失踪ヘビーロッカー」は読後、タイトルにニヤリ。
「決闘戯曲」のオチには「ああ!そんな手が!」と笑えました。
表題作は儚さたっぷり初野ワールドでしたが、少し展開が読めてしまったかな。
次は、普門館に向けて前進して欲しい。

ノーマジーン/初野晴 ★★★★☆

終末論が囁かれる荒廃した世界で孤独な女性のもとに現れたのは、言葉を話す不思議な赤毛のサルだった―ひとつ屋根の下、奇妙で幸せな一人と一匹の“ふたり暮らし”がはじまる。壊れかけた世界で見える、本当に大切なものとは―不条理で切ない絆を描き出す寓話ミステリー。

<シズカ、おはよ。今日もきれい>

ノーマジーンって、あのノーマ・ジーン?と思いながら読んでいたら、私の大好きな映画が出てきて嬉しくなりました。

赤毛のサル・ノーマジーンはどんな目的でこの世に生み出されたのか。
なぜ、シズカの家にやってきたのか。
なぜ、リンゴに興味を持つのか。
彼のスーツケースには何が入っているのか。

第三者の登場で、これらの謎が解明されます。
真相はまったくの予想外で驚きました。伏線があったのにね。
でも、第三者の心理に説得力が感じられないのが残念。
どう考えても、ただの「余計なお世話」にしか思えないのですよね。
あと、「現実に起こった事件」を真相に絡めたりするのも唐突感が。

真相を知ったあとの、シズカとノーマジーンの心の距離感がとても切なくて。
ラストの余韻は素晴らしかったです。
ミステリだと身構えずに読んで本当によかった。

空想オルガン/初野晴 ★★★☆☆

吹奏楽の“甲子園”普門館を目指すハルタとチカ。ついに吹奏楽コンクール地区大会が始まった。だが、二人の前に難題がふりかかる。会場で出会った稀少犬の持ち主をめぐる暗号、ハルタの新居候補のアパートにまつわる幽霊の謎、県大会で遭遇したライバル女子校の秘密、そして不思議なオルガンリサイタル…。容姿端麗、頭脳明晰のハルタと、天然少女チカが織りなす迷推理、そしてコンクールの行方は?(帯より)

<まだだ。諦めるな>

ミステリとのバランスが微妙なのか、コンクールにかけるハルタやチカの情熱・・・などの青春ストーリーにあまり惹かれないのが残念。
お気に入りは、ドラマチックで真相解明のシーンが目に浮かぶ「ヴァナキュラー・モダニズム」、一体何が起こっているのか分からずドキドキした「十の秘密」
表題作の陰鬱な雰囲気が、初期の作品を思い出して懐かしかったです。
オルガンリサイタルの真相が鮮やかでため息。
ラストは予想通り・・・というか、これは何かの仕掛けが存在したの?気付かなかったのですが。

初恋ソムリエ/初野晴 ★★★☆☆

廃部寸前の弱小吹奏楽部に所属する穂村チカと上条ハルタ。
吹奏楽部の甲子園「普門館」を目指して日々練習を重ねる二人に、難事件が?
話題作『退出ゲーム』待望の続編!(amazon内容紹介より)


<いまも自分たちの太陽の光を探している>

こちらも面白かったけれど、私は前作の方が笑えたなぁ。
日常の謎というよりも吹奏楽部の成長が軸となっていることを忘れていたので、一話目の「スプリングラフィ」にはガクッときました。
お気に入りは、真相に感動した「アスモデウスの視線」と謎が魅力的だった「初恋ソムリエ」
名越(演劇部)の出番がないことが密かにショックだったり。

初野さんの文章って今までもスラスラとは読めなかったけれど、今回はさらに時間がかかりました。
地の文を端折りすぎなのか、どうもイメージが掴みにくいのです。
真相には満足なのにスッキリしないのはそれが原因かな。

トワイライト・ミュージアム/初野晴 ★★★☆☆


天涯孤独な少年・勇介は、急逝した大伯父・如月教授が遺してくれた博物館で秘密裏に行われているあるプロジェクトの存在を知る。
それは―脳死患者と時間旅行を研究する極秘実験。
過去を彷徨う魂を救うため、勇介は学芸員・枇杷とともに、過酷な時の旅へと出発する!
注目の著者が放つ新感覚タイムトラベル・ミステリ。


