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スタープレイヤー/恒川光太郎 ★★★☆☆

突然目の前に現れた男にくじを引かされ一等を当て、フルムメアが支配する異界へ飛ばされた夕月。「十の願い」を叶える力を手に、未曾有の冒険の幕が今まさに開く。ファンタジーの地図を塗り替える比類なき創世記!

うーん。今のところ、長編ファンタジーを楽しめる作家は恩田陸だけかなぁ。
恒川作品はやっぱり短編や連作が好みだと確信しました。
「犯罪者」との対面のあたりまではワクワクしましたが、そこからは何の意外性もない展開でほんと味気なかったです。
最初は、スターボートの操作が簡単にイメージできることや「十の願い」の緩すぎる条件が逆に新しいと感じたのですが、さすがに何でもありだと終盤にはシラけてしまって。
夕月が30歳を超えた大人であることや、彼女の過去が結構生生しいこともあり、伝えたいメッセージ(夕月の人生観の変化?)がとっても平凡に思えるのも残念。もっと若者向けでは。

金色機械/恒川光太郎 ★★★★☆

触れるだけで相手の命を奪う恐ろしい手を持って生まれてきた少女、自分を殺そうとする父から逃げ、山賊に拾われた男、幼き日に犯した罪を贖おうとするかのように必死に悪を糺す同心、人々の哀しい運命が、謎の存在・金色様を介して交錯する。人にとって善とは何か、悪とは何か。

<人生、起こること、これみな神事>

約450ページを一気読み。
遥香の回想から始まり、熊悟朗やその他の登場人物の過去など、頻繁に時代が前後するストーリーなのに、読みやすさが半端ないのですよ。
次の章にスッと気持ちが入るのです。
何が善で悪なのか、遥香や熊悟朗の立場ならではの葛藤に考えさせられたり、第三章の真相が恒川作品っぽくて嬉しくなったり。
読後はもっと胸を打たれるような余韻を期待しましたが、エピソードを詰め込みすぎなのか、やや物足りなさが残りました。
金色様がだんだんコミカルになっていくことで、ただでさえイメージしにくいキャラがブレてしまったのも残念かな。可愛いんだけどねぇ。
でも、今回も恒川ワールドを堪能できました。

私はフーイー/恒川光太郎 ★★★☆☆

ヨマブリと胡弓の響き、願いを叶えてくれる魔物、ニョラの棲む洞窟、林の奥の小さなパーラー、深夜に走るお化け電車、祭りの夜の不吉な予言、転生を繰り返す少女フーイーが見た島の歴史と運命とは―。

<都市じゃないから、島伝説だね>

表紙イラストが怖すぎますが、内容はいつもの恒川作品。
島の伝承など非日常的な心地よさを味わう中、生々しい事件によってサッと現実に引き戻される。このブラックさがとても好みなんですよね。
オチやサプライズなんて不要だと思うくらい、物語の力が強いです。
「夜のパーラー」なんて、珍しく綺麗にまとまったので驚きましたよ。

金色の獣、彼方に向かう/恒川光太郎 ★★★★☆

樹海に抱かれた村で暮らす大輝は、ある日、金色の毛をした不思議な生き物と出合う。ルークと名付けて飼い始めるが、次第に大輝の体に異変が起きてきて……。「樹海」と「サンカ」をテーマに、鬼才が読者を神々の世界に誘う、表題作を含む4編を収録。

<恐ろしい話になりますが、
           いいのでしょうか?>


「異神千夜」
還俗して草庵で暮らす遼慶は、ある日泉の近くで一人の男と出会う。
男は遼慶に、最近このあたりで怪しいものが現れなかったかと訪ね、自分の過去を語り始めた。

男・仁風の数奇な人生が読み応え抜群で、異界へ踏み込む流れも違和感なく受け入れられました。
「風天孔参り」
樹海の近くで宿とレストランを営む私の元に、若い女性が訪ねてきた。
彼女は樹海で出会った不思議な集団の話を語り始めた。

風天孔参りの目的や描写がやけに魅力的で、そんな存在を知ったら同行を希望する人が続出するだろうなぁ、とぼんやり。
「森の神、夢に還る」
稲光山に棲む「私」は動物たちに憑依することができた。
ある日、蒸気機関車に乗り込むナツコへ憑依し上京した「私」は、彼女と共に暮らし始める。

ナツコに起こる出来事よりも「私」の語る過去に惹きこまれました。
「金色の獣、彼方に向かう」
猫の墓堀人の掘った穴に潜むモノが呼びかけるシーンは恐怖。
大輝が「手伝い」を拒否したことにホッとしました。普通はそうだよね。

どの作品も私好みのダークファンタジー。
オチなど細かいことを考えずに、純粋に物語を楽しむことができました。

竜が最後に帰る場所/恒川光太郎 ★★★☆☆


恒川光太郎が五つの物語で世界を変える―。風を、迷いを、闇夜を、鳥を。著者はわずか五編の物語で、世界の全部を解放してしまった――。静謐な筆致で描かれた短編は、小説の新たな可能性を切り拓く! (帯より)

短編集です。う~ん、初期の頃ほどストーリーに惹きつけられなくなりました。
一番印象に残ったのは「鸚鵡幻想曲」で、奇妙な設定、意外な展開にとっても満足でした。

南の子供が夜いくところ/恒川光太郎 ★★★☆☆


そこでは不思議はあたりまえ―。
「今年で120歳」というおねえさんと出逢ったタカシは、彼女に連れられ、遠く離れた南の島で暮らすことになる。
多様な声と土地の呪力にみちびかれた、めくるめく魔術的世界。(帯より)


