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the TEAM/井上夢人 ★★★☆☆


能城あや子は、その的中率が高いことから、TVでも高視聴率を稼ぐ人気霊能者。
しかし、本当は霊視なんて全くのウソ。
彼女のマネージャー・鳴滝を含めた調査員たちが、依頼人の部屋に忍び込んだり、パソコンから情報を引き出したり、事前に綿密な調査を行っているのだ。
彼ら「チーム」の活躍を描いた連作短編集。


なんと、前作『クリスマスの4人』から丸4年ぶりの新刊です!
正直、待ちくたびれました。

イラストがカワイイです~!
「招霊」「金縛」「目隠鬼」「隠蓑」「雨虎」「宿生木」「潮合」「陽炎」の8つの章で構成されてます。
この第一章の「招霊」(「妹のいた部屋」改題)は、かなり以前にアンソロジーで読んだことがありました。
あれからやっと1冊の本になったのかと考えると・・・遅っ。
でも、シリーズ化を希望していたので、結果的にはとても嬉しいです。

チームの調査手段は完全に違法だし、あや子の霊視も立派な詐欺。
しかし、その調査は、時に犯罪を暴いたり、依頼者を悩みから解き放ったり、物事をすべて良い方向へと導くのです。
それでも、最初は「詐欺」という行為に抵抗が残っていたのですが、「潮合」の章であや子の過去が明らかになるにつれ、モヤモヤ感が払拭されました。
一番好きなお話です。

あや子を筆頭とするこのチームの活動は、岡嶋二人著『眠れぬ夜』シリーズの捜査ゼロ課を思い出しました。
そう、今回は全体的に岡嶋作品っぽいような・・・。
でも、岡嶋作品のような凝ったトリックも無いし、従来の井上作品のように展開に意外性があるわけでもないし・・・。
その点では、ちょっとパンチ不足かなぁ。

あや子の霊視に疑いを持つ輩も現れるのですが、チームが完璧すぎて緊張感が無いのですよね・・・。
最後まで、安心して読めてしまいました。

う~ん、ファンだからこそ少し物足りなかったかな?
全体的には、面白かったです。
今年、発売予定(かも?)のミステリーランドも楽しみです。

ネクロポリス/恩田陸 ★★★☆☆



<知ってるぞ、この効果音はアズキを箱の中で転がすんだよな?>

<誰かが外でアズキ転がしてるっていうのっ>


相変わらず、恩田ワールドは魅力たっぷり。

ただ、今回は序盤からではなく、いつの間にか引き込まれていたという感覚です。
珍しく、V・ファーやアナザー・ヒルのイメージをつかむのに時間がかかりました。
見開き一杯の登場人物は、いっそのこと、「ドミノ」みたいにイラスト付きにして欲しかったかも・・・。

卵が「特別なモノ」と言われると、とても神秘的に思えてくるから不思議。
他にも『夜のテーブル』や『ガッチ』などのイベントが、最高にツボです。
よくこんなアイディア思いつくなぁ。
そして、ジュンが『ガッチ』に参加するシーンは、もうドキドキ。
何も後ろ暗いことなど無いのに、「八つ裂き」の制裁を考えると不安に襲われるジュンの気持ちがとても伝わってくるのです。

V・ファーには日本の神事などがいくつか伝承されていて、民俗学に詳しいジュンが事あるごとに「それは日本でいう○○だよ!」と興奮しながら叫ぶのですが、これがもうさっぱりで。
せっかく日本に住んでいるのに・・・もったいない。

油断したころの凄惨な描写に驚いたり、連続殺人犯の正体にのけぞったり、相変わらず、展開の速さはお見事!
圧倒的なリーダビリティで、ページを捲る手が止まりません。
各所、軽くユーモアも交えていて、何度か声を出して笑ってしまいました。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
ただ、あまりの壮大さに、どうしてもラストで収拾しきれなかった感が・・・。
上・下巻合わせて800ページの超大作でありながら、物語のシメの部分がとても短いのです。
対決シーンなどの盛り上がりも期待していただけに残念で・・・。
(終盤の、あの3人の行動は結局何だったのか・・・。)

ワイルド・ソウル/垣根涼介 ★★★★☆


<人殺しに退職金を与えようが、詐欺師に年金を払おうが関係ない。ただ胸糞が悪いだけだ>

数々の賞を総ナメにしている本書。
ただ、リベンジがテーマということと、本の厚さに少し躊躇してたのですよね。
そして読後、読まず嫌いだった自分をパンチ。
はい。とっても面白かったです。もう一気読み。

ブラジル移民については、ニュースの特集などで知識はありました。
ただ、これほど酷いものだったとは・・・。

多くの期待と夢を抱きつつ移住の地・アマゾンに降り立った瞬間、絶望に襲われる人々。
国から供給を約束されていたはずの家も畑も見当たらず、あたりは農業をするにも困難な強酸性の土壌で覆われている。
そして、病気や洪水に怯える日々・・・。

