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翼のある依頼人/柄刀一 ★★★☆☆



仲間はみんな、シャーロッキアンで、美女で、頭脳明晰。慶子さんが特別なのは、名字だけじゃないんです。松坂慶子は、睡眠発作の持病を持つ、若奥さん。結婚によって、あの美人女優と同姓同名になりました。困難な病と、幼い息子(その名も大輔!)を抱える彼女が、年齢も国籍もさまざまな、頼れる仲間たちとともに挑む難事件とは。


<見えざる者は、どうやってトリガーを引いたのか・・・>

「女性恐怖症になった男」
敬吾は叔母の所有するマンションで火災に巻き込まれる。
出火元の部屋は密室状態で、住人の女性が殺害されていた。

うん、まぁ犯人はそうなるよね、という真相。
あ、密室トリックはとっても好みです。
「翼のある依頼人」
慶子の部屋に飛び込んできたインコはいろんな言葉を覚えていた。
ここ最近、発生している鳥の大量死との関係は?

一番お気に入り。
インコが運ぶ魅力的な謎と説得力のあるロジック、そして犯人側からの視点で締めるところがいいなぁ。
「見えない射手の、立つところ」
慶子たちは銃の修理や改良を生業とする弓弦家に招かれる。
そのコレクションルームの中で銃の発砲事件が起こるが、目撃者は銃が空中に浮いたまま勝手に発砲したと証言する。

過去の感想を読み返して、物理トリックがイメージしにくい作家さんだったことを思い出しました。
最後の真相はいくらなんでもやりすぎな気が。
動機も不満。3年前の事件、すっかり深読みしてしまいましたよ。
「黄色い夢の部屋」
ここ数日、ボクのママは眠り続けている。
その上、パパも倒れてしまい、密室状態の部屋の中で誰かに首を絞められたらしい。

いきなりどんだけ不幸に見舞われているのか、雰囲気の変わりように驚いた。

ノンシリーズだと思っていたら違うのですね。
いろいろと設定を持て余しているように感じたのはそのせいかな。
久しぶりの柄刀作品ですが、やっぱり文章の相性が悪いです。
ライトミステリなのに、なかなかページが進みませんでした。

密室キングダム/柄刀一 ★★★★☆


1988年夏、札幌。
伝説的な奇術師・吝一郎の復帰公演が事件の発端だった。
次々と連続する、華美で妖艶な不可能犯罪!
吝家を覆う殺意の霧は、濃くなるばかり。
心臓に持病を抱える、若き推理の天才・南美希風が、悪意に満ちた魔術師の殺人計画に挑む。(帯より)


<魔術には魔術で。絢爛には絢爛で>

評判が良いんだか悪いんだか微妙な作品ですが、私はとても楽しめました!

奇術師の屋敷で起こる、魔術としか考えられない不可能犯罪。
これまで大仰に感じていた文章が幻想的な雰囲気と合っていて、とても読みやすかったです。
およそ900ページの分厚さですが、前2冊よりよっぽど熱中して読めたかも。

次々と密室が現れるのですが、探偵がトリックを見破るのが早くて驚きました。
1つ解決しては、ハイ次の密室~という淡々とした流れなので、ストーリーとしての勢いは感じません。
でも、そこで「犯人がわざと解かせているのでは?」という心理戦が加わる点が、とっても私好みでした。
密室トリックもあまり強引な印象はなく、細かくチェックすればするほど、よく出来ているなぁと感心してしまいました。
相変わらず物理トリックの説明が解り辛く、特に鍵の状態を理解するのに苦労しましたが・・・。
もう少し図解があれば親切なのになぁ。

伏線もバッチリで、珍しく最後まで気持ちよく騙されました。
記憶に残る一冊ですが、何しろ分厚いし、ストーリーを重視する方にはオススメできません。
私もこれが初めての柄刀作品だったら、絶対途中で投げ出していたでしょう。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
私は、完全に山崎兄弟が犯人なんだと思ってた。
プロローグが15年後ってことは時効が成立する直前に、美希風が犯罪を暴きにきたのかなって。(でも読み返すと15、6年前だった)
だって、諏訪の事件なんて、兄が鍵穴を見るように誘導するわ、弟が毒ハンカチで手を縛ったんだと思うわ、怪しい描写が多かったからさぁ。
毒蛇が出てきた時に、あ、違うのかと気付いたけれど。