最初はそうでもなかったのですが、読み終わる頃にはすっかり不思議な世界に魅了されていました。
凄惨な出来事も淡々と描写されているのが好み。
お気に入りは、ティユルさんの達観した様子やラストが清々しい「まどろみのティユルさん」と切ないSF「夜の果樹園」
一応連作という形ですが、もう少しユナとタカシをメインに置いても良かったかな。

草祭/恒川光太郎 ★★★☆☆


ひっそりとした路地の奥、見知らぬ用水路をたどった先。どこかで異界への扉が開く町「美奥」。その場所は心を凍らせる悲しみも、身を焦がす怒りさえも、静かにゆっくりと溶かしてゆく。消えたクラスメイトを探す雄也、過去から逃げ続けてきた加奈江。人びとの記憶に刻まれた不思議な死と再生の物語を注目の気鋭が綴る。(新潮社紹介より)

<遠い遠い野原の記憶。神話の世界の物語>

「美奥」という架空の町が舞台の連作短篇集です。

今回は、ドラマ性よりも幻想性に重点を置いている印象。
ストーリー展開は前作『秋の牢獄』の方が好みですが、懐かしさや少し残酷な美しさに魅了され、読み心地は最高でした。
お気に入りは『屋根猩猩』
この女子高生の一風変わった腹黒さが笑えます。

秋の牢獄/恒川光太郎 ★★★★☆

十一月七日、水曜日。女子大生の藍は、秋のその一日を何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。彼女は何のために十一月七日を繰り返しているのか。この繰り返しの日々に終わりは訪れるのだろうか・・・。

<今日は変だ。私以外の何かが間違っている>

「秋の牢獄」
同じ一日を繰り返すという、おなじみのテーマ。
決して、その日に起こる事故や事件を止めるためなどではなく、目的や理由のないまま、不条理にそのループへと取り込まれてしまった主人公。
しばらくすると、同じ境遇の仲間も見つかり、「今日が嵐や大雨でなくて良かった」「二日酔いで目覚めた日じゃなくて良かった」など会話しながら、共に十一月七日を過ごすのですが・・・。
オチらしいオチはありませんが、ラスト一行にハッとさせられました。
「神家没落」
ふと迷い込んだ家から出られなくなってしまった主人公。
外に出るには、誰かを身代わりにしなければいけない。
「マヨヒガ」をモチーフにしたということですが、私は『世にも奇妙な物語』の中でも一番好きな「13番目の客」を思い出しました。
中盤からの展開は、全く想像がつきませんでした。
この中で、一番好きな作品。
「幻は夜に成長する」
とても哀しいストーリー。
不思議な能力を持った少女の波乱の人生が、淡々と描かれています。
少女がビルの屋上で恋人に見せる幻覚は圧巻。
ラストはひたすら凄まじく、虚無感が漂います。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
「秋の牢獄」
隆一の言った「自分たちは本体が脱ぎ捨てていった影」という例えが印象的。
「神家没落」
まさか、あんなに人の良さそうだった男性が、人殺しだったとは・・・驚愕。
恒川作品には、こういう凶暴なキャラが登場することを、ここで思い出した。
現実で暮らすことになった主人公の、その後がもう少し知りたかったかも・・・。
「幻は夜に成長する」
現実っぽい幻が一番恐ろしい、というのは納得。
いつ事故にあってもおかしくないわ。
幻が消え、急激にクーピーが薄汚れていく様子が怖かった・・・。

雷の季節の終わりに/恒川光太郎 ★★★★☆

現世から隠れて存在する小さな町・穏(おん)で暮らす少年・賢也。彼と一緒に暮らしていた姉は、ある年の雷の季節に行方不明になる。姉の失踪と同時に「風わいわい」という物の怪に取り憑かれてしまった賢也は、町のある秘密を知り、追われる身となる。穏を出て、「風わいわい」と共に他所の町を目指す賢也に待ち受けていたものは?

<雷の季節にはよく人が消える>

長編なので『夜市』と比べるとモッサリした印象はありますが、私は序盤からこの物語世界に惹き付けられました。
幽霊が出るという噂の墓町、穏と外の町との境目で見張りをする闇番、外から取引にやってくる商人、そして鳥の姿の物の怪「風わいわい」。
これらの魅力的な設定にワクワクし通しです。
もう少し穏の中での物語を楽しみたかったのですが、早い段階で賢也が出て行ってしまうので名残惜しい気持ちになりました。

何を書いてもネタバレに思えるほど、私は全く展開がよめませんでした。
終盤まで頭の中は「?」で一杯。
特に中盤、全く違う環境で暮らす茜という少女の登場が最大の謎で、それまでの雰囲気が一変してしまい戸惑いました。
でも、その謎と賢也の世界とのつなげ方が巧い!
予想外のサプライズで得した気分になりました。

穏の設定は恩田作品っぽいのですが、こちらの方が詰めが甘いかな。
でも、抜群のリーダビリティと意外な展開、そしてラストの物足りなさまで似ているような印象を受けました。
途中から、ストーリーが失速するのですよね。
賢也の姉が消えた理由や結末も、何だか取ってつけたような真相ですし、ある人物の正体が最後まで明らかにならないのもスッキリしません。

後から考えると細かいことが気になりますが、読んでいる間は夢中でした。
この作家さんは追いかけます。
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 2005年8月~

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