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ボトルネック/米澤穂信 ★★★★☆

恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕・嵯峨野リョウは、強い眩暈に襲われ意識を失う。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいた。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの姉・嵯峨野サキに出迎えられる。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。僕とサキはこの世界と僕のいた世界との間違い探しを始める。

<どうしようもないことは、受け入れるしかない>

オススメできない傑作です。
読後感の悪さ以上に、この感性とストーリー展開に驚きました。
終盤に至るまで、一体どんな結末なのか想像できないのです。

間違い探しを続ける2人。
その3日間でリョウが目にする決定的な違いの数々。
そこから導き出される答えはあまりに苦く悲しいもので・・・。
終盤の静かな迫力に圧倒されました。
リョウの逡巡はどの結果も絶望でしかない。
八方ふさがりの中、解決策となるラスト一行に呆然となりました。
『ボトルネック』というタイトルが一番残酷です。

闇の底/薬丸岳 ★★☆☆☆


少女を犠牲者とした痛ましい性犯罪事件が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が首なし死体となって発見される。
身勝手な欲望が産む犯行を殺人で抑止しようとする予告殺人。
狂気の劇場型犯罪が日本中を巻き込んだ。
『天使のナイフ』の薬丸岳が描く、欲望の闇の果て。


<罪深き者どもよ、よく見るがいい>

今回のテーマはぺドフィリア。
アメリカ精神医学会刊行の『精神障害の診断・統計マニュアル』が定義するパラフィリア(性倒錯)のひとつで幼児性愛のことだそうです。
幼児への性犯罪の前歴のある人物を殺害していくサンソン(死刑執行人)と、性犯罪事件の犯人を追うと共に、サンソンの正体を突き止めようとする警察。
2つのストーリーが交互に進みます。

ページを進めるのが本当に辛かったです。
どうしても、現実に起こった事件を思い出さずにはいられない。
刑事やサンソンの愛する娘たちの描写が、事件の残酷さを強調しています。
被害者家族の癒えることのない悲しみ。
刑期を終えたことで罪を償ったと勘違いする前科者たち。
過去に妹を性的被害で亡くした刑事・長瀬の性犯罪者に対する怒り。
重いテーマをスムーズに読ませる筆力はさすがだと感じました。
しかし、ここから酷評に・・・。
全体的に短すぎる気がします。
ミステリ的な仕掛けも全て想像通りだったからか、前作の緻密なプロットと比べて大変物足りない。
もう少し書き込んで欲しい部分があったのですが・・・。
警察内部の人間関係にも目新しさがなく、魅力が感じられませんでした。
長瀬の尊敬する上司の言動も納得できないし。
唐突な展開も目に付き、意外なラストには仰天よりも動揺しました。
これで終わり・・・?と。
結局、事件の残酷さだけが印象に残り、著者が何を伝えたかったのかが理解できていません。
でも、再読は無理です。

過ぎ行く風はみどり色/倉知淳 ★★★★☆


一代で財を築いた元・不動産業者の方城兵馬が自宅の離れで殺害される。
その犯人を探ろうと、兵馬が頻繁に自宅に招いていた霊媒師が降霊会を行うことに。
しかし、そこで新たな殺人が!
兵馬と長年反目していた孫の成一は、大学時代の先輩・猫丸に相談するが・・・。


再読です。
倉知作品の中でも名作と評判の本書。
ストーリーはともかく、あるトリックがずーっと忘れられませんでした。
今では決して目新しくなくなりましたが、当時はド肝を抜かれたものです。
再読必要のトリックなので、今回は違った意味で楽しめました。
(しかし、図解まである2つのトリックは脱力モノです。)

長編といっても、猫丸先輩の登場は少ないのですよね。
中盤まで恐竜の化石を発掘に行ってるし。
でも真相解明シーンでは、彼の優しさに初めて(!)好感を持ちました。

しかし、何と言っても長いんですよね~。
超能力や霊能力の薀蓄が盛りだくさんで退屈しました。
確か『壺中の天国』でも薀蓄にはウンザリしたような・・・。

日曜の夜は出たくない/倉知淳 ★★★★☆

孤独な空中散歩者が空から落下したとしか思えない墜落死体。
少女と翌日公園で会う約束をした男は、なぜ凍死したのか?
163人の観客の前で毒殺された俳優。
気のいい恋人は、ひょっとして日曜の切り裂き魔?
数々の不可能状況下の事件に、奇妙な青年・猫丸先輩の推理が冴え渡る!


