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川に死体のある風景/歌野晶午・他 ★★★☆☆


目を閉じて思い浮かべてください。
あなたの前を川が流れています。
その川に死体を置いてください。
実力派作家6名が「川と死体」を題材に競い合う!
美しく、トリッキーなミステリ・アンソロジー。(帯より)


面白いと感じたのは歌野作品だけでした。
他はあまりパッとしない印象。
特に「川と死体」で縛る必要も無いような・・・。
『玉川上死』 歌野晶午
かなり好みのストーリーです。
まず、冒頭のサプライズに噴き出しました。
そして、とても魅力的な犯罪者。
真相は大体予想がつくのだけれど、それでもゾッとしてしまいました。
『水底の連鎖』 黒田研二
謎は面白いのですよね~。
次々に新しい情報が出てきて「ふんふん」と読んでいるうちに終わってしまいました。
伏線が少なかったかな。
『捜索者』 大倉崇裕
著者もあとがきに書いているとおり、川というより山の事件です。
登山ミステリが苦手なのでナナメ読みしつつも、トリックはなかなかでした。
『この世でいちばん珍しい水死人』 佳多山大地
う~ん、わざわざ語り手を変える必要があったのかどうか。
『悪霊憑き』 綾辻行人
全体的にシュールな雰囲気の中にも、終盤の展開(色関係)には思わず笑ってしまいました。
でも確かに本格ミステリ。さすがです。
でも、あとがきの実名ミステリの方が面白そう・・・。
『桜川のオフィーリア』 有栖川有栖
トリック云々よりも、映像的に素晴らしかったです。
儚さの演出が上手だなぁ。
短編なのに、学生アリスシリーズだったので驚きました。

HEARTBEAT/小路幸也 ★★★★☆

優等生の僕と不良少女のヤオは、高校の卒業式で『10年後ヤオが人生を立て直すことができていたならあるものを渡す』という約束をした。しかし10年後、彼女は約束の場所に姿を見せなかった。そこに現れた彼女の夫と名乗る人物からヤオが行方不明になっていると知った僕は、同級生だった巡矢と共に彼女の居場所を捜すことに。一方、元華族・五条辻の屋敷では幽霊騒動が発生していた・・・。

初・小路作品です。
この著者の作品は評判があまりパッとしないので、期待はしていませんでした。
しかし、この切なさは抜群!
それぞれの人物に胸が締め付けられるようなドラマがあるのです。

残念なことに、メインの謎はあまり面白くないです。
もう少し巧妙に絡み合っていると予想していたので拍子抜けでした。
この主人公にあまり魅力を感じないせいか、アメリカでの悲劇もサラッと読めてしまったし。
それと、かなり都合の良い展開なのに、所々でまどろっこしい印象が残りました。
ミステリとしては不満だなぁ。

ただ、ラストで判明する大仕掛けには驚いた!
いくら伏線がたくさんあっても気付くわけないって!
まさかこんな展開になるとは思わなかったので、驚きと同時に戸惑ってしまった私。
でも、冒頭に戻って
<Can't you hear my Heartbeat?Can't you hear my Heartbeat?>
を目にした瞬間、涙がぶわっと。
そういう意味だったのか・・・。
終盤まで主人公の力が地味だなぁと感じていましたが、こんな大きな意味があったなんて・・・。
巡矢の哀しい想いも泣けます!!

そして、まさかラスト1行でハッピーエンドになるとは!
これには参りました。
この読後感と、巡矢がここ最近で一番素敵なキャラだったので星1個追加。

情けは人の死を招く/射逆裕二 ★★☆☆☆

亡くなった両親の遺産に頼り無職で暮らしているボク・斉藤和樹の前に、10年前ヤクザにからまれているところを助けた女性が現れる。
晴れて恋人同士となった2人は、ボクが部屋を所有する湯河原のリゾートマンションを訪れることに。
そこで起こった大学教授撲殺事件。
マンションの住人である狐久保探偵が頭脳をフル回転しているところに、続いて第2の悲劇が!


懲りずに続編を読んでしまった私がバカでした。

だから、どうして「ボク」なのか。
他にも「キミ」やら「ノレン」やら「ハデ」やら。
会話文だけでなく、地の文でもカタカナ表記を多用しているので、すごく安っぽいし読みにくい。
特に笑えるギャグも無いことから、軽妙な文章も単に書き慣れてないだけとしか思えなくなってきました。

前作でも気になりましたが、ミスディレクションの処理が不自然すぎる。
なのに、そればかりに力を入れすぎて、真相につながる伏線がほとんど無いのです。
「きっと真面目に推理するだけ無駄だろう」という心積もりでしたが、それでも謎の解明部分ではイライラしました。
ただ1点、女装の怪人と自称・オペラ歌手の設定は相変わらず必然性はないけれど、少しは馴染んできたかな。

今回も次作の予告がありましたが、もういいです。

出口のない部屋/岸田るり子 ★★★☆☆

私に差し出されたのは「出口のない部屋」という題名の原稿。「読ませていただいてよろしいですか?」それは、1つの部屋に閉じ込められた2人の女と1人の男の物語だった。なぜ見ず知らずの3人は、この部屋に一緒に閉じ込められたのか?免疫学専門の大学講師、開業医の妻、そして売れっ子作家。いったいこの3人の接点はなんなのか?3人とも気がつくと赤い扉の前にいて、その扉に誘われるようにしてこの部屋に入ったのだった。そして閉じ込められた。

このあらすじだと、内容を説明できていませんね。
タイトルから密室ものを想像しがちですが、それはほんのささいなこと。
3人がそれぞれ閉じ込められた理由を回想していくと、接点が浮かび上がってくるというストーリーなのですが・・・。

この真相には驚きました!
ミステリ・フロンティアはクセのある作品が多いので、今までミステリとしてはあまり評価できなかったのですが、これは満足!

