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骸の爪/道尾秀介 ★★★★☆

ホラー作家の道尾は、滋賀県で行われた親戚の結婚式に出席した帰り、あるトラブルから翌日取材する予定だった仏所・端祥房に泊まることになる。瑞祥房では、房主の松月を始め、弟子の魏沢・鳥居・岡嶋・摩耶が宿坊に住み込み、仏づくりに専念していた。深夜、道尾は不気味な声を聞く。また、草薮の中に社を発見。暗闇の中で撮影したところ、後日、頭から血を流している仏像が写っていることに気付く。彼は霊現象探求所を営む友人・真備に相談し、真相の解明に乗り出すが・・・。

デビュー作「背の眼」に続くシリーズ第2弾。
私はすっかり、この作家のファンになってしまいました。

今回はホラーとしては迫力が無く、謎もとても地味。
でも、素晴らしい本格ミステリでした。
ホラー現象も論理的に説明がつきます。
多少、強引っぽいですが、1作目よりスッキリ納得できました。

20年前に瑞祥房から失踪した二人の男女。
道尾が訪れた翌日から次々に姿を消す弟子たち。
なぜ仏の頭から血が流れるのか?
千手観音についた血は誰のものなのか?

瑞祥房の誰もが秘密を抱えていて、重い口を開いてくれない中、真備は独自の推理で真相にたどりつきます。
ここでの、恐怖のあまり秘密を口走ろうとする弟子たちの様子が大げさで笑えます。
全体的に、古~いサスペンスドラマ風なんですよね。

中盤まではえらくまったりとした展開なのですが、気を抜いてはいけません。
どこもかしこも伏線だらけ、無駄な描写が一切無いのです。
真相部分で、「え?」と思い前の方のページで確認すると、ちゃんと伏線が張ってある。
仏像の薀蓄すらも伏線なのはお見事!

犯人やその動機はそれほど意外では無いのですが、事件の結末に驚愕しました。
前半ののんびりした雰囲気からは、想像もできない悲劇が起こるのです。
・・・だけど惜しい!
ラストのエピローグ(のようなもの)は必要無かったのでは。
あの強烈な余韻のまま終わらせて欲しかった・・・!
そこが、かなり不満なので星4つ。

ちなみに、この作品にも「摩耶」という名前が出てくるのですが・・・何か深い意味が?
もしや、麻耶さんのファン?

腕貫探偵/西澤保彦 ★★★★☆

殺人?詐欺?行方不明?
悩める市民の相談事を解決するのは腕貫をはめた出張所の職員。
ユーモア溢れる痛快ミステリー連作短編集!(帯より)


<ひとりで悩んでないで、窓口にお並びください>

西澤作品は短編のほうが好きかもしれません。
今までのベストは「蓮華の花」だったのですが、本書もなかなか魅力的な謎に出会えました。

なぜ、犯人は死体をバス停から被害者の自宅へと運んだのか?
再婚が決まった母は、なぜ突然体調を崩したのか?
軟派男が陥った罠とは?
定年退職した大学の事務職員の家に、学生証の束と履修届の一覧表がある理由とは?
殺害されたベストセラー作家は、なぜ直前に入った洋食屋で何も注文しなかったのか?
展覧会から一枚の絵が消えた理由とは?

これらの謎を解き明かすため、横浜市一般苦情係は、櫃洗市内の大学、アーケード、警察署、会館のロビーの片隅など、「なぜこんな所に?」と思わずにいられない場所へ出張するのです。
担当は、両腕の肘まで黒い腕貫を嵌めているひょろりと鉛筆みたいに細身で年齢不詳の男。
他に客は誰もいないのに、まずウェイティングリストに名前を書かせ、後に名前を呼ぶという、マニュアルも徹底しています。
しかし、そのアドバイスは的確で、相談員の悩みを解決させたり、過去の罪を思い出させ破滅に追いやったり。

連作かも?という演出もあり、とても楽しめました。
一番、面白かったのは「スクランブル・カンパニィ」
続編を出して欲しいです。

殺してしまえば判らない/射逆裕二 ★★☆☆☆

首藤彪34歳、現在無職。妻の死の真相を解明すべく、現場となった東伊豆の自宅へと引っ越してきた直後、陰惨な事件やトラブルに巻き込まれてしまう。その渦中で知り合った奇妙な女装マニアの中年男・狐久保朝志。外見に似合わず頭脳明晰、観察力抜群な彼の活躍で、彪の周囲で起こる事件は次々と解決していく。さらには、妻の死の真相まで知ることとなるのだが・・・。

このタイトルを見て、前作『みんな誰かを殺したい』も図書館で予約するのに勇気が要ったことを思い出しました。
前作は内容を完全に忘れてしまいましたが、無理矢理な展開でもスピードがあり、結構面白く読めた覚えが。
しかし、本書は・・・読後、脱力しました。
私の読み方がどこかおかしかったのか?

