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ジェノサイド/高野和明 ★★★★☆

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。創薬化学を専攻する大学院生・研人は、そのメールを手掛かりに私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、何を研究しようとしていたのか。同じ頃、特殊部隊出身の傭兵・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、極秘の仕事を引き受けた。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴに潜入するが…。

<それも一種の、進化した人類だと言えるんじゃないか?>

理系も歴史も苦手なので、最初は物語に入り込むのに時間がかかりました。
全体の構図が見えてきてからは一気読み。
いくつものテーマが入り組んでいて、残酷な描写もたくさんあるのですが、史実と真摯に向き合いながらも、エンタメの威力を落とさない技術がお見事でした。
ストーリー展開が本当にドラマチックなんですよね。巧いわぁ。

古賀とイエーガーのストーリーは、唐突な場面転換に気持ちが付いていけないこともあったので、各章に分けて欲しかったです(2人がリンクするシーンにはゾクッとしましたが)。
あと、暗殺チームの4人の人物をもっと知りたかったかも。
ああ~でもいい緊張感でした。

幽霊人命救助隊/高野和明 ★★★☆☆

大学受験に失敗し自殺した裕一は、気付くと断崖絶壁にへばりついていた。頂上に登りつめたと思ったら、そこには3人の男女が暇を潰していた。元・極道の八木、元・会社経営者の市川、元・家事手伝いの美晴。4人が揃った時、上空から神様が降りてきてこう命令する。
「地上の時間で7週間。100人の自殺者の命を救うのだ。」成功した場合、天国へ行くチャンスを与えると・・・。


<これじゃあ、話が山手線だわ!>

キャラクターがとても愉快で、特に元・極道の八木は最高でした。
救助対象者が酷いマイナス思考に陥っている時に、メガホンを使って叫び、必死に助けようとするのですが、その思考の乱し方が独特で笑ってしまうのです。
救助対象者には救助隊の姿は見えないので、「あれ?なんで急にこんなこと思ったんだろう?」と戸惑う姿も可笑しい。

全体的にはとても良い話だけど、少し物足りないなぁ。
いじめられている少年と育児ノイローゼの母親の救助にはグッときましたが、人数を稼ぐためのその場しのぎの解決のようにみられるケースも多かったかも。
救助対象者が少人数で、それぞれもっと濃いストーリーだったら感動できたかもしれません。

「未来が定まっていない以上、すべての絶望は勘違いである」

これはとても良い言葉でした。

グレイヴディッガー/高野和明 ★★★★★

都会の闇を生きてきた悪党・八神俊彦は、運命の一日を迎えるはずだった。生き方を改めるため、自ら骨髄ドナーとなり白血病患者の命を救おうとしていたのだ。ところがその日、都内で未曾有の無差別大量殺人が発生、東京は厳戒態勢に突入した。そして友人の死体を発見した瞬間から、八神の必死の逃走劇が始まった。警察、謎の集団、正体不明の殺戮者から逃げ切らなければ、八神の骨髄を待つ白血病患者が死ぬ。八神は生き残れるのか?謎の殺戮者・グレイヴディッガーの正体とは?

<どうして一駅ずつ近づいてくるのよ?牛歩戦術?>

ミステリとしてではなく、エンターテイメントのジャンルで大好きな作品。再読です。
逃走劇なのに、八神のユニークなキャラのおかげで、ハラハラよりもワクワクさせてくれます。
彼の迷台詞に何度吹き出したことか。
幾重にも絡み合う謎と、スピーディな展開、どれを取ってもひらすら好み。
でも、真相が・・・。
『13階段』が傑作なだけに、ミステリ面はどうかと思いますが、軽く読める点では、本書の方が好みです。
再読なのに、夢中になりました。
やや甘めの満点評価です。

6時間後に君は死ぬ/高野和明 ★★★☆☆


「6時間後に君は死ぬ。」
街で出会った見知らぬ青年にこう告げられた美緒。
江戸川圭史と名乗るその青年は、自分には予知能力があり、他人の未来の映像が浮かんでくると語る。
美緒は自分の「運命」を変えることができるのか?


<明日は、きっといい日だよ。>

タイトルから、タイムリミット系小説かと想像していたら、どれも心が温かくなる良いお話でした。
「6時間後に君は死ぬ」ラストが良い。
「時の魔法使い」
「恋をしてはいけない日」途中でオチに気付いたけれど面白かったです。
「ドールハウスのダンサー」最後のステージに感動。
「3時間後に僕は死ぬ」「6時間後~」のラストが気に入ってたのに、これがその続編で少しがっかり。

結構考えさせられるテーマなのに、全体的に薄味なんですよね。
『夢のカルテ』と同様、ストレートすぎる結末も気になるし。
小説より、映像化して欲しいかも。
次は超サスペンスフルな作品が読みたいです。

夢のカルテ/高野和明、阪上仁志 ★★★☆☆


襲撃事件に遭遇した麻生刑事は、夜毎の悪夢に苦しめられていた。
心理療法を受けようと決心した彼は、来生夢衣という不思議な雰囲気をたたえた女性カウンセラーと出会う。
やがて麻生は、夢衣に特殊な力があることを知る。
彼女は他人の夢の中に入ることができるのだ。
夢の力を信じた二人の愛の物語。(帯より)


高野作品は他に『13階段』と『グレイヴディッガー』を既読。
この作品はご友人の阪上さんと共同でストーリーを作成したそうです。
心理療法がテーマなので、阪上さんはその分野の人かと思ったのですが無関係でした。

夢衣と健介の交互の視点で話は進むのですが、とても読みやすく、2人の距離が縮まる様子、嫉妬や焦りが手に取るように伝わります。
文章もとても女性的で柔らかく、癒しの雰囲気も抜群に良いです。

4章で構成されていて、それぞれ別の事件が起こります。
カウンセラーの仕事についても、興味深く読むことができました。
心理療法では、クライエントがカウンセラーに(誰かの面影を見ることにより)好意を抱く『恋愛転移』という現象が起こるそうです。
もちろん、その立場が逆になることも。
夢衣は、自分の想いが恋愛転移(まがい物の愛)なのではないか、だとするといつか辛い別れが訪れるのではないか、という不安に駆られます。
そして、もし転移しているのだとすると、夢衣は健介に誰を重ね合わせているのか、健介の「守らなければ」という意思は何が原因となっているのか。
これが全編に共通する謎となり、最終章で明らかになります。
焦りすぎたのか、少し拍子抜けの真相でしたが。

読書前に、癒しの物語だという情報を仕入れて、しっかり泣く準備をしていました。
しかし・・・期待が大きすぎたのか、それとも長編だと思っていたからか、少し不満が。
評判はとても良いみたいなので、私の感覚の問題だと思うのですが・・・もっと感動できると思ってたのですよね・・・。
一番気になったのは、各章で発生する事件の扱いが軽く感じられたこと。
夢衣の治療がメインで、そのために用意された事件なのだから仕方ないのでしょうが。
でも、その治療法にも特に新鮮味が感じられないのは残念。
似たような設定なら『製造迷夢』の方が好みです。

でも、題名の『夢のカルテ』はぴったりでした。
とても透明感のある作品です。
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 2005年8月~

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