作中作の構成が折原一さんに似ているので、仕掛けには早い段階で気付きました。
でも真相が見抜けないのです。
ある程度、見当をつけて読み進めるのですが、どうしても所々で噛み合わない。
後は大人しく読み進めるしかなく、エピローグに入った瞬間、「えっ!?」と驚愕。
そして再読すると、伏線が出てくる出てくる。
完全に引っ掛かってしまいました・・・。

全体的に暗くて地味な雰囲気なのに、やけに現実的で面白い。
女の様々な嫌な面を的確に描いていて、「いるいる、こんな人!」と共感しまくりでした。
主要人物以外にコロコロと語り手が変わるので、主観と客観の違いも楽しめます。
色気の漂う文体も非常に好み。
前作『密室の鎮魂歌』はもっとドロドロしているようですが、興味あるかも・・・!

気分は名探偵/我孫子武丸・他 ★★★★☆


6人の作家による犯人当てアンソロジー。  

『ガラスの檻の殺人』 有栖川有栖
やはり、この人のユーモアに満ちた文章は好きだなぁ。
後々考えると一番真っ当な犯人当てだったように思います。
<現場には凶行の湯気が立っていたのだ。>
この言い回しが気に入りました。
『蝶番の問題』 貫井徳郎
貫井作品はまだ3冊ほどしか読んでいないのですが、どうにも空振り感があり、他の作品が手に取れないのですよね。
『被害者は誰?』のようなミステリ集も読後の印象が薄かったので、あまり期待はしていなかったのですが・・・この作品は良かった!
私のとても好きなトリックなんですよね~。
少し見直したかも。
『二つの凶器』 麻耶雄嵩
面白かったけれど、状況が複雑なため、読んでいるだけで疲れてしまいました。
解答編でやっとイメージができて、登場人物の寸分の狂いもない動きに驚くといった有様。
そういや、麻耶作品の中でもタイムテーブルを使ったミステリは苦手だったなぁ。
『十五分間の出来事』 霧舎巧
名前だけはよく目にすると思っていたら、メフィスト賞作家だったのですね。
丁寧なロジックで、一番考える気にさせてくれた作品でした。
初読みの作家さんにしては面白かったなぁ。
『漂流者』 我孫子武丸
驚いた!一番驚いた!
ミステリ読みが思い当たる数々の真相の可能性を、ことごとく消し去ってしまう潔さには脱帽です。
辿りついた結論は、想像を遥かに超えました。お見事!
『ヒュドラ第十の首』 法月綸太郎
確か先日読んだ短編もギリシャ神話絡みだったような気が。
犯人は意外でした~。
でもやっぱり綸太郎は苦手。このキャラは絶対失敗。

巻末には、「謎の著者座談会」という嬉しいオマケが。
まず6人が並んで映っている写真が載っているのですが、その中の4人は以前に著者近影を拝見したことがあるので判別可能でした。
しかし、霧舎さんはともかく、我孫子さんの顔を知らないことに気付いてショック!
ほとんどの作品を読んでいるのに・・・不覚。
おかげでパリッとネクタイ姿の人物を我孫子さんと見当をつけたところ、実はその隣の髪がボサボサで微妙な柄のシャツを羽織った人物だと知って更にショック!!
こんな(全ての意味で)スゴイ人物だったとは・・・。
これまでの作品のイメージが・・・ラブストーリーが・・・。

作家陣が豪華なのでハードルも高いだろうとは予想してましたが、それ以上の内容の濃さだったと思います。
犯人当てはさっぱりでしたが、オマケも含め、堪能できて幸せでした!

怪盗グリフィン、絶体絶命/法月綸太郎 ★★★☆☆


<あるべきものを、あるべき場所に>

タイトル通り、怪盗グリフィンにピンチが続出!
ハラハラと同時に、「え・・もしかしてそんなに有能ではないの?」という疑念も沸いていたのですが(笑)、最後は名誉挽回、格好よく締めてくれました。
怪盗に人間臭さやリアリティを与えることに成功していますね。
ミステリーランドのヒーローものは、比較的安心して読めるものが多いので、このスリル感はとても新鮮!

軽く読める中にも、ほど良く歴史背景や政権事情が組み込まれ、物語の骨組みがしっかりしています。
中心となるストーリーとは別に、贋作画家のエピソードなども楽しめました。

相変わらず、細かく張り巡らされた伏線に唸らされ、どんでん返しには素直に驚きました。
何と言ってもこのキャラのおかげで、従来の法月作品では考えられない読後感の良さ。
痛快冒険小説として最高の出来でした。
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 2005年8月~

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