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処刑までの十章/連城三紀彦 ★★★☆☆

ひとりの平凡な男が突然消えた。弟直行は、土佐清水で起きた放火殺人事件、四国の寺で次々と見つかるバラバラ死体が、兄の失踪と関わりがあるのではと高知へと辿る。真相を探る度に嘘をつく義姉を疑いながらも翻弄される直行。夫を殺したかもしれない女に熱い思いを抱きながら、真実を求めて事件の迷路を彷徨う。

<六時過ぎじゃなくて、五時七十一分よ>

早い段階で直行の視点に固定されてしまったのと、あらすじにあるバラバラ死体事件がなかなか発生しないことで、直行の推理や義姉との駆け引きが堂々巡りのような印象を受けました。
評判通りなかなかの中途半端な結末ですが、義姉の度重なる嘘や、直行のあやふやな記憶が湧き出たあたりで大体予想がつくので、物足りなさは感じませんでした。
次々と幻想を生み出す筆致はとても心地よく、「五時七十一分」のような謎や意外な事実が少しずつ明らかになる展開はさすが「連城ミステリ」で、楽しめました。

白光/連城三紀彦 ★★★★☆

聡子はカルチャーセンターに通う妹の幸子から4歳になる娘・直子を預かるが、歯医者に行く間留守番をさせていた直子の遺体が庭の土の下から発見される。
当初、直子と2人きりでいた痴呆気味の義父の犯行かと思われたが、その時刻に若い男の目撃情報があり、事件の様相はくるくると変わっていく・・・。


<あの子が殺されたわけを知っているか>

なかなか手を出す気になれなかった作品。でも読んで良かった。
確かに救いは全くなく、とてもやり切れないストーリーなのですが、読む前と後でこれだけ印象の異なる作品は珍しいです。

関係者の告白で次々と明るみになる「殺害理由」。
幼い子供の死に対して悲しむ人間が誰一人いないという状況は、下手なホラーよりよっぽど不気味でした。
読めば読むほど被害者の少女が不憫で仕方がないのに、この違和感のおかげで重苦しさが感じられないのです。

ド派手なサプライズはないし、「最高傑作!」とまでは思いませんが、表現の美しさや二転三転する展開はため息の連続。
やっぱり連城ミステリは別格です。

造花の蜜/連城三紀彦 ★★★☆☆

2月末日に発生した誘拐事件で、香奈子が一番大きな恐怖に駆られたのは、それより数十分前、八王子に向かう車の中で事件を察知した瞬間でもなければ、二時間後犯人からの最初の連絡を家の電話で受けとった時でもなく、幼稚園の玄関前で担任の高橋がこう言いだした瞬間だった。高橋は開き直ったような落ち着いた声で、「だって、私、お母さんに・・・あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか」。それは、この誘拐事件のほんの序幕にすぎなかった。

<愉快、ユカイ、ユーカイ、誘拐>

序盤の誘拐劇はとてもドラマチックな展開です。
何が起こるか全く予想がつかないのですよ。
中盤で明らかになる仕掛けは目新しいモノではないので驚きはありませんでしたが、見せ方が巧いのですよね。
インパクトは『人間動物園』の方が上でした。

連城作品ではいつも情感たっぷりの文章に酔いしれるのですが、今回は結構淡々と読んでしまいました。
あらすじに書かれている魅力的な謎も、あまりにアッサリとした真相で残念。
さらに、取って付けたような最終章のせいで何だか微妙な読後感に。

敗北への凱旋/連城三紀彦 ★★★☆☆

終戦後まもないクリスマスイブ、安宿で片腕の男の死体が見つかった。
容疑者の中国人女性・玲蘭は彼の情婦をも殺し、自らも身を投げる。
痴情のもつれと見られた事件の背後には、恐るべき陰謀と愛の悲劇が隠されていた。
男が残した美しい旋律を手がかりに、戦争に翻弄された男女の数奇な運命が今、明かされる!(本書あらすじより)


<私の戦争はまだ終わってはいなかったのです>

綾辻・有栖川復刊セレクション。
1983年の作品です。

ただ上品なだけではなく、大胆でトリッキーな展開が待ち受けていて、そこに強烈な魅力を感じる連城ミステリ。
今回も、美しくてとても哀しい人間ドラマに、胸が打たれました。

いわゆる暗号ミステリなのですが、解くには特殊な知識が必要だし、ストーリーも強引な展開が多いのが気になります。
でも、真相のスケールの大きさにはド肝を抜かれました。
最初こそ驚きましたが、あとでじわじわ。
単なる奇想では済まされない迫力があります。

片腕の男・寺田の部下だった山田が、ある女性に旋律を伝えるシーンに感動しました。
米澤穂信さんの解説が、熱くて良いです。

穴/ルイス・サッカー ★★★★☆

前から読んでも後ろから読んでも同じ名前の少年、スタンリー・イェルナッツ(Stanley Yelnats)
彼の家系は代々ついてなくて、いつもまずい時にまずいところに居合わせてしまうらしい。
ある日、無実の罪で逮捕され有罪判決を受けたスタンリーは、グリーン・レイク・キャンプへと移送されることに。
そこは名前とは正反対の水のない枯れた湖で、少年たちは毎日ひとつずつ、大きな穴を掘らされていた。


<それもこれも、あんぽんたんのへっぽこりんの豚泥棒のひいひいじいさんのせいだ!>

冒険小説にミステリさながらの見事な伏線がプラスされた作品。
読書中はめちゃめちゃノドが乾きました。

穴掘りの名目は、「人格形成」のため。
毎日、陽が昇る前に起床、穴の縦横がスコップの長さになるまで掘り続ける。
キャンプから百マイル四方にわたり、水がないため、逃げ出すこともできない。
スタンリーが「めちゃくちゃツイてないくせに、いつでも希望を失わない」少年なので、過酷な状況でもあまり悲壮感は漂ってなくてホッとしました。

イェルナッツ家の呪いの元凶や、無法者のケイト・バーロウの過去の物語が、所々に挟まれています。
印象に残ったのは、黒人男性のタマネギ売りと、白人女性の教師との恋。
たった2ページほどにサラッと書いてあるエピソードなのに、これがとっても切ない。
そして、無駄な描写が無いのでは?と思うほど、どれも真相にしっかり結びついているのです。

一度読んだだけでは気付かない伏線もあって、緻密な構成に驚きました。
装丁がネタバレギリギリのような気もしますが・・・。
勧善懲悪の結末も爽快です。

ディズニーで映画化されたのですね。
所長役がシガニー・ウィーバーって、ハマってるかも。
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 2005年8月~

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