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夢のカルテ/高野和明、阪上仁志 ★★★☆☆


襲撃事件に遭遇した麻生刑事は、夜毎の悪夢に苦しめられていた。
心理療法を受けようと決心した彼は、来生夢衣という不思議な雰囲気をたたえた女性カウンセラーと出会う。
やがて麻生は、夢衣に特殊な力があることを知る。
彼女は他人の夢の中に入ることができるのだ。
夢の力を信じた二人の愛の物語。(帯より)


高野作品は他に『13階段』と『グレイヴディッガー』を既読。
この作品はご友人の阪上さんと共同でストーリーを作成したそうです。
心理療法がテーマなので、阪上さんはその分野の人かと思ったのですが無関係でした。

夢衣と健介の交互の視点で話は進むのですが、とても読みやすく、2人の距離が縮まる様子、嫉妬や焦りが手に取るように伝わります。
文章もとても女性的で柔らかく、癒しの雰囲気も抜群に良いです。

4章で構成されていて、それぞれ別の事件が起こります。
カウンセラーの仕事についても、興味深く読むことができました。
心理療法では、クライエントがカウンセラーに(誰かの面影を見ることにより)好意を抱く『恋愛転移』という現象が起こるそうです。
もちろん、その立場が逆になることも。
夢衣は、自分の想いが恋愛転移(まがい物の愛)なのではないか、だとするといつか辛い別れが訪れるのではないか、という不安に駆られます。
そして、もし転移しているのだとすると、夢衣は健介に誰を重ね合わせているのか、健介の「守らなければ」という意思は何が原因となっているのか。
これが全編に共通する謎となり、最終章で明らかになります。
焦りすぎたのか、少し拍子抜けの真相でしたが。

読書前に、癒しの物語だという情報を仕入れて、しっかり泣く準備をしていました。
しかし・・・期待が大きすぎたのか、それとも長編だと思っていたからか、少し不満が。
評判はとても良いみたいなので、私の感覚の問題だと思うのですが・・・もっと感動できると思ってたのですよね・・・。
一番気になったのは、各章で発生する事件の扱いが軽く感じられたこと。
夢衣の治療がメインで、そのために用意された事件なのだから仕方ないのでしょうが。
でも、その治療法にも特に新鮮味が感じられないのは残念。
似たような設定なら『製造迷夢』の方が好みです。

でも、題名の『夢のカルテ』はぴったりでした。
とても透明感のある作品です。

凍りのくじら/辻村深月 ★★★☆☆

藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから5年。
残された病気の母と2人、毀れそうな家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、思い掛けず現れた1人の青年・別所あきら。
彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう・・・。


前2作で意図せずとも理解不能な女を描いてしまう筆力を自覚したのか、今回の主人公への不快感はもうぶっちぎりトップです。
それでも前作は、上巻での嫌な女のイメージが下巻で好転する効果があったので良しとしますが、今回は全くもって無理。
許容範囲を軽く超えました。

一番驚いたのは理帆子の金銭感覚。
彼女のポリシーは『時間とお金を天秤にかけるなら迷うことなく時間をとる』。
制服のシャツも気に入ってるワンピースも全てをクリーニングに出し、勿体無いという感覚がない。
そして、誘われるとすぐに合コンに出かけるほどフットワークが軽い。
そこで思うのは『どこからそのお金は出てるの?』ってこと。
父親が失踪、母親が入院中なので、入院費や生活費は父親の親友が工面してくれている。
特に記述が無いので、理帆子はバイトもしてないし、きっと彼女の遊興費は大学の費用まで出そうと言ってくれる父親の親友からの生活費から出ていると推測。
頼るのは仕方が無い状況かもしれないけれど、彼女は申し訳ないという気持ち、または謙虚な態度を一切表さないのです。
自分で稼いだお金でもないのに、上記のポリシーを言い放つ彼女の厚顔さが最後まで気になって仕方ありませんでした。
それとも、こんな考えは彼女の言葉を借りると「貧しい」のかしら。

あと、理帆子と「他人に対する現実感の薄さ」が共通している元カレの若尾(注:とびっきりの美形)。
彼の性格が原因で別れたけれど、呼び出されると会いに行く。
どうして読み手も解るくらい危険な男なのに拒否しないのか。
全ての作品に通じる「依存し続ける関係」にはもうウンザリ。
感情移入できないってば。
ただ、彼の外見が変わった途端、理帆子がドン引きするのには笑ってしまいました。
(もちろん内面も共に酷くなったのだろうけど、外見に頼るモノがとても大きかったと察する。)
散々「自分は頭が良い=他の女の子とは違う」と主張しておきながら、そんな普通の反応はないだろう。

