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九杯目には早すぎる/蒼井上鷹 ★★★★☆


「大松鮨の奇妙な客」・・・第58回日本推理作家協会賞・短編部門候補作「においます?」「私はこうしてデビューした」「清潔で明るい食卓」「タン・バタン!」「最後のメッセージ」「見えない線」「九杯目には早すぎる」「キリング・タイム」・・・第26回小説推理新人賞受賞作

<今夜、読みにでも行こうか?>

短編5つとショートショート4つの構成です。
デビュー作にしてはどれもレベルが高めで驚きました。

何しろ、「大松鮨の奇妙な客」「私はこうしてデビューした」を読めただけでも儲けものです!
久々に目が覚めるような衝撃を味わいました。
トリック自体は目新しくはないのですが、まさかこの作品に使われているとは・・・という意外性がたっぷり。

ただ、トリッキーな作風なんだな、と途中から身構えてしまったせいか、最後の方はあまり盛り上がらなかったかも。
「キリング・タイム」も最初から真相(サプライズ?)がよめてしまったのですよね。
これはミステリ好きなら絶対分かってしまいますよ。

この著者は、とにかく話が噛み合わない人物を描くのが巧い!
読んでいると、こちらまで「イーッ!!」ってイライラさせられるのです。
でもその相手をさせられる、いかにも小市民な男性たちが可笑しくて哀しくて。

個人的に好きな作品は「見えない線」
ラストがせつないです。

こういうミステリ色の強い作品を書く作家が出てきて、とても嬉しいです!
次回作にも期待します!

いつもの朝に/今邑彩 ★★★★☆

画家の日向沙羅は、3年前夫を線路事故で亡くしてから2人の息子と暮らしていた。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の兄・桐人と、何をやらせても落ちこぼれの弟・優太。ある日、優太は幼い頃から愛用していたぬいぐるみの中から手紙を発見する。それは、父から優太宛てに書かれたものだった。<僕は優秀だった父の本当の子供ではない?>優太は謎を解くため、手紙に書かれていた曾祖母とされる老女に会いにいくのだが・・・。

<下から手を差し伸べて人を救うなんて絶対にできないんだ>

今邑さんのミステリは全て読んでいますが、ホラーの傾向が強くなってからはかなり久しぶりです。
最近、全く新刊が出ないなぁと思っていたら、本書の執筆中に大病を患われていたそうです。

テーマはかなり重く深いです。
2人の兄弟のお互いを思いやる気持ちと揺れる感情が、とてもリアルに描かれています。
母親の葛藤と後悔、そして「神様の存在」について語るシーンは胸が熱くなりました。
相変わらず、リーダビリティは抜群。
次々出てくる謎も魅力的で、グイグイ読ませてくれます。

しかし、若干不満が残りました。
とてもとても良い話なのですが、真相がすぐによめてしまう。
今邑さんのあの素晴らしくトリッキーなミステリを知ってしまっているせいか、拍子抜けの感が否めません。
ミステリではない作品に対して、ミステリとして物足りないなんて感想をもつ自体が間違っているのですが、所々「あれ?ここはヒネらないの?」と生意気なことを考えてしまうのですよね。
特に終盤なんて、本来は感動が押し寄せる展開のはずなのに、もったいないという気持ちが強くてあまり集中できませんでした。
うう、残念。

