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満願/米澤穂信 ★★★☆☆

人生を賭けた激しい願いが、6つの謎を呼び起こす。期待の若手が放つミステリの至芸! 人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは――。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、フリーライターなど、切実に生きる人々が遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジック。「日常の謎」の名手が描く、王道的ミステリの新たな傑作誕生!

『柘榴』『死人宿』『満願』は既読。
『夜警』殉職した警官の「ヤバイ奴」感がなんともリアル。
『万灯』少し冗長かな。昔のサスペンスっぽい。
『関守』これも直球のストーリー。中盤から「逃げろー」としか思えなかった。
お気に入りは、やっぱり『柘榴』
ラスト一行が印象深くて仕方がない。

リカーシブル/米澤穂信 ★★★★☆

この町はどこかおかしい。父が失踪し、母の故郷に引越してきた姉ハルカと弟サトル。弟は急に予知能力を発揮し始め、姉は「タマナヒメ」なる伝説上の女がこの町に実在することを知る―。血の繋がらない姉と弟が、ほろ苦い家族の過去を乗り越えて田舎町のミステリーに迫る。

<生きるってたいへん>

読書中、ざわざわとした感覚がずっと続くのです。
不安を煽られながらも先が気になり、ぐんぐんと引き込まれました。
町や住人の秘密や「タマナヒメ」の真相も、伏線がしっかり張られていて、予想以上にミステリでした。クールな結末も好みです。
終盤で心がスッと冷えるような展開になりますが、『ボトルネック』ほど非情ではありません。
(やや初野作品のキャラっぽい)サトルの占いや寝言に救われました。

折れた竜骨/米澤穂信 ★★★☆☆


ソロン諸島の領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、“走狗”候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年―そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ?

<迷わず義務を果たせ>

特殊設定ミステリはとっても好みですが、今回はファンタジーな部分に深みが感じられず、なかなか苦戦しました。
それでも、第二章からは<強いられた信条>などの魔術や<走狗>は誰か?という謎、<呪われたデーン人>の特性、彼らとの戦いなど、魅力的な特殊設定に引き込まれました。(街へ出ての調査はこれまた退屈だったけれど。)
ロジックも丁寧で好感が持てるのですが、「そうきたか!」というサプライズがないため、地味な印象が・・・。
犯人も予想通りでした。
「この設定ならではのトリックまたはロジック」にもう少しインパクトが欲しかったなぁ。
あと、ファルクとトーステンは、もっと描き込んで欲しかったなぁ。

追想五断章/米澤穂信 ★★★★☆

古書店アルバイトの大学生・菅生芳光は、報酬に惹かれてある依頼を請け負う。
依頼人・北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説を探していた。
調査を続けるうち芳光は、未解決のままに終わった事件“アントワープの銃声”の存在を知る。
二十二年前のその夜何があったのか?幾重にも隠された真相は?


<ほんとうに、それでもよかったのに>

上質のミステリでした。

全体的に見るとありがちなテーマなのですが、作中作のリドルストーリーと未解決事件「アントワープの銃声」の絡み合う謎に惹きつけられ、夢中で読み進めました。
大体予想がついていても、真相にはため息。
とても丁寧に練られたプロットに、パズルのピースが全て嵌ったような心地よさを感じました。

儚い羊たちの祝宴/米澤穂信 ★★★★☆


ミステリの醍醐味と言えば、終盤のどんでん返し。
中でも、「最後の一撃(フィニッシング・ストローク)」と呼ばれる、ラストで鮮やかに真相を引っ繰り返す技は、短編の華であり至難の業でもある。
本書は、その更に上をいく、「ラスト一行の衝撃」に徹底的に拘った連作集。古今東西、短編集は数あれど、収録作すべてがラスト一行で落ちるミステリは本書だけ!


<ただの物語が、胸を離れない>

意外と苦手な作家さんですが、この作品はとっても好みで楽しめました。

「身内に不幸がありまして」既読
「山荘秘聞」は読めそうで読めない展開。こういうオチは好き。
「玉野五十鈴の誉れ」のラストには呆然。あれを伏線にするか!

最後の一撃で比べると『鬼の跫音』のあの作品には及びませんが、作品全体の完成度の高さはこちらの方が上です。
何ともいえない後味の悪さをたっぷり堪能しました。満足!