かなり早い段階でラストのオチが解るのには逆に驚きました。
いつもミステリの真相はどうあれ、いくつか仕掛けられてたサプライズは評価してたんだけどなぁ。
すべて予想通りで意外性が無かったのはとても残念。
キーパーソンとなる別所あきらのキャラがのび太くん並みに弱かったのも残念。

まぁ、ここまでメッタメタにけなしておきながら、終盤(2シーン)ではしっかり泣いちゃいましたけどね。
前作とは比べものにならないくらい、あざとさ100%の演出なんだけど、ああいうシーンにはからっきし弱いのです。
思わず鼻をすすったりして・・・悔しい。
きっと、次回作も読んでしまうだろうなぁ。

砂漠/伊坂幸太郎 ★★★★☆

4月、仙台の大学に入学した北村は、麻雀を通じて同じクラスの鳥井、南、東堂、西嶋と親しくなる。
南の超能力、「大統領か?」と訊ねては殴って逃げる通り魔や悪質な空き巣など、彼らはいろんな事件に遭遇することに・・・。
パワーみなぎる、誰も知らない青春小説!


<なんてことは、まるでない>

装丁の何とふてぶてしい顔!
最初はあまり乗り切れない気分だったのですが、話の方向が見えてくると俄然面白くなりました。

物語は季節ごとに進んでいきます。
大学生活は、社会という「砂漠」に囲まれた「オアシス」。
これって、学生経験がある人なら絶対頷くでしょうね。

女好きの鳥井、不思議な力を持つ南、無表情の美女・東堂、持論がいちいち矛盾する西嶋。
それぞれ異色だけど、大学にならいてもおかしくないキャラばかり。
東堂さんが絶妙なセンスを持っています。
ありきたりな「美女」ではないトコロが良いですね。

そして、やっぱりイチオシは西嶋。
不器用で融通がきかず、常に世界を憂い、そして何より「臆さない」。
「俺たちがその気になれば、砂漠に雪を降らすことだってできる」という台詞は、前作の『魔王』を彷彿とさせますが、西嶋の突っ込みどころ満載の論理は好感度大です。
最初は「痛い奴」の印象でしたが、噛めば噛むほど味が出てきました。
まるで「彼」のようだな~と思っていると、思わぬリンクが!
ほ~、今回はこの人でしたか。
きっと西嶋に多大なる影響を与えたのですね。

青春小説ということで、所々に見え隠れする「友情」にホロリ。
第2章ではとてもショックな事件が起こり、そこでの西嶋の行動にジーンときます。
ただ、麻雀には全くの無知なため、説明を読んでもサッパリでした。
牌の絵が出てくる作品って初めて読んだかも。

終盤はまさに驚きの連続!
伊坂作品特有の、すべてが一つにまとまっていくラストは今回も見事です。
伏線も巧みに隠れてるんだな~これが。
とにかく爽快感がたまりません!

前作ほど考えさせられるテーマも無く、かといって軽く読める訳でもない。
なにより、とても懐かしい気分になりました。

EDS緊急推理解決院/石持浅海・他 ★★★☆☆


新宿副都心に開設された『EDS緊急推理解決院』。
警察では対応しきれない難事件や不可解な謎を、市井の名探偵の知力と名推理によって、早期に解決しようという施設だ。
専門分野ごとの探偵師(ホームズ)と助師(ワトスン)が披露する鮮やかな推理!
画期的合作長編、遂に完成!!(帯より)


<事件に巻き込まれて、さんざんなクリスマス。
      でも大丈夫。きっと名探偵が救けてくれるから・・・>


新世紀「謎」倶楽部の合作長編。
「堕天使殺人事件」や「前夜祭」が投げ出したくなるほどウダウダだったので、かなり迷ったのですが、今回は魅力的な作家陣に惹かれて手に取ることに。
メンバーは、石持浅海・加賀美雅之・黒田研二・小森健太朗・高田崇史・柄刀一・鳥飼否宇・二階堂黎人・松尾由美。
この中で全くの初読みの作家は、加賀美さん、小森さん、高田さん。
短編のみ既読の作家は、柄刀さん、松尾さん。
なのでお目当ては、石持さん、くろけんさん、鳥飼さん、二階堂さんでした。