34歳にもなって一人称が『ボク』である主人公。
妻が倒れていた書斎で、事件後、何かが無くなっているような気がする。
しかし、それが何なのか思い出せない。

この主人公がなんとも腹の立つキャラで。
謎を突き止めるため、調査するのかと思いきや、一向にその気配は無く、喫茶店のウェイトレスに恋をしたり、家庭菜園を始めようとしたり。
あなたも療養が目的?と疑問に。
(後に、これらの行動も理解できるのですが・・・謎の真相にはかなり不満が。)

くどいほど同じ説明が出てくるせいか、読み難さを感じました。
「義母が東伊豆に家を建てたけれど住んでいない理由」と、「近所に住む瀬田島さんとの今までのトラブル」がこれでもかってくらい繰り返し描かれてるのです。
大して重要なことでもないのに。

そして、中盤、主人公は殺人事件に遭遇するのですが、これは必要だったの?
狐久保さんの活躍の場が欲しかっただけ?
妻の死に全く無関係だということで、ある意味驚きました。

唯一、ミスリードはややあからさまにしろ、「そうきたか」と思いました。
しかし・・・。
真相の部分で、『でもあの時、○○のように見えましたが・・・』『それは単なる間違いよ』って。
・・・間違いかよっ。
それに、こんなところで読者目線になっちゃダメ!
仕掛けを会話で説明してどうするの~。かなり興醒め。

読者を引っ掛けようとする試みは良いのですが、前作よりも強引さが目立ちました。
とても意味ありげな伏線(っぽいモノ?)も最後まで放りっ放しなのですよ。
やはり、私の読みが浅かったのか?
こんなに荒いミステリはめったに出会わないので、自分の感想に自信が無くなってきました。

まえがきに『ローマの休日』に関してサブリミナル効果を狙ったとの記述があるのですが、そこに驚きの真相があると期待して良いのでしょうか。
あえて、DVDをレンタルまでして確認はしませんが。

女装マニアの探偵と自称・オペラ歌手の設定も、必要なのかどうか。
もっと突き抜けたキャラだと思いきや、いたって普通だし。

巻末に続編の予告がされてるのですが、本当?それともネタ?

ストロベリーナイト/誉田哲也 ★★☆☆☆


姫川玲子、29歳、警部補。
ノンキャリアだが人一倍の努力で階級をのし上がってきた彼女は、鋭い直感と発想で事件を解決に導いてきた。
ある日、ブルーシートに包まれた男性の惨殺死体が発見されたのをきっかけに連続殺人事件が発覚。
謎を追う玲子に、底知れない悪意が襲い掛かる!


以前読んだホラサス大賞特別賞の「アクセス」がどうにも中途半端な読後感だったので、しばらく遠のいていた誉田作品。
本書は絶賛されているのを聞きつけ、半信半疑で手に取ったのですが・・・ダメでした。
こんなに評判が良くて合わない作品は珍しいです。

その原因は、私の(人一倍)苦手なグロ描写が多いこと。
冒頭の虐待シーンから、「うわっ。私ダメかもっ」と予感したのですが、ズバリ的中しました。
各章の頭に挟まれる疑問形の文章さえもダメ。
(効果は抜群だとは思いましたが。)
淡々としていれば別ですが、ネットリ描写なので耐えられないのです。
「アクセス」はホラーだし全体的に変な雰囲気だったので、それほど不快には思わなかったのですがね~。

確かに玲子や警察関係者のキャラは個性的で魅力があり、会話も読んでいて楽しいのですよね。
途中から、存在が薄くなる人物が多いのが気になりましたが。
玲子の家族との関係、暗い過去に立ち向かう裁判シーンではうるっときました。
しかし、宿敵・勝俣の玲子に対する態度があまりにも酷くて憤慨した私は、最後に突然「実はそんなに悪い人ではない」で締めくくられてもシラけるばかり。
「こんなんで、今までの暴言がチャラにできると思たら大間違いやで!」と、最後までムカムカ。
井岡の意外性は好感が持てたのですが、それも何だか中途半端な印象に終わりました。

真相や犯行の動機はありきたりなのですが、そこに辿り着くまでの展開は読み応えがありました。
でも、私としてはグロを忘れるほどの衝撃の真相が無いと、どうしても評価は厳しくなります。
残念。

シナオシ/田代裕彦 ★★★★☆


かつて犯した犯罪を阻止すること。
その為に時を遡り為直す者・・・・<シナオシ>。
短い人生を終えた「僕」は、生前、自分が犯した犯罪を阻止するため<シナオシ>となる。
「今見かずみ」として復活した「僕」だが、肝心の「僕」が一体誰だったかを思い出すことができない。
「僕」は何者なのか?そして「僕」が後悔している犯罪とは?