あまりの救いの無さにこちらも辛くなってきました。
何よりやり切れないのは、主人公・衛藤が必死に説得して連れてきた妻と実弟が文句1つ言わず、夫として兄として彼を立て、それ故に衛藤自身も弱音を吐くことができずにいる状況。
衛藤の面目ないという想いが胸を衝きます。

この散々な第一章で、そりゃあ、この恨み晴らさずにいられようか!って気になりますよ。ほんと。
衛藤と同じく辛い過去を持つ、ケイ、松尾、山本の4人。
彼らの反撃が始まってからはもう爽快です!
特に、ケイの底抜けの陽気さは、エンターテイメント性に大いに貢献しています。
最初はガサツで無神経で・・・とムカムカしてたのですが、だんだん憎めなくなってきて、最後には大好きになりました!

ケイと貴子のラブストーリー、ケイたちが起こす事件を捜査する岩永警部の警察小説、そして全体的にはハードボイルド。
とても贅沢、そしてどこを取っても面白い!

山本と松尾の結末も、意外なほど「救い」を感じることができました。
そして、エピローグはとっておきのサービス。
冒頭からは想像がつかないくらい、爽やかな読後感でした。
読み応え十分です。

幻影のペルセポネ/黒田研二 ★★★★☆

大手プロバイダ・パルネットが運営する、大人気PCゲーム「ヴァーチャル・プラネット」。ユーザーはゲームの舞台である惑星<ペルセポネ>の住人となり、コミュニティを築いていく。尊敬する先輩の死の謎を解くため、<ペルセポネ>にログインした来栖正孝は、秀則が<ペルセポネ>で操っていた分身『ノリリン』もまた仮想世界の中で惨殺されていたことを知る。やがて<ペルセポネ>の美少女『メグ』とともに犯人探しを開始した来栖を、虚実の世界を往来する巨大な悪意が襲う!

本書はくろけん作品の中でも評判が上々とのことなのですが、そんなに期待せずに(笑)手に取りました。
元々ゲームは好きなので、<ペルセポネ>内の操作方法に少しワクワク。
逆に、ゲームに興味のない人は全く面白くないのでは・・・?

終盤の手前で1つのトリックが判明するのですが、このアイディアにびっくり!
思わず「ほぉ~!」と感嘆。こんな手があったなんて!
ただ、真相解明のくだりはものすっごく説明臭いです。
読むのも面倒なのですが、これがキチンと整理してみると意外に面白い。
1つの結果にいくつもの要因が重なっているあたりが巧いなぁ。
何と言っても素晴らしいのはエピローグ。
くろけん作品でじ~んとするなんて、期待してなかっただけに効果倍増!
プロローグをしっかり受け止めるラスト。
読後感の良さで星4つです。

九月が永遠に続けば/沼田まほかる ★★★☆☆

第5回ホラーサスペンス大賞受賞作品です。
特別賞の『背の眼』が掘り出し物だったので、図書館で最前列に並べられていた本書をパッと借りてみました。
文体といい、表現といい、これは桐野さんが絶賛するはずだわ・・・と納得。

ある晩、突然失踪した息子。
母親はその行方を捜すにつれ、息子の意外な面を知ることになる。

この母親がどうも苦手なんですよね。
彼女の強さも脆さも、とても伝わってくるのだけれど、なぜか応援する気になれない。
息子の小さい頃の回想シーンも原因の1つ。
冗談で公園で置き去りにしようとしたり、自転車に乗る練習でヒステリックに怒ったり。
この親子の描き方が下手すぎる!わざとかしら。
泣いてすがってくる息子の愛おしさよりも、酷い母親のイメージしか残らなくてダメでした。
ここで、息子が出て行ったのも母親が原因だと確信。

そして、近所に住む関西弁の親父が、もう驚くほど図々しいのです。
そっとしてほしいときにヤイヤイ言ってきたり、勝手に家に上がりこむ行動には、主人公と同じくイライライライラ・・・。
でも、私の場合、下心を邪推してしまうからこその嫌悪感なので、彼が息子のために涙をこぼすシーンは、少し優しい気分になれました。
そして、読み進めていくうちに、彼が一番マトモに思えてくるから不思議。

終盤には、もう誰が犯人でもいいよ~という投げやりな気分で突入。
あまりにも変な登場人物ばかりなので感覚が麻痺したのか、犯人に一番共感できたかも。
それより、自分のことを思いっきり棚に上げて責め立てる主人公達に違和感が・・・。

文章の巧さと数々の謎や疑惑のおかげで、先が気になりどんどんページを捲りました。
しかし、そのためだけに設定した小道具のアラが結構目につきます。
息子の担任の過去なんて必要だったかなぁ。

全編、背中がゾワゾワするような露骨な描写が繰り返され、かなり辛かったです。
結局のところ、壮大な内輪モメを長々読まされていたのですよね。
妙に神経に触る1冊・・・でも、ラスト一行が気に入ったので星1つプラスです。
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 2005年8月~

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