面白いと感じたのはそれぞれの作風に合った専門分野を担当していること。
例えば、高田さんなら「歴史推理科」、松尾さんなら「女性推理科」、鳥飼さんは「動物推理科」という具合に(笑)。
それに、石持さんの作品では鵜飼探偵や「民俗学推理科」担当として蓮丈那智の名前も出てきます。
他にもシリーズ物のキャラクターが出ているようなのですが、未読でも十分楽しめました。

一番楽しめたのは、くろけん作品。
『スポーツ推理科』担当、オカマ風の銭山先生が最高のキャラ!
声を出して笑ってしまいました。

二階堂さんの作品はあの渋柿探偵が主人公です。
もちろん『小児推理科』担当(笑)。
あのハードボイルドさがたまらない!
『私が捜した少年』以降、シリーズになってるなんて知らなかったです。
読まないと!

鳥飼さんは犬にも詳しいのだなぁ。
薀蓄ももちろん、トボけた葉古先生とのぞみのコンビが絶妙です。
真相は・・・確かに伏線もあるけど、わからないって普通!

石持さんは主軸を担当しています。
脅迫方法や動機など、まさに石持さんらしい作品でした。
すっきりハッピーにさせないラストは好きですね。

ただ、それぞれの作品が一斉に進むので、頻繁に集中力が途切れます。
専門分野ごとの場面転換が激しくて、内容についていけず戸惑うこともしばしば。
どの分野もリンクはほとんど無く、全く別の事件に取り組んでいるので、一つひとつ短編とした方がよほど楽しめたのではないでしょうか。
この構成にする必要がどこにもないような・・・。
ただもう読み辛い読み辛い。

発想や設定も新鮮で楽しめたし、好きな作家の作品が読めて満足なのですが、
このツメの甘さ、やっぱり新世紀「謎」倶楽部だなぁ・・・と再認識しました。

向日葵の咲かない夏/道尾秀介 ★★★★★


明日から夏休みという終業式の日、小学校を休んだS君の家に寄った僕。そこでS君が首を吊っているのを発見する。しかし、先生や警察が駆け付けてみると、なぜか死体は消えていた。混乱する僕の前に、今度はS君の生まれ変わりと称するモノが現れ「僕は、殺されたんだ」と訴える。半信半疑のまま、僕と妹・ミカはS君に言われるままに、真相を探る調査を開始した。

<ねえ、生まれ変わりって信じる?>

『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞・特別賞受賞後、第一作目。
帯には<分類不能、説明不可、ネタバレ厳禁!超絶・不条理ミステリ>とありまして、そりゃもう期待するなって方が無理でしょう。

今回はホラーの要素が全くないにも関わらず、前作よりも背筋の寒くなる展開を見せます。
なにしろ、ほとんどの登場人物が病んでいるのです。
どこかおかしい・・・どこかずれている・・・。
読み進むにつれて気持ちが塞いでいきます。
一番辛いのが家の中にゴミを溜める母親。
母親に冷たくされることに慣れてしまっている「僕」。
終盤で明らかにされるその原因も、やり切れないものでかなり重いです。

ミステリ面もかなり巧妙です。
伏線も細かい箇所までしっかり練られていて見事でした!
帯で煽っているほど意外な真相ではありませんでしたが・・・。
ミステリを読み慣れている人は、最初から違和感をもつでしょう。
でも、大体予想できる範囲よりも少し抜きん出た感といいますか、「あっ、そこまでする?」というサプライズはありました。
前作を読んだ人はきっとひっかかるだろうトリックもあり、楽しめます。
とにかく、ラスト4行の描写(伏線も含めて)が、とても気に入りました!
ここだけでも、星5つです。

緊迫シーンも安心して読めてしまうのはどうかと思いますが、全く飽きずに没頭できました。
ただ、スッキリはしますが、全体的な印象は麻耶さんの『神様ゲーム』
かなりの不安感が残ります。
ミステリーランドでなくて良かった・・・。

アルファベット・パズラーズ/大山誠一郎 ★★★★☆

東京、三鷹市の井の頭公園の近くに<AHM>という4階建てのマンションがある。
その最上階に住むオーナー・峰原卓の部屋に集まるのは、警視庁捜査一課の刑事・後藤、翻訳家・明世、精神科医・理絵の3人。
彼らは紅茶を楽しみながら、後藤が関わった事件の真相を解明すべく推理を競う。
本格ミステリ界期待の俊英が満を持して放つパズラーの精華!


