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恋細工/西條奈加 ★★★☆☆


一匹狼の職人・時蔵と女だてらに細工師を志す錺工房の娘・お凛。周りと打ち解けず、独り黙々と細工に打ち込む天才肌の時蔵に振り回されながらも、お凛は時蔵に惹かれていく。そして、反発し合っていた二人の心が銀細工を通じてかさなった時、天保の改革で贅沢品が禁止された江戸の町に活気を取り戻す、驚天動地の計画が動き始めた・・・。(帯より)

<あたしはあの人の、めずらしい細工が気になるだけよ>

キャラクターは魅力的(特にお千賀)だけど、ストーリーがやや甘めかな。
とっても良い話なのにどこかアッサリとしていて、あと一歩のところで泣けないのですよね。
「驚天動地の計画」も凄さがあまり伝わってきませんでした。
ラストシーンは良かったです。

烏金/西條奈加 ★★★☆☆


因業な金貸し婆、お吟のもとに現れた謎の若い男、浅吉。
お吟のもとで押しかけ居候を始めた浅吉には、実は秘密の目的があった・・・。
相棒の烏、勘左とともに、浅吉が貧乏人を救う!


<振る袖がねえなら、拵えてやったほうが早えだろ>

烏金というのは、朝に借り、夕方返す金のこと。
金を貸しても、返して貰えなかったら意味がない。
それなら貸した相手を、商売で儲けさせればいいじゃないか。
これは、現在のマイクロクレジットという仕組みです。
資金繰りの出来ない侍や、貧しい子供たちのために、策を練り、奔走する浅吉の姿は立派です。
金儲けの方法がもっと奇抜だったら、面白かったかもしれません。

浅吉のお吟への目的が終盤で明らかになるのだけれど、その謎で最後まで引っ張るのは弱いと感じました。
確かに意外な真相でしたが、私としては最初から解っていたほうが、別の気持ちで読めたのにと少し残念。
数々のエピソードにも心惹かれることなく、どれも印象に残りませんでした。
やっぱり、ゴメスシリーズのインパクトが強すぎます。

芥子の花 金春屋ゴメス/西條奈加 ★★★★☆

上質の阿片が海外に出回り、その産地として、日本をはじめ諸外国から槍玉に挙げられた江戸国。老中から探索を命じられたのはご存知『金春屋ゴメス』こと長崎奉行馬込播磨守。ゴメスは、異人たちの住む麻衣椰村に目をつけるが・・・。辰次郎、NY出身の時代劇オタク・松吉、海外旅行マニア・奈美といった面々はもちろん、女剣士朱緒をはじめ新メンバーも登場。ますますパワーアップした異色時代小説。

<知らざぁ言って聞かせやしょう。華のお江戸の名(怪)物奉行『金春屋ゴメス』たぁおれのことだ!>

続編がこんなに早く出るなんて!
期待通りの面白さで一気読みでした!

裏金春の人々はやっぱり個性的で魅力たっぷりで笑ってしまいます。
個人的にお気に入りの甚三の出番が少なかったのが不満だったりして。
もちろんゴメスのパワーも健在。
そして、前作で裏金春を出て行った十助の代わりにゴメスの世話役となった美女・朱緒。
注目すべきは辰次郎の恋・・・!

阿片の情報を得るため、身分を隠して流人島に潜入するという、お約束のドタバタもあり。
ゴメスの武家試験時のエピソードや、鯉を魚質(?)にしての大番頭とのかけひき、ゴメスと辰次郎の意外な接点など、見所も盛りだくさん。
前作のゾクゾクするような感覚がないのは仕方ないとして、とても楽しめました。
このシリーズ、どんどん続けて下さい!

金春屋ゴメス/西條奈加 ★★★★★

21世紀初頭、北関東と東北にまたがる1万平方キロメートル足らずの領土が、「江戸国」として日本からの独立を宣言する。専制君主と鎖国の問題で日本の属領になった江戸だが、入国するには300倍の競争率を突破しなくてはならない。江戸出身で、後に両親と国外へ出た大学生・辰次郎は、病身の父親の頼みで応募するも1度で当選、入国することに。彼の身請け先は「金春屋(こんぱるや)ゴメス」。ゴメスは、辰次郎に致死率100%の疫病「鬼赤痢」の謎を追えと命じる。

第17回 日本ファンタジーノベル大賞・受賞作。
タイトルに興味を惹かれ手に取ったのですが、読んで良かった!
これは面白いです。

辰次郎はいまどきの若者っぽくスレているのかと思いきや、とても素直で思いやりのある男の子。
ずっと音信不通だった父親と再会し、病身の彼の頼みで江戸行きを決心するのです。
15年前、なぜ辰次郎と両親は江戸を出たのか。
なぜ、辰次郎は1度で江戸の入国許可が下りたのか。
プロローグがとても意味深なため、これらの疑問が解けるあたりは快感でした。
そこから話は一気に、最大の謎「鬼赤痢」へと向かいます。

もう何と言っても、ゴメスを筆頭に、裏金春に関係する人々のキャラクターが素晴らしい!
地蔵のような十助、辰次郎と一緒に入国した江戸マニアの松吉と旅行好きの奈美、ゴメスと唯一渡り合える粟田和泉守。
そして、兄貴分の甚三たちが語るゴメスの武勇伝が、とても愉快でその都度吹き出してしまいます。

一貫したテーマはかなり深刻ですが、この「つくられた江戸」の設定が十分に活かされてます。
真相が明らかになると同時に、江戸の建国に至る経緯が判明するという構成も巧いです。
そして、何を書いてもネタバレになるので自重しますが、私のツボを刺激する要素が満載!
ラストシーンは情景が目に浮かぶようで、じーんときました。

ただ、悪人が多すぎて個性がいまいち掴み辛かったことや、伏線があまりに少なく謎解きの楽しみを味わえないのが残念。
中盤での辰次郎の記憶探しなんて、謎自体はとても魅力的なのに、新事実をただ追いかけるだけなので単調に感じました。

星5つは少し甘いですが、読ませる力とドラマ性は抜群です。
ぜひ、続編を希望します!
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 2005年8月~

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