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ヘビイチゴ・サナトリウム/ほしおさなえ ★★★☆☆


ポール・オースターや「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」は未読です。
ただ、「ヘビトンボ~」を映画化した「ヴァージン・スーサイズ」はナナメ観たことがあるので、この作品にも通じる思春期の少女の心の揺らぎ(のようなもの)は感じとることができました。
あまり理解できない世界ではありますが・・・。

とにかく、語り手がコロコロ変わります。
読み辛さよりも、この手法を使う必要があったのかな、と感じました。
ミスディレクションを狙ったわけでもなさそうだし・・・。
謎の人物の視点だけを加えた方が、(少なくとも私の)それに対する好奇心が持続したのではないかなぁ。

それでも「天の前庭」で感じたように、読ませる力はすごいです。
「ヘビイチゴ・サナトリウム」というサイトにアップされている日記が謎を深めます。
この日記と、謎の作家の作品、作家志望の教師の作品、墜落死した女生徒が持っていた作品との関係は?
「ヘビイチゴ」と謎の作家の正体は?
謎が錯綜し、次々と新たな事実が浮かび上がります。
最後は一応、謎が解明されるのですが、また新たな事実が出てきてひっくり返されるのでは?という不安定さが残りました。
どこに着地するのか想像できない、そこが魅力かもしれません。

先に読んだからかもしれませんが、謎や展開の意外さは「天の前庭」の方が好みだったかな。
次回作がとても楽しみです。

おまけのこ/畠中恵 ★★★★☆


「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」に続く、一太郎シリーズ第4弾。
常に図書館を利用している私には珍しく、手元に置いておきたいシリーズです。

一番印象に残ったのは「こわい」
饅頭を食べて気絶してる鳴家のイラストだったので、何となく落語の「饅頭こわい」を想像したのですが、全く違いました。
毎度おなじみ、栄吉の饅頭だったのですね。本当にこわいぞ。
生まれた時から、人はおろか同じ妖からも受け入れてもらえない狐者異(こわい)。
原因は、狐者異と関わると、自分だけでなく周りも不幸に巻き込まれるから。
ラスト、若だんなの行動に涙してしまいました。
その姿を最後まで黙って見守る屏風のぞきにも。

厚化粧のお雛ちゃんと屏風のぞきの会話が楽しい「畳紙」
一太郎と栄吉の幼少時代の冒険を描いた「動く影」
若だんなが吉原デビューする「ありんすこく」では、他の花魁たちにも平等に対応しないといけないのでは?と思っていたので、計画妨害の動機には「やっぱりなぁ」と感じてしまいました。

今回はイラストも手伝ってか、全編、鳴家一色の印象で嬉しい限りでした。
表題作の「おまけのこ」なんて、たまらない!
堀に投げ込まれたり、魚に助けられたり、鴉につままれたり。
「ぎゅわわ・・・」やら「きゃわきゃわ」やらの鳴き声も、全てが可愛らしい。
若だんなも、数ある鳴家の中から「うちの子」を見分け(聞き分け?)られるなんてさすがです!
妖に愛されるわけですね。
屏風のぞきもいろんな発見があったし大満足♪

あなたが名探偵/泡坂妻夫・他 ★★★☆☆

<事件の解決は、あなたにお任せします。>
人気作家7人からの難題に、あなたは解答をだせますか?