今邑作品といえば二転三転のどんでん返し、という先入観が邪魔をしました。

終末のフール/伊坂幸太郎 ★★★☆☆


<明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?>

公式サイトがとてもキュートです。
ヒルズタウンの地図上の隠れキャラを探すと創作秘話が読めるのですが、「演劇のポール」のキャラがどうしても見つけられない・・・。


「終末のフール」
担当者からミステリではないものを、と依頼されて、「伏線も何もなくて、唐突に結末がやってきたら、ミステリじゃないかもしれない」との結論から書いた作品だということ。
この創作秘話には、なんだかガッカリ。
意図的に伏線を無くしたせいか、全く面白くなかったです。
妹がゴリ押しする「兄貴の凄さ」がそんなに凄く思えず、くどさを感じました。
「太陽のシール」
オセロという小道具を巧く活かしてます。
「ここで子供を諦めたら、それは小惑星の衝突を受け入れたことになる。
 誰かがそれを見ていて、それなら衝突させてやろうと判断するかもしれない。」
私もよくこういう考え方をするので驚きました。
確かに宗教的かも。
「篭城のビール」
世界の終わりがきっかけで罪を犯す人物が主人公。
視点が変わって斬新なテーマなのですが、短編でまとめるには無理があったのでは。
プロットがぎこちないです。
「冬眠のガール」
あと3年で終末なのに、恋人を探すことを決めた女の子が主人公。
「太陽~」の奥さんのアドバイスが良いですね。
ほっこりとした読後感。
「鋼鉄のウール」
苗場さん、著者の思惑通りに格好良いです。
専属のカメラマンに対する想いにじーんとしました。
ただ、主人公の両親の心情も解るし、そうなるのが普通なんだろうなぁ。
「天体のヨール」
星を見るより明らか、との二ノ宮の言葉が素敵です。
ヨールの意味に笑いました。
「演劇のオール」
本書で一番伊坂さんらしい作品。
「世の中捨てたもんじゃない」と感じさせる展開が大好きです。
「深海のポール」
方舟とは対照的な主人公の父親が造る櫓から、「必死になって生きる」という強い意思が伝わってきました。
ヒルズタウンの住人たちがベランダに出て夜空を見上げるシーンが素敵です。

今回、他作品とのリンクを無くしたのは、終わっていく世界が舞台だからだそうです。
ほぼ全ての登場人物が達観してしまっているため、あまり同調できないまま、それでも楽しく読み終えました。
それって、このテーマとしてはどうだろう・・・?

ぼくのメジャースプーン/辻村深月 ★★★☆☆

忌まわしいあの事件が起きたのは、今から3ヶ月前。
「ぼく」の小学校で飼っていたうさぎが、何者かによって殺された・・・。大好きだったうさぎたちの無残な死体を目撃してしまった「ぼく」の幼なじみ・ふみちゃんは、ショックのあまりに全ての感情を封じ込めたまま、今もなお登校拒否を続けている。笑わないあの子を助け出したい「ぼく」は、自分と同じ力を持つ「先生」のもとへと通い、うさぎ殺しの犯人に与える罰の重さを計り始める。「ぼく」が最後に選んだ答え、そして正義の行方とは!?


<さじ加減というのは、大事なんですよ。>

この作品には、「子どもたちは夜と遊ぶ」の秋山教授、そして(はっきりと名前は出ませんが)多分月子と恭司がゲスト出演してます。
あと、他サイトを覗いてみて知ったのですが、ふみちゃんは「凍りのくじら」に出ていたみたいです。
あれかな?郁也と一緒にバスを待っていた無表情の女の子かな?

今回の主人公は小学生の「ぼく」。
このキャラは今までの辻村作品の中で一番良かったです。
「ぼく」の不思議な力。
「○○しなければ(条件)XXが起こる(結果)」と言うと、その相手はXXが起こるのを恐れて○○をしてしまう、という能力。
この力を使ってうさぎ殺しの犯人に罰を与えたい「ぼく」は、一週間、親戚で同じ力を持つ秋山教授に「力の使い方」を教えてもらうことになる。
「ぼく」の選んだ結論にあまり意外性を感じませんでしたが、その後の真相にはびっくり。
小学4年生にしては頭が良すぎて違和感があったのですが、このサプライズはとても効果的でした。
事件が起きて、「ぼく」が一番に考えるだろうことがなかなか文章に出てこないから、おかしいと思っていたのですよね。
小さな体で精一杯頑張っていたんだなぁと気付いた瞬間、じーんときてしまいました。
やはり、繊細な心の動きを描かせたら抜群に巧いです。

チョコレートコスモス/恩田陸 ★★★★☆


<ひょっとして、今、
何か凄いものを見ているのかもしれない>


読み始める時間帯を間違えたため、晩ご飯抜きで没頭しました。面白すぎて止まらない!