前作と同じ舞台ですが、本書から読み始めても支障はありません。

しかし、前作と比べて、かなり読みにくいというか・・・ラノベ感たっぷりです。
原因は主人公が女の子だから?
「今見かずみ」として生活する「僕」はすっかり彼女の意識と同化しているため、見た目も中身も完全な女の子なのですが・・・。
これがどうも不自然でしっくりこない。
かずみと友人・舞の会話なんて、かなりぎこちないのです。

「僕」を捜す「今見かずみ」と、罪を犯そうとする「僕」の視点で物語は進みます。
ミステリ好きなら、この構成だけでトリックを予想できるのですが・・・騙された!
この「騙し」の手法がとても斬新だし、意欲が伝わってきて嬉しくなりました。

フー・ダニットは単純だけど、ホワイ・ダニットがとても見事。
全ての設定に対して、無理なく納得させられました。

でも、中盤はやっぱり退屈。今回は特に。
無駄がない、と言い切れないのが残念です。

キリサキ/田代裕彦 ★★★☆☆

「俺」は、死んでいた。死神のような案内人<ナヴィ>が言うには、なぜか「俺」の寿命はまだ残っているらしい。まだやり残したことがあるという俺に、<ナヴィ>は「霧崎いづみ」という女の子の体を与える。<ナヴィ>が言うには、「俺」の体に「誰か」が入ってしまったため、空いている体(死体)に案内されてしまったらしい。元の体に戻るには、「俺」を殺して中にいる「誰か」を追い出すしかない。そこへ、突然のクラスメイトの死。犯人は、世間を騒がす連続殺人犯<キリサキ>だと言う。

富士見ミステリー文庫、初挑戦です。
「ラノベにしておくには勿体無いミステリ」との評判に好奇心がウズウズ。
図書館には置いてないし、値段もお手ごろな文庫本なので買ってしまいました。

初めての作家さんなのですが、描写が細かく丁寧でとても読み易かったです。
イラストは違和感たっぷりですが。

う~ん、何を書いてもネタバレになってしまうなぁ。
真相にはタイム・パラドックスが深く関わるので、それが受け入れられるかどうかで評価が変わります。
謎の解明シーンはかなり長くてややこしく、頭がこんがらがりそうに。
確かに驚きの連続なのですが、「えーっ!!・・・えっ?あれ?」という疑問も混じり、何度も読み返してやっと理解できました。
納得しましたが、もう少し伏線が欲しかったかな。
連続殺人犯<キリサキ>にあまり魅力が感じられなかったのも残念。

私が驚いたのは、真相よりもミスリードの方。
中盤、やや退屈に感じていたのですが、油断していた分衝撃が大きかったです。

殺人ピエロの孤島同窓会/水田美意子 ★☆☆☆☆

日本から1500キロ離れた、東硫黄島。島の外輪火山が噴火し、住民は東京に強制移住させられ、現在は、観測所を守っている老人が1人住むだけの孤島である。そんな島で同窓会が開かれることになり、4年ぶりに東硫黄島高校同窓生が集まった。出席者はクラスメイト36人中、不登校だった1人を除いた35人。和やかなムードで進んでいた同窓会は、突如現れた殺人ピエロにより恐怖の孤島と化す。次々と同窓生たちを惨殺し始める殺人ピエロの正体は?(あらすじより)