まずそれぞれの事件編があって、最後にまとめて解答編という形式です。
しかし・・・短編だからか、どれも真相が衝撃的でなかったのが残念。

『蚊取湖殺人事件』 泡坂妻夫
泡坂さんは「しあわせの書」しか読んだことがありません。
独特の文体で、トリックや伏線がとても丁寧でした。
『お弁当ぐるぐる』 西澤保彦
美人なのにオヤジ臭くガサツな刑事、佐智枝。
佐智枝に好意をもたれている、上司の美紀(よしき・男)。
美紀はキャリアで超美形なのに、クマのぬいぐるみのコレクター。
事件現場でも、佐智枝が美紀に対してピンク色の妄想を抱いている一方、美紀の心の中は「気になるクマが売れてしまわないか」の不安でいっぱい。
このキャラが面白かった~。シリーズなのかなぁ。
『大きな森の小さな密室』 小林泰三
普通の設定だったので意外でした。
おどろおどろしい作品しか読んだことがなかったので。
この本の中では、一番面白かったです。
この短さで、ちゃんとミスディレクションを入れるなんてさすが!
『ヘリオスの神像』 麻耶雄嵩
木更津悠也シリーズです。
殺人現場の不可解な状況に、まったくお手上げでした。
木更津の真相にいたる論理はお見事!
疑問を挟む余地もなく、スッキリしました。珍しく。
しかし、アイスコーヒーのことを未だに「冷コ」って言うかなぁ。
そこにひっかかる。
ラスト、また香月の名探偵・木更津に対する尊敬度がアップします。
『ゼウスの息子たち』 法月綸太郎
綸太郎シリーズです。
ギリシャ神話と上手に絡めていて、なかなか面白かったです。
ただ1箇所、「綸太郎、無神経!」と感じる場面があって、ますます嫌いに(笑)。
『読者よ欺かれておくれ』 芦辺拓
「グラン・ギニョール城」の森江春策シリーズです。
う~ん・・・導入部分が長い!
トリックにすっかり騙されたけれど(笑)。
しかし、解答編も長いってどうよ。
『左手でバーベキュー』 霞流一
ああ~、やっぱり大好き紅門さん!
動物シリーズを制覇しようと思いながら、ついつい後回しになってる。
この作品も面白かった!また変なトリック使ってるし。
でもやっぱり長編が読みたいわ。

容疑者Xの献身/東野圭吾 ★★★★★


『探偵ガリレオ』『予知夢』に続く、湯川シリーズ第三弾。

今回もページを捲る手が止まらないほど、没頭しました。

叙述形式ということで、主人公の偽装工作やアリバイの意図などが、読者に全く提示されません。
最初から仕掛けられたトリックにはすっかり騙されました。
終盤の謎解きは、もう驚きの連続です。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
巧いと思うのは、中盤、靖子に想いを寄せる男性が登場してきたことによる、石神の嫉妬に駆られた(と読者に思わせる)行動すらも、石神の計算であったということ。
これらの行動で、もしかして、元夫に靖子のアパートを教えたのが石神で、彼から靖子を守ることで、彼女の信頼を得ようとしたのかと深読みしてしまいました。
それだと、石神に柔道の心得があるのも納得できますし。
どうも「白夜行」で、どんな行動にも裏があると疑ってしまうクセがついてしまったようです。

自分の決意を強固にするために、引き起こしたもう一つの事件。
賛否両論あるでしょうが、こんな動機が今まであっただろうか、という点では評価したいです。
何が何でも靖子を守り通そうとした彼の愛情の形とその深さに、胸が苦しくなりました。

ジュリエットの悲鳴/有栖川有栖 ★★★☆☆

初期短編から最新ショートショートまで全12編。

著者のシリーズキャラクターが登場しない作品を、読むのは初めて。
大半の作品が、「そうかぁ。キャラに助けられていたんだ・・・」とつい思ってしまうほど・・・地味です。
いや、それでも十分面白いのですが。

一番のお気に入りは、『登竜門が多すぎる』
東野圭吾さんの『~笑小説』に出てきてもおかしくないほど、風刺が効いてます。
推理小説の新人賞への応募を目指している男性に、推理作家必携のハードウェアを紹介するセールスマン。
このソフトが、面白い!
難解な作品の漢字とルビを一括変換する『虫太郎』(←小栗?)。
トラベルミステリに必須である時刻表の挿入が容易にできる『京太郎』(←西村?)。
など、他にもバカバカしい機能が盛りだくさんで、ニヤニヤしながら読みました。
宮部みゆきさんがこの作品を「面白い!」と評価されたそうですが、特に原稿に行き詰まったときの作家は、考えることが一緒なのでしょうね。

驚いたというか巧いなぁと感じたのが、『世紀のアリバイ』
彼らの正体が○○○兄弟とは意外でした。
もちろん、トリックにはアレを使ったのでしょうね。

表題作は悲恋モノなのですが、とてもせつなく、余韻が強く残りました。
ラストにもってくるところがいいですね。

あまりミステリっぽくはないのですが、たまにはこんなのもいいかなと。
12編の中にはショートショートも含まれているのですが、この作風といい、赤川次郎さんの作品を思い出しました。

姑獲鳥の夏/京極夏彦 ★★★☆☆


<君は猿に似ているね。>

京極堂の『この世には不思議なことなど何も無いのだよ』よりも、上の榎木津の台詞の方が印象深い私。

初・京極作品です。
しっかりと気合いを入れて読み始めたのですが、それからはもう一気読み。
長さが気にならないと言えば嘘になりますが、次へ次へと読ませる力がすごいです。