初読みの作家さんです。
本書のタイトルだけはよく目にしていたのですが、装丁のデザインがどうにも気に食わず手に取るのを避けてました。
まさかこんっなに面白いとは・・・!

短編2つと中編1つで構成されていますが、どれも意外な真相で驚かされます。
そりゃもう、「目の付け所」を試されているような作品ばかり。
最後の事件はミスリードがある分、再読すると更に残酷に感じられます。
しかし、今回はロジックの見事さの方が勝ちました。

少し詰めの甘い点も見受けられたので、星一つ減点です。
これは次回作が楽しみです!

フォックスの死劇/霞流一 ★★★☆☆

怪奇映画の巨匠・故大高誠二監督の墓が散歩した!?
だがそれは奇妙キテレツな連続事件のほんの発端に過ぎなかった。
大高監督と関わりの深かった映画人たちの首や腕や足が持ち去られた死体がゴロゴロ、しかも殺人現場にはキツネの面、油揚げ、赤い鳥居などのお飾りが。
犯人は一体何を考えているのか?
事件に巻き込まれた探偵・紅門福助が謎に迫る!



<老人とは存在そのものがサスペンスである>

自他認めるバカミス作家、霞隆一さんです。
霞作品の長編は「呪い亀」に続いて2作目。
「呪い亀」がもうとんでもないバカミスで、いまだに忘れがたい衝撃が残っているのですが、それと比べると今回は少し地味ですね。
やはり順番通りに読まないと・・・後悔。

でも全編に散りばめられているギャグの数々にはニヤニヤし通しでした。
すべてが成功しているとは言いませんが、私は大満足です。
とにかく、紅門の「つい出来心で口に出す一言」が最高!
それを切り返すオババの腕も見事。

しかし、ギャグにごまかされている場合ではない。
描写を細かくチェックすると、伏線が巧妙に張られています。
そして、最後の謎解きでは立派な「本格ミステリ」に変化しているのです。
もちろん、論理に強引さを感じるのですが納得させられてしまうのですよね・・・。

映画関係の薀蓄などはあまり興味がなかったのですが、事件の導入が手早いのと、次々謎が出てくる展開はなかなか飽きさせません。
これは追いかけなくては・・・!

グッドバイ~叔父殺人事件~/折原一 ★★★☆☆

ぼくの叔父が集団自殺をした。閉め切ったワゴン車で練炭を使ったのだという。ところが叔母は「自殺に見せかけて誰かが殺したんだ」といってきかない。こうしてぼくは叔母に命じられ叔父の死の「真相」を探ることになったのだ。ぼくは遺族として他の自殺者の家族と会ううち、この集団自殺を以前から追いかけていたジャーナリストがいたことを知る。そして、ぼくは何者かに監視されていることに気づいた。やはり単なる「集団自殺」ではなかったのか?ぼくは狙われているのか?(あらすじより)

続けて折原作品二作目です。
 
こちらは題材が新しく、ストーリー自体が面白かったです。
ジャーナリストが集団自殺前にメンバーへの取材を行うというアイディアには驚きました。
実際問題では、倫理的に無茶な行動ですが。
一人ひとり、「死」を考えるに至るまでの心の動きがしっかり描かれています。
ただ、やはりミステリ面に惹きつけられないのです。
この作品、評判は良いとのことなので、私には折原さんの作風が合わないということが確定しました。
犯人やトリックなどに全く興味が沸かないし、真相が明かされても驚きがない。
とても読みやすいのだけど途中で飽きてしまうのです。
折原さんの短編はとても好みなのですが・・・。もう長編を手に取ることはないかな。

偽りの館~叔母殺人事件~/折原一 ★★☆☆☆


久しぶりの折原作品です。
初期の頃は見事な叙述トリックに仰天したものですが、さすがに食傷気味になりずいぶん遠ざかっていました。
なので、今回もあまり期待せずの読書だったのですが・・・。

う~ん、面白くない・・・。
終始、展開がバッチリよめてしまいました。
相変わらず折原作品特有のステレオタイプの登場人物なので、思考や行動が単純すぎて感情移入ができないのです。
ストーリーもさっぱりでとても退屈。
久しぶりに読んだのに全く作風に変化がないという懐かしさだけが残りました。

新作をもう一冊借りているので、それ次第でもう読むのはやめにします。
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 2005年8月~

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Author:めみ
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