第5回『このミステリーがすごい!』大賞・特別奨励賞受賞作。
12歳の女の子が書いたミステリだということで、期待感0%、好奇心100%で手に取りました。
冒頭からスムーズに物語に入ることができたし、奇天烈なストーリー展開のおかげで、(そんなに)退屈することもありませんでした。
所々にチャット上の会話や小学生のエピソードが挟まれていて、それらが本編にどうつながるのかも魅力でした。
しかし、やはり突っ込みどころは満載!
35人の書き分けが全くできていないので、誰がどんな残酷な殺され方をしても何の感情も沸きません。
それは登場人物も同じらしく、仲間の死体の前でとても牧歌的な会話が交わされたりします。
読書中、何度も「ありえね~!!」と声に出しそうになりました。
地の文の読み難さはだんだん慣れていくのですが、会話シーンはどうしてもダメ。
いっそのこと、同窓会という設定をやめて、登場人物を中学生あたりにしてほしかったです。
「博学な中学生」も不自然で鼻につくけれど、「幼稚な20歳」の比ではないことを痛感。
彼らの会話シーンは、恥ずかしくて読んでられません。
好きな女の子に、『メグちゃん、ぼ、ぼくとマヨネーズのどっち、好き?』と告白する主人公(注:東大生!)など、痛々しい会話が延々続くのです。
もしや、シュールな作風を狙っているのか?と好意的に考えるのにも限界が。
ミステリ面においても、真相はお粗末だし、全体的にどこかで読んだことがあるという印象は拭えません。
文章や構成の稚拙さを補うくらいの新しい感性やオリジナリティがみられないのが残念です。
そして、12歳が書くものにエロは必要ないでしょう。
一気に不快な気分にさせられました。

「天使のナイフ」や「13階段」に対して、『こんな特に笑うところのない真面目なミステリを誰が読みたがっているのか理解できない』と断言した大森望さんの大プッシュで出版された本書。
あちゃ~これじゃ大森さんの推薦本は読めないよ~。
(・・・と思ってたら『金春屋ゴメス』は絶賛してるようで、かなり複雑。)
他の選考委員3氏は厳しい評価だったようですが、その中でも吉野仁氏の、
『どれほど若くて可愛くて将来性があろうとも、音痴な歌手の歌など聴きたくない。それと同じ。』
のコメントに深く納得しました。
他のサイトでも酷評が多いですが、これで著者が執筆を止めないことを祈ります。
山田悠介氏も衝撃のデビューから現在もどんどん新作を出していることだし、彼女も頑張って欲しいです。

金春屋ゴメス/西條奈加 ★★★★★

21世紀初頭、北関東と東北にまたがる1万平方キロメートル足らずの領土が、「江戸国」として日本からの独立を宣言する。専制君主と鎖国の問題で日本の属領になった江戸だが、入国するには300倍の競争率を突破しなくてはならない。江戸出身で、後に両親と国外へ出た大学生・辰次郎は、病身の父親の頼みで応募するも1度で当選、入国することに。彼の身請け先は「金春屋(こんぱるや)ゴメス」。ゴメスは、辰次郎に致死率100%の疫病「鬼赤痢」の謎を追えと命じる。

第17回 日本ファンタジーノベル大賞・受賞作。
タイトルに興味を惹かれ手に取ったのですが、読んで良かった!
これは面白いです。

辰次郎はいまどきの若者っぽくスレているのかと思いきや、とても素直で思いやりのある男の子。
ずっと音信不通だった父親と再会し、病身の彼の頼みで江戸行きを決心するのです。
15年前、なぜ辰次郎と両親は江戸を出たのか。
なぜ、辰次郎は1度で江戸の入国許可が下りたのか。
プロローグがとても意味深なため、これらの疑問が解けるあたりは快感でした。
そこから話は一気に、最大の謎「鬼赤痢」へと向かいます。

もう何と言っても、ゴメスを筆頭に、裏金春に関係する人々のキャラクターが素晴らしい!
地蔵のような十助、辰次郎と一緒に入国した江戸マニアの松吉と旅行好きの奈美、ゴメスと唯一渡り合える粟田和泉守。
そして、兄貴分の甚三たちが語るゴメスの武勇伝が、とても愉快でその都度吹き出してしまいます。

一貫したテーマはかなり深刻ですが、この「つくられた江戸」の設定が十分に活かされてます。
真相が明らかになると同時に、江戸の建国に至る経緯が判明するという構成も巧いです。
そして、何を書いてもネタバレになるので自重しますが、私のツボを刺激する要素が満載!
ラストシーンは情景が目に浮かぶようで、じーんときました。

ただ、悪人が多すぎて個性がいまいち掴み辛かったことや、伏線があまりに少なく謎解きの楽しみを味わえないのが残念。
中盤での辰次郎の記憶探しなんて、謎自体はとても魅力的なのに、新事実をただ追いかけるだけなので単調に感じました。

星5つは少し甘いですが、読ませる力とドラマ性は抜群です。
ぜひ、続編を希望します!
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 2005年8月~

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Author:めみ
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