キャラクターが良いですね。
京極堂はもっと寡黙で堅物なイメージだったのですが、妹とのやりとりなど、人間っぽくて意外でした。
榎木津はとてもアンフェアな設定なのに、所々で彼がつぶやく断片的なヒントが気になってしまい、焦ってページを捲ってしまうのです。
この、とても個性的な2人に「君が一番変わっている」と言われる関口って一体・・・。

昭和20年代の時代背景が、事件の全容と巧く絡み合い、よりミステリアスな雰囲気を醸し出しています。
序盤で長々と語られる京極堂の薀蓄を、我慢して読んだことが報われました。
真相への重要な伏線だったのですね。
おかげで、超力技のトリックも無理なく納得。
ラストも京極堂の怒涛の論理が繰り広げられ、驚きの真相や、思いもかけぬグロ描写に「ひゃ~」とおののくのですが・・・。
ミステリ面においては、多少、迫力で押し切った感がします。
私の読みが甘いのか、いくつもの伏線が終結されていく爽快さが、あまり味わえなかったのが残念。
冒頭の「独白」の語り手には驚きましたが。

最近、浦賀和宏の『安藤シリーズ』を立て続けに読み、気が狂いそうになったのですが、何となく読後感が似ています。
この作品で、好きな探偵キャラが増えました。
京極作品、これからゆっくり追いかけたいです。

中空/鳥飼否宇 ★★★☆☆


横溝正史ミステリ大賞・優秀賞受賞作です。

第一印象、鳥飼さんの本なのに、別人が書いたのではないかと勘繰ってしまいました。
不条理な物語展開などは無い、正統派のミステリー。
でも、鳥飼作品と思わずに評価すると、こちらの作風も好きです。

まず、この作品に出てくる「竹茂村」の舞台設定がとても魅力的。薩摩弁が一層、雰囲気作りに役立ってます。
「老荘思想」は、学校で習う程度の知識しかありませんが、故事成句などには興味があるので、本書で語られる逸話はとても楽しめました。

村の名前の通り、物語には竹がめいっぱい出てきます。
先日、クイズ番組で「竹は数十年に一度、花を咲かす」ことを知ったばかりだったので、タイムリーな題材に嬉しくなりました。
「竹取物語」の意外で愉快な解釈も、良かったです。
竹の実なんて、考えたこともありませんでした。
あと、「笑」はなぜ<たけかんむり>なのか?は、謎のまま。気になります。

小道具も、しし罠、日本刀、神社、結界など、不気味で意味深なモノばかり。
あまりコテコテした横溝風作品は苦手なので、少しとぼけたトビさんや、明るいネコのキャラのおかげで、サクサク読み進めることができました。

謎の解明やトリックには、多少強引さがあるかもしれません。
私は終始、雰囲気を重視したので、あまり気になりませんでした。

暗い宿/有栖川有栖 ★★★☆☆

<チェックアウトはできますが、去ることはかないません。>
火村&アリスシリーズ、4つの本格ミステリ集。


「暗い宿」
登場人物が少ないことと、特殊な現場のため、犯人は予想がついたのですが、「再度、床下を掘り返した理由」にはうなされました。
アリスが事件に巻き込まれる経緯が面白いです。
「ホテル・ラフレシア」
この、ホテルの犯人当てゲーム、参加したい!
ただ、謎の中年夫婦とこのイベントが、あまり絡んでなかったような・・・?
「ホテル・カリフォルニア」の歌詞に沿った、シュールなオチには愕然としました。
こんな虚無的な歌詞だとも知らなかったです。
そういや、哀しいメロディーですよね・・・。
「異形の客」これは、結構ストレートなミステリです。
異形の客とは顔を包帯でグルグル巻き、サングラス、マスクで扮装している客のこと。
このトリックは予想がついたのですが、被害者の行動の理由がうやむやになっているのが残念。
ちゃんと、解明して欲しかったなぁ。
ラスト、火村の「自首しないね?」の台詞に驚きました。
こういう追い詰め方もあるのですね。
火村の犯罪への憎悪が感じられました。
「201号室の災厄」
火村、ボコボコにされます(笑)。
酩酊状態でホテルの部屋を間違えただけで、とんでもない災難に巻き込まれ・・・。
しかし、火村はボクシングの経験もあるんですね~。
フェイクで時間稼ぎをするなんて、さすがです。

今回は旅先で事件に巻き込まれるパターンの短編集だったのですが、こういう方が好みかも♪
毎回のことですが、アリスが推理小説のネタを探すのに「あ~でもない、こ~でもない」と悩む様子が、まさに著者の姿のようで愉快になります。