物語のテーマは舞台劇。
求められる芝居はどれも一筋縄ではいかないものばかりで、役者がどういう解釈をし、機転を利かせるかが見所なのですが・・・。
これが素晴らしい!
活字だなんて嘘でしょ?と思わせるくらいの臨場感!
それぞれの役者の情熱や、飛鳥の芝居を目にした劇団員や業界人の驚きが、これでもかと伝わってきて、終始ゾクゾク痺れっぱなしです。

女優にとって恵まれた環境に育ちながらも不安を抱えている響子と、突出した才能を持ちながら、その自覚がない飛鳥。
私も『ガラスの仮面』にハマっていたので、あの興奮を思い出してしまいました。
漫画も素晴らしいですが、小説でこれほどの迫力を出せるなんて・・・さすが恩田さん!
しかし、飛鳥はマヤ、響子は亜弓・・・と、ここまでは良いのですが、響子の親戚・葉月のイメージがどうしても寺島しのぶさんなんですよね。
飛鳥の才能はとても魅力的なのですが、響子に比べると内面が少し掴みにくかったかな?
彼女がもっと貪欲になっていく姿も見たかったですね。
2人はこれから「紅天女」を目指すのでしょうか。

びっくり館の殺人/綾辻行人 ★★★☆☆

館シリーズを1冊しか読んでいないので、期待ハズレだなんて口が裂けても言えません。
それどころか、密室トリックには素直に驚きました!
このサプライズだけで十分満足なのですよ。
そう、細かい事を考えずにね。
きっと、「子供にミステリの楽しさを知ってもらいたい」という想いが1番だったのでしょうね。
「せっかくだから館ファンも喜ばせたい」と練った設定は、完全に裏目に出てしまいました。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、自分用のメモ。真相に触れています。下の方へどうぞ。


























主人公である大学生の回想形式である以上、このトリック自体が無意味なのですよね。
読者を騙すだけでなく、他にその必然性があれば、もっと見事だと思うのですが。
再読すると、伏線があまりに露骨で驚きました。
なんで気付かないかな~自分。
この作品、ホラーに逃げずに現実的な結末を選べば、さらに後味が悪くなったでしょう。
(実は、私はその展開を期待していました。)
全体的に、子供に対するダメージが少なくなるよう配慮が施されているのが分かります。
しかし・・・やはり大人は物足りないぞ。

インディゴの夜 チョコレートビースト/加藤実秋 ★★★☆☆

深く蒼い夜の似合う街・渋谷。近頃女の子たちの話題を集めているのは、一風変わったホストクラブ<club indigo>。スタイリッシュで魅力的なホストが揃うこの店には、今日も厄介な事件が持ち込まれる・・・。連続ホスト襲撃事件、失踪した編集者、飲食店強盗、ホストコンテストを巡る陰謀・・・。ストリートで起こるさまざまな事件に、indigoのホスト探偵団が挑む!『インディゴの夜』でおなじみの個性豊かなホストたちが、夜の街を軽やかに駆けめぐる新世代探偵小説。(あらすじより)

「返報者」「マイノリティ/マジョリティ」「チョコレートビースト」「真夜中のダーリン」の4つの短編集。

前作に引き続き、ミステリ性はかなり薄いです。
すぐに犯人の見当がつくし、ヒネリも無い。
しかし、不思議に読んでいて楽しいのですよね。

主人公・晶は毎度怪しげなテーマの取材に取り組み、塩谷と豆柴の暴言に心の中でツッコミを連打。
憂夜さんは相変わらずミステリアスで、空也は赤ん坊も見惚れるほどのオーラを発してます。
ただ、今回はそれぞれの事件につき一人ずつ、新しいホストが登場するので少しややこしいかな?

表題作の「チョコレートビースト」が一番面白かったです。
事件に巻き込まれる過程もごく自然で、キーパーソンとなる彫師・彫比佐から情報を聞き出すための条件に笑ってしまいます。
何より、タイトルが指すモノが前作でもお気に入りだった彼(彼女?)なのが嬉しい!
ラストシーンまで楽しい仕上がりになっています。

あと、単純に良い話だと思ったのは最終章の「真夜中のダーリン」
吉田吉男、また出てきてほしいなぁ。
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 2005年8月~

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