双子と見せかけて3つ子~の真相って、前に有栖川さんがTVで出題したミステリが記憶に合ったので、顔が焼けた死体が出てきた時に、ぼんやり浮かんだんだよなぁ。
でも、伏線には全く気付かなかった!
いや~お見事でした。

fの魔弾/柄刀一 ★★★☆☆

浜坂憲也は二体の銃殺死体と共に、マンションの一室で発見された。
ドアも窓も完璧に施錠され、誰かが出入りした形跡は皆無。
殺人罪で起訴された憲也は犯行を全面否定、しかし裁判でも重要な何かを隠している・・・。
求刑の刻が迫るなか、南美希風は旧友の無実の証明に乗り出すが、自らも絶体絶命に・・・。(本書あらすじより)


<どこまでが操りだ?>

これも手強かった・・・。
クドイほどの細かい描写と大仰な表現にはなかなか慣れませんが、事件はやっぱり奇妙で面白く、真相は意外で驚きました。

でも、これ、もっと短くてもいいよなぁ・・・。
不要なエピソードが多いのですよ。
しかも、読んでる時に「あ、これ絶対不要だ」と気付いてしまうのです。
伏線の張り方が不自然なのか・・・?
文章も淡々としているので、緊迫感や焦燥感が伝わらないのも、冗長に感じた原因かな。

最後まで読んでも、一体「f」が何を指すのか解らなかったのですが、裏表紙に書いてあったのですね。
「友(friend)信頼(faith)事実(fact)」だそうです。ほぉ。

さて・・・次は『密室キングダム』だ・・・。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
『ユダの窓』は未読だけれど、ドアスコープを使ったトリックって、むか~し、レンズ部分を壊して針金を通して鍵を閉めるとかあったような。
すごくインパクトが強かったのだけど、誰の作品だったっけ?

「覚醒剤のまったく新しい大きな市場」については、ちゃんと3つのパターンを予想してたのだけど、そこから1つに絞るロジックが雑すぎ。
少年野球はともかく、ダイエット企業なんて「調べるのが大変」だけで片付けてるし。

そして、風船の真相に激怒。なんじゃそりゃ~!
犯人も地味だよなぁ。

OZの迷宮/柄刀一 ★★★☆☆

被害者は密室において矢で殺され、あるいは自分の描いた絵の中で溺れ死に、さらには半人半馬の神話内生物として発見される。犯人は閉じこめられたまま殺人を犯し、わら一本を残して密室を構成し、足跡を残さず雪道を歩く。そして探偵は・・・!?本格推理の魅力を余すところなく注ぎ込んだ、圧倒的な傑作!

<だが、作ったものなら壊してみせるさ>

初・柄刀作品です。
以前からアンソロジーで見かけて、とっても興味のあった柄刀さん。
『密室キングダム』がどうしても読みたくなって、とりあえず南美希風シリーズ(他に『fの魔弾』)3冊を借りてきました。

ウキウキしながら読み始めたのですが・・・。文章が合わない・・・。
数ページ進んではそっと栞を挟みポテッと寝てしまうのを繰り返し、読み終わるのに1週間もかかってしまった。
これは物理トリックが苦手とかの問題ではないと思う。
アンソロジーでは、気にならなかったのに・・・なぜ?

「絵の中で溺れた男」「イエローロード」は既読。
いくらなんでもバレるだろ!とツッコミたくなる偽装もあるし、どれも想像しづらいので推理はできないけれど、ロジックは好みなんですよね。
お気に入りは「わらの密室」「イエローロード」かな。
「本編必読後のあとがき」を含む、ストーリー展開にも驚かされます。
残念ながら『オズの魔法使い』にはピンとこなかったのですが。

あ~でも、どうしよう。
チラと横を見ると『密室キングダム』が、でんっと待ち構えてる。
この文章で900ページは耐えられないかもしれない。
・・・とりあえず『fの魔弾』を読んでから考えよう。
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 2005年8月~

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