禁じられた楽園/恩田陸 ★★★☆☆

10年近く前、「球形の季節」で衝撃を受け、デビュー作の「六番目の小夜子」で心をわし掴みにされた私としては、恩田さんのファンタジックホラーは大好き。
でもでもでも、これは怖すぎです!
「月の裏側」を読んだときも、スティーヴン・キングっぽいなぁと感じたのですが、この作品は一層、雰囲気が似ています。
ゴシック体の多用はもちろん、幻覚の見せ方のあたり、「シャイニング」を思い出したりして。
(パノラマ島のテーマは乱歩ですが。)

謎のアーティスト、烏山響一は、冒頭からすでに胡散臭い雰囲気を放ってます。
登場人物は彼と出会うことで、忌まわしい過去を思い出す思い出す思い出す・・・。
封印した記憶を掘り返されることって、一番の恐怖だろうなぁ。
すごいです。響一の負のパワー。
そのくせ、喋りだすと結構普通なんですよ。もっと無口でないと。

頭上を飛ぶカラスの大群を「クレイアニメ風」と表現したり、登場人物が目にする幻覚や禍々しいモノも、その描写が見事なので、不気味さが倍増します。
切断面とか・・・カステラパンとか・・・。
そして、「柔らかい」インスタレーションで、生理的嫌悪感が頂点に。
この映像化は、勘弁願いたい!

物語は全体的に暗~く進むのですが、決して「地味」ではありません。
それどころか、すごい臨場感。
中盤からクライマックスにかけて、圧倒されます。
ある人物が登山の途中で豹変するシーンには驚いた・・・。
全く予想してない展開だったので、ゾッとしました。

どうまとめるのだろうと心配していたのですが、このラストで良かった~。
長い悪夢から、解放された気分です。
どうでも後味を悪くできる流れだったので、よけいにホッと。

しかし、主人公のお姉さん、かっこいい・・・っ!
ラストの登場シーンは、頭の中でファンファーレが鳴り響きました。
今回は、全員、じめっとしたキャラだったから、お姉さんの婚約者をもっと絡ませてほしかったなぁ。

なんだか、凄いものを堪能した気分です。

白い兎が逃げる/有栖川有栖 ★★★☆☆


<追う者と追われる者はいつ逆転したのか?>
火村&アリスシリーズ、4編の傑作本格推理。


「不在の証明」
あとがきで、有栖川さんは作品に「双子」を積極的に取り入れると書いてありました。
魅力的な題材ですが、その設定の必然性を考えると、すぐにトリックが判明してしまうのが難点かと思っていたのですが・・・。
アリスの「目と違って、耳は閉じれない」発言から、導き出された真相は見事でした。
トリックのマンネリ化の心配は不要ですね。
「地下室の処刑」
こんな状況に立たされたら絶対イヤ。
犯人の動機は、とても斬新でした。
でも、そんな人がいてもおかしくない時代なのですよね。
妙に納得しました。
「比類のない神々しいような瞬間」
2つのダイイングメッセージが出てきます。
1つ目は、その分野に詳しくないので、真相を明かされてもピンとこなかったのが惜しい・・・。
2つ目は、被害者が意図したメッセージとは違う解釈で、犯人を追い詰めるのが面白い。
どちらも、伏線と思われる箇所をチェックしていたのですが、どう結びつくのかが全くわかりませんでした。
「白い兎が逃げる」
ミステリーランドでも感じましたが、有栖川さんは、ストーリーテラーとしても才能を感じます。
話の導入や、会話部分や、アリスの独白など、読んでいてとても愉快なのです。
この話の展開には驚きました。なるほど~。
時刻表トリックは苦手なのですが、関空や大阪・姫路駅など、馴染みの深い場所がキーポイントだったので、イメージしながらとても楽しく読めました。
有栖川さんは、関西を舞台にしてくれるので嬉しいです。

しかし、スーパーはくとの「はくと」が「白兎」だとは知らなかった!
因幡の白兎は有名だけど・・・。
「スーパーな白うさぎ」なんて、そりゃ速いわ。
ここは、トリビア気味に驚きました。

女王様と私/歌野晶午 ★★☆☆☆

真藤数馬は典型的なオタク男。
毎日、コンビニでお菓子を買い、週一でビデオ屋、月一で秋葉原に出かけているので、自分は「引きこもり」ではないと考えている。
ある日、可愛い妹「絵夢」とデートに出かけた日暮里で、僕は『女王様』と出会う。