インシテミル/米澤穂信 ★★★★☆

時給11万2千円という求人広告を見て、12人の男女が集まった。
彼らは「暗鬼館」という施設で7日間の実験を受けるのだ。
そこで明かされた実験の内容とは・・・?


<短く息を吐く。
  自分はこんなにも臆病者だっただろうか?>


今まで読んだ米澤作品の中で、謎やロジックの展開が一番好みです。
日常の謎ミステリもいいけど、1つくらい殺人事件がないと気持ちが乗らないのだ~。

最初は『晩餐は「檻」のなかで』とカブっているように感じましたが、こちらの方が端正で安心して読めました。
クローズド・サークルという状況下での、鍵のない部屋(←斬新!)、先の見えない廊下などの心理的圧迫にドキドキワクワク。
残念だったのは、古典ミステリをほとんど読んでいないので、各自渡される凶器がさっぱりだったこと。
かろうじて出典が分かったのは、ネイティブアメリカンの人形と『ヴァン・ダインです』くらいかな。

雰囲気や勢いで書き進めたのでは?と疑いたくなるほど荒い設定もあるし、ラストもあまりスッキリしません。
でも、ストーリー展開の面白さは半端じゃなかった。
めちゃお気に入りです。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
結城がどんどん探偵化していくのが不自然で不自然で。
こんなキャラだったの?って。
てっきり、探偵役は安東だと思っていたんだけどなぁ。
そんな安東も、まさかあんな屈折したキャラだったとはねぇ・・・。

岩井を助け出すために、みんなが多数決で「岩井が殺人者」という解決法を取ろうとしているのに、ただ1人推理に拘ってしまう結城は、すでに「空気の読めなさ」を発揮していたのですね。
小市民シリーズの「探偵ゆえの苦悩」が、ここでも用いられているのが面白い。

西野の事件では、彼の凶器だけ見当たらないことから、「西野の凶器が拳銃」で(なんらかの方法で)自殺したのでは?と予想してました。
まさか「ガード」による殺害だとは思いつかなかった・・・。
「夜のルール」や、棺桶の数とか・・・完全に盲点を衝かれました。

須和名さんの一本指は、「1人」の意味だと思ってました。
あのメンバーの中に、邪魔な人物が1人いて、その殺害が目的だったとか。全然違った。
このラストだと、次は須和名さんが主催する側になるってことだよなぁ。
「暗鬼館」の主人の目的は「資料収集」だし、「私と友人たちの生涯の研究は、人の行動の結晶を取り出すことにあります。」と語っていたから、須和名さんはその「友人」の1人で、今回収集された資料を基に、次のイベントを開催するってことかな・・・。
では、あの指の意味はやっぱり「1人」で、彼女のイベントの参加者が「1人」足りなくて探してたってこと?
で、結局、結城が選ばれたってこと?
それとも「ロボット」のような小道具が欲しかった?
何よりも、このイベントで彼女が殺される危険はなかったのか・・・?
・・・よくわからん。

そういえば、「メンバー同士が顔見知り」という設定の必要はあったのかな?
ナイフを持って出て行った彼女といい、やっぱりモヤモヤが残ります。
これは、ぜひ続編を!

夏期限定トロピカルパフェ事件/米澤穂信 ★★★★☆


<小鳩くんは考えることができるだけだから。
共感することができない人だから。
・・・わたしと、おんなじに>


なるほど、の傑作でした。

「シャルロットは僕のもの」「シェイク・ハーフ」は既読でしたが、まさか一連の流れがこんなだとは。
今回、2人が導きだした結論はとても哀しくて残酷。
やっぱり青春時代を過ぎた読者を対象とした作品なのかな。
妙に老成した高校生キャラに腹が立つのは、著者の意図ではないと思っていたけど違うのかも。
そういうのも全部ひっくるめて、青春の痛み(イタさ)を描きたいのかも。
米澤さんのイメージが少し変わりました。
もちろん良い方向に。

真相や真意が二転三転する、2人の駆け引きが見もの。
キャラクターを軸に展開するミステリは、センスを感じさせます。

次回作では、どうぞ小鳩くんのトラウマが治りますように。

春期限定いちごタルト事件/米澤穂信 ★★★☆☆

小鳩くんと小山内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校1年生。今日も2人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに2人の前には頻繁に奇妙な謎が現れる。消えたポシェット、意図不明の2枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中に割れたガラス瓶。名探偵面をして目立ちたくないというのに、気がつけば謎を解く必要に迫られてしまう小鳩くんは果たして小市民の星を掴み取ることができるのか?