<なんのために?ふたりを助けるためだ>

以前に読んだ短編と同じ題名なので、続編を加えて一冊にまとめたものだと思っていたのですが・・・加筆修正ですか・・・。
大筋を知っている上にややイメージが変わってたりして、最後まで違和感が残りました。
これなら短編読まなきゃ良かった・・・。

なぜ博物館なのか、それに基づく発想はとても魅力的なので、背景にもう少しページを費やして欲しかったです。
枇杷がボコボコにされ続けて読むのが辛くなったりするのですが、勇介のサンタ事件や、必死の思いで過去から戻ってきたら学芸員たちはのんびりご飯タイムだったとか、愛嬌のあるエピソードにはほんの少し癒されました。

謎解きが複雑すぎてピンとこないのが残念。
斬新なのですがね~。

退出ゲーム/初野晴 ★★★★☆

穂村チカ、高校一年生、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。
上条ハルタ、チカの幼なじみで同じく吹奏楽部のホルン奏者、完璧な外見と明晰な頭脳の持ち主。
音楽教師・草壁信二郎先生の指導のもと、廃部の危機を回避すべく日々練習に励むチカとハルタだったが、変わり者の先輩や同級生のせいで、校内の難事件に次々と遭遇するはめに―。(帯より)


<ねえ教えてよ、ハルタ>

表題作はアンソロジーで既読。
そのときは、「初野さんが学園モノ!?」という違和感で入り込めなかったのですが、この短編集は素晴らしい!
初期の作品のイメージが薄れてしまうほど、とても素敵な青春ミステリでした。

専門的な知識がないと解けない謎が多いので、日常の謎ミステリとしては米澤作品の方が綺麗に纏まっているんじゃないかな。
でも、薀蓄や理屈をこねまくったりしないので、結構ストレートに楽しめました。
お気に入りは「クロスキューブ」「エレファンツ・ブレス」
主人公・チカとハルタのキャラクターやユーモアのセンスもとっても好み。
そりゃもう気持ちいいほど、「蹴り」が炸裂します。

これは絶対、続編が出るでしょう。期待します!

1/2の騎士~harujion~/初野晴 ★★★☆☆

まことしやかに囁かれる噂。それはこの街に漂う狂気だった。母を亡くし、心に傷を抱える女子高生・マドカが恋に落ちた相手・・・それは最強の騎士『サファイア』。ふたりの出会いは、忍び寄る狂気・・・社会の片隅でひっそりと息づく異常犯罪者たちから大切な人、そして愛する街を守るための戦いのはじまりだった。大人への道程にいる、いまだ“不完全”な彼女たちを待ち受ける、過酷な運命とは。透明感のある文章で紡ぎ出すファンタジックミステリー。

<ずっと、さびしかったんだ>

やっと、初野さんの新刊が!
でも、帯に「新人」って書いてあるんだけど・・・?ハテ?

いや~、でも若干、作風が変わりましたね~。
こちらの方が一般ウケしそうですが、前作『漆黒の王子』がとっても好みだった私としては、学園モノの(しかも特殊な)ノリに戸惑ってしまいました。
マドカと『サファイア』のやり取りに、だんだん拒否反応が出てきたり。
というか、それ以前の問題で、『サファイア』のイメージが定まらない。
表紙イラストが正解なのでしょうが、何しろブンブン飛び回るので、うっかりするとすぐにWiiの『ナイツ』にすりかわってしまうのです。

異常犯罪者たちの心の奥底に潜む狂気や残虐性には憤りを感じ、エピソードの切なさ、やり切れなさには胸を打たれます。
登場人物の独白などはとても印象的ですが、会話がなかなか頭に入ってこないのはなぜだろう?(透明感ありすぎ?)
「さっきの会話にヒントが・・・」とか言われても、ピンとこなかったり。

トリックは斬新だと感じました。
推理は難しいので、「そういえば伏線あった!」という楽しみ方ができます。
ある人物の正体は途中で気づきましたが、ラストはとても良いカンジ。切ないです。
でも(←しつこい?)、『漆黒~』の強烈な余韻と比べると・・・う~ん。