『葉桜~』の衝撃を期待すると、がっかりすると評判の問題作。
私は『葉桜~』より先に、同じ文藝春秋から、同じ時期に、同じトリックで出版された某作品を読んでいたので、どうしても後者の方が評価が高くなるのですが・・・。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、内容に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
・・・いや~、これはキツイ。
何がキツイって、女王様と絵夢の台詞ももちろんなのだけど、プロローグで真相が読めてしまったことが一番こたえました。
延々と、かなりイタイ台詞のラリーを耐えたのに・・・不安的中。
それとは別に、もう一つ予想していたトリックがありまして。
そのトリックを、かなり早い段階で暴露してしまう手法は斬新だし驚きました。
でも、そのせいで元々入り込めなった設定にプラスして、どんな視点で読めば良いのか困惑してしまいました。
警察に追われているのに、緊迫感も臨場感も皆無なのですよ。
これも、もちろん著者の狙い通りだとは思うのですが、私はすっかり冷めてしまい、後はもう惰性でページを捲るだけになってました。
大半がアンフェア風味の謎解きの中、「なるほど!」と唸ったのは、4つの願いのラスト1つ。
意外なトコロで使われていました。これは納得。
あと、見開きの文章もポイントです。
薄い本ながら、完読するのに、かなり時間がかかってしまいました。
100ページ近くに亘って、何も事件が起きないのもどうか。
『私、いったい何を読まされているんだろう・・・』と、何度自問したことか。

子どもたちは夜と遊ぶ/辻村深月 ★★★★☆

D大学の孝太と浅葱は最優秀賞にはアメリカ留学が副賞として付いてくる論文コンクールに応募するが、最優秀賞は『該当なし』で『C大学の「アイ」という名義で投稿した人物が名乗り出れば授与する』という結果に。そして結局「アイ」を特定することはできなかった。2年後「アイ」と「シータ」による連続殺人事件が発生。現場には謎のメッセージが残されていた。

孝太、浅葱、月子、恭司は同じ大学の仲良しグループ。
月子は今風の女の子。
派手でオシャレ好きだし、気が強く、自分が可愛いことも知っています。
前作がなんとも弱っちい主人公だったので、このキャラはまだ好感が持てそうだったのですが・・・甘かった。
主人公はやっぱり友達のことでウジウジ悩み、周りの美少年たちが「俺たちが守ってやるよ~相手にちゃんと言ってやるよ~」と甘やかす。
そして「いいの、あの子は本当はいい子なの。ずっと親友でいたいの。」と友達をかばう。
・・・もうこのパターンはお腹いっぱいっ!
前作は高校生の設定だったから、友人関係の悩みは理解できたのですが。
今回は大学生だし、主人公は同じ大学に仲の良い友達がいて、問題の友達は他の大学に通っている子。
・・・これは何とかなるでしょ?会わなきゃいいじゃん。
携帯で呼び出されても、ホイホイ行くなよ!
別にその友達は、暴力を振るったりお金をたかったりするわけでもなく、上品で美人なお嬢様で、可愛い月子に常に嫉妬していて、自分の知らない話をすると不機嫌になる。
なので、月子は彼女と会うときには、ゴージャスな巻き髪をやめ、化粧も控え、ネイルアートしている爪も切ることになる。
毎回そんなビクビクしながら会っているくせに「彼女は初めはいい子だった。きっとあの頃の彼女に変わってくれる」と信じているから手に負えない。
でも、他の描写を読むと、月子が「ガツン!」と言えるタイプに思えるのですよ。
接する相手によって、この子の印象がコロコロ変わるのです。キャラに一貫性がないというか。
あと、月子のゼミの秋山教授にどうしても不快感がありまして。
50代半ばで、テレビや本の出版で著名な人物なのだけど、女学生を「~ちゃん」呼びし、「可愛い」と「大好き」を連呼する。
『セクハラになりかねないけど、彼が言っても許される雰囲気がある』と説明されても、すんなり納得できないくらいの気持ち悪さを感じてしまいました。(彼のゼミが女学生ばかりというのも効果的。)

・・・でも、下巻がとても良かったのですよね。
手遅れながらも、悲しい誤解が解けたとき、驚いたし、切なくて仕方がなかった。
ここで一気に月子の株が上昇。
連続殺人のメモを残す方法やその真相は、以前読んだ作品とほぼ同じだったので新鮮味はゼロ。
でも他のサプライズは素直に楽しめました。
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 2005年8月~

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Author:めみ
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