いつの間にか、図書館に入ってました。
乙一も私が購入させたくらい、めったに文庫は置いてないのに。
そりゃこれだけ人気があれば納得ですね。

少し変わった男女が、恋愛感情抜きで行動を共にするパターンは『GOTH』っぽい・・・かも?
最初は理屈っぽい小鳩くんに耐えられるか心配だったのですが、すでに著者によって「鬱陶しい」人物に設定されているのが良いですね。
そこが辻村作品とは違うんだな。

日常の謎系なので特筆すべき点はないのですが、2人の不思議な関係とスイーツと好感度大の健吾のおかげでページが進みました。
でも、軽く読めるのとは少し違うような。
爽やかさだけではなく、うっすらと苦みが感じられる青春小説。
その点でも『For Your eyes only』が一番好きです。
タイトルもバッチリでした。

周りに敬遠されるのが嫌で小市民を演じているのに、それならそれで「腹に一物ありそう」と勘ぐられてしまう小鳩くんが不憫でした。
これで上手く立ち回ることができれば人気者(工藤新一 by名コナン)なのに、きっと要領が悪いんだろうなぁ・・・。

小山内さんは大人しさの裏に度々小悪魔系を匂わせていたので、終盤ではやっぱりか!と。
こういう展開は大好き。
でも、過去に何があったのか、まだ引っ張るの!?

ボトルネック/米澤穂信 ★★★★☆

恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕・嵯峨野リョウは、強い眩暈に襲われ意識を失う。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいた。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの姉・嵯峨野サキに出迎えられる。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。僕とサキはこの世界と僕のいた世界との間違い探しを始める。

<どうしようもないことは、受け入れるしかない>

オススメできない傑作です。
読後感の悪さ以上に、この感性とストーリー展開に驚きました。
終盤に至るまで、一体どんな結末なのか想像できないのです。

間違い探しを続ける2人。
その3日間でリョウが目にする決定的な違いの数々。
そこから導き出される答えはあまりに苦く悲しいもので・・・。
終盤の静かな迫力に圧倒されました。
リョウの逡巡はどの結果も絶望でしかない。
八方ふさがりの中、解決策となるラスト一行に呆然となりました。
『ボトルネック』というタイトルが一番残酷です。

犬はどこだ/米澤穂信 ★★★☆☆


東京での銀行勤めを辞め、地元に帰ってきた紺屋は自営業として私立探偵を始めることにする。
犬探し専門のはずが、友人の大南の紹介により、失踪人探しと古文書の解読を受け持つことに。
高校の後輩であるハンペーこと半田に古文書の解読を任せ、自分は失踪人探しに取り掛かるのだが・・・。


『さよなら妖精』に続いて2冊目です。
『妖精』はとても評判も良く感動もしたのですが、あまりにも博学で悠然としている高校生たちにどうも違和感がありました。
どちらかというと金城一紀さんが描く高校生が好みなので。
他の作品に手を伸ばすのを躊躇っていたのですが、この本は良かった!

冒頭、主人公が25歳なのに一人称が「私」なのが不自然に感じました。
でも、よく考えたら立派な社会人なんだし当然なのかも。
最初は、その「私」といい、「諾否」や「否むつもり」や「~だが」などの言いまわしが、どうもハードボイルド?を匂わせているようで馴染めませんでした。
でも読み進めていくうちに全く気にならなくなったのは、他のキャラクターのおかげでしょう。
喫茶店のマスターは伊坂作品に出てきそうな雰囲気。
兄と妹の会話も微笑ましくていい感じ。
ハンペーもいいかげんそうで、しっかりしているところが好印象です。
彼が「動」の役割を担ってくれたおかげで、グンと読みやすくなりました。
主人公のチャットも愉快です。

中盤で、まさかの展開に驚きました。
ここはなんだかいきなり感が。
ラストの抜け殻だった主人公が復活し、走り出す姿は爽快でした。
その反面、ラストの不安感は抜群です。
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 2005年8月~

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Author:めみ
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