漆黒の王子/初野晴 ★★★★★

ある日、怪我をした<わたし>は暗渠(石造りの下水道跡)で<王子>に助けられる。その暗渠では、<王子>を中心に、<時計師>など中世オランダの職業名を持つ7人の浮浪者が暮らしていた。上の世界では、暴力団内で組員が眠ったまま死に至るという奇妙な連続殺人事件が発生。ガネーシャと名乗る犯人の要求はただひとつ。『彼ら全員の睡眠を私に差し出すこと』
第22回横溝正史ミステリ大賞受賞第1作。


<この世には、どんなにひどい苦痛や不幸を抱えても、犯罪だけは起こすまいと必死に生きているひとがたくさんいるだろう。
でもわたしには無理だ。>


私はいじめや暴力団同士の抗争をテーマにした作品が非常に苦手です。
全体的に暗くて人が無意味に死んでいき、思わず天を仰ぐほど救いのない展開も全て苦手。
・・・しかし、この評価は仕方ない!
満足感で一杯です。

前作『水の時計』と順番に読んで良かったです。
著者のスタンスをある程度理解してからの方が、より胸に迫るものがあるだろうと感じました。
どちらにも共通する感覚は「痛み」です。

物語は暴力団員である秋庭と水樹(上の世界)と、暗渠に迷い込んだ<わたし>(下の世界)の視点で交互に進みます。
上の世界では殺人事件を発端とし、犯人探しや報復で次々と人が死んでいくのですが、暴力描写が過激でまともに読めませんでした。
そして下の世界では、暗渠の住人たちと<わたし>との奇妙な触れ合いが。
どちらも心に傷を抱えている人物ばかりで、読み進めるにつれ、胸が苦しくなりました。

この下の世界が上の世界とどうつながるのか?
眠ったまま死に至る原因とその方法とは?
ガネーシャの正体とは?

謎がとても魅力的で最後までグイグイ引っ張られます。
途中、エピソードが紛らわしかったり、唐突に感じる展開もありますが、読後には気になりません。
筆致はさほどでもないのに、いつの間にか惹き込まれてしまいます。
<わたし>が全てを思い出し、過去を語るシーンは圧巻。
全ての設定が著者の緻密な計算で成り立っていることに気付かされるのです。
前作でも感じましたが、伏線の張り方が見事!

全てがフルスピードで破滅へと向かっていく中、ラスト一行に救いが。
強烈な余韻を残す作品でした。
この切なさはきっと忘れられない。

水の時計/初野晴 ★★★★☆

暴走族<ルート・ゼロ>の幹部である高村昴は、ある晩、謎の男・芥に閉鎖された病院へ案内される。
そこで彼を待っていたのは、脳死状態でベットに横たわった状態で、月夜の晩に限り機器を通して話をすることのできる少女・葉月だった。
葉月は、自分の臓器を必要とする人たちに与えて欲しいと昴に頼むのだが・・・。
第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作品。


<いきる、ことも、しぬこと、も・・・・かなわなかった>

モチーフは、オスカー・ワイルドの『幸福の王子』。
王子の像がツバメに頼んで、貧しい人々に宝石を運んでもらうというストーリーを、現在の臓器移植のテーマに置き換えるという発想が素晴らしい。

2人の出会いから続く3つの章では、臓器移植を必要する患者側のドラマが描かれています。
視力が弱りつつある6歳の子供、マニラで腎臓移植をする手続きをしたOL、心臓疾患のある元高校教師。
昴は彼らの前に姿を現し、「もらうじゆうと、もらわないじゆう」を確かめようとするのですが・・・。

冒頭の『幸福の王子』の引用は途中で終わっていますが、最終章のタイトルで納得。
なぜ臓器の運搬役に昴が選ばれたのか。
ラストの葉月の「独白」に涙が止まりませんでした。

横溝賞のわりにはミステリ色は薄いのですが、伏線の張り方が絶妙です。
ファンタジー性が高いので非現実的なシーンが多く目に付きますし、キャラクターも類型的で新しさがありません。

それでも、私の読後に残ったのはただ感動と深い余韻でした。
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 2005年8月~

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Author:めみ
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