再読です。
しかし、初読は10年ほど前なので内容はさっぱり。
結果、嬉しい読書となりました。
面白かった!
そして当時、猫丸先輩のイメージが「小沢健二」だったことだけ思い出しました。

猫丸先輩が実際に事件に遭遇したり、安楽椅子探偵ばりの推理で、数々の事件を解決するストーリー。
通常、安楽椅子探偵の真相にはモヤモヤ感が残る私ですが、これは意外にすんなりと受け入れられました。
若干、安易な推理も目立つのですが、親切すぎる伏線と魅力的な謎で、なかなか楽しいミステリになっています。
これでデビュー作だもんなぁ。すごいなぁ。

最後まで読むと、この1冊丸ごとに仕掛けがあることに気が付かされます。
しかし、「おおっ!」というよりも「へぇ~」という感じで、あまり驚けなかったのが残念。
全体に漂うユーモアとラストのブラックな雰囲気は、さすが若竹賞作家ですね。

猫島ハウスの騒動/若竹七海 ★★★☆☆

葉崎半島の先、30人ほどの人間と100匹を超える猫が暮らす通称・猫島。
民宿・猫島ハウスの娘・響子は夏休みを控え、家業の手伝いに精を出す日々を送っている。
そんなある日、響子の幼なじみ・虎鉄がナイフが刺さった猫の剥製を発見。
その3日後には、マリンバイクで海を暴走中の男に人間が降ってきて衝突するという出来事が!
のどかな「猫の楽園」でいったい何が!?


コージー・ミステリの新作です。
しかし、『ヴィラ』や『アゼリア』の内容をすっかり忘れているのですよね~。
かなりたくさんのリンクがあるそうです。再読せねば。

<もっとも、ペルシャ猫はたいてい、
         うんざりしたような顔をしているものだが>


こりゃ猫好きにはたまらないだろうなぁ。
どこもかしこも、猫!猫!猫!
猫に限らず動物好きの私もテンションUP!
各タイトルも猫に関係しているし、イラストもめちゃめちゃカワイイ♪
猫たちの名前の8割は、小説や映画に出てくる猫の名前からとってあるそうですが、全然解らなかったなぁ。

この猫島もとても魅力的なのですよね。
冒頭に全体図があるのですが、それを見ながら読むとワクワク感が高まります。
まるでそこの住人になった気持ちで楽しめました。
「猫の楽園」なんて架空の島ながら、その経済状況やゴミ出しや食料の配達手段などリアルな生活臭が漂うところもイイ。
より一層、住んでみたいと思っちゃうのです。

そして、全体的に若竹さんのユーモアが炸裂しています。
特に、七瀬巡査の活躍(?)は見逃せません。
嫌~な悪意を持った人物が出てこないのでインパクトは弱いですが、読後感は最高でした。

陰日向に咲く/劇団ひとり ★★★★☆


『ビギナーズ・ラックにしては上手すぎる。
  あと二冊は書いてもらわなきゃ。』恩田陸


いやぁ。ほんと上手すぎる。
最初は文章のリズムや古臭い言い回しが気になったのですが、読み進めるとそれが絶妙な持ち味に化けました。
思わず声に出して笑ってしまったり、泣きどころではホロリとさせられたり。すごいすごい!
彼の芸が好きな私としては大満足。オチの付け方などもかなり好みなのです。
各話の構成もよく考えられています。
特に『鳴き砂を歩く犬』のリンクは一番驚きました。
ここで、作品全体の主人公があの人物だったと解るのですね。
一話目からは想像できなかったなぁ。
著者の人柄か、登場人物すべてに優しさが感じられ、読後は温かい気持ちになれます。
この雰囲気はとても心地いい。

さくら草/永井するみ ★★★☆☆


清純で高級感のあるデザインで、十代前半の少女に人気のジュニアブランド『プリムローズ』。
その服を身に着けている少女が次々と殺害される。
プリムローズに執着する男たち<プリロリ>の仕業か?


<プリムローズ・・・さくら草。>

初めての作家さんです。
あらすじに興味を持ったのですが、ミステリよりもファッション業界の内情が楽しめました。

プリムローズに憧れ、毎回コンテストに応募する少女。
その服代に年50万をつぎこみ、応募写真を撮るために写真教室に通う母親。
殺人事件の悪いイメージから、必死にブランドを守ろうとするゼネラルマネージャー。
一人娘を亡くし、精神を患った母親とその姉。
読み進めるうちにどんどん塞いだ気分に・・・。
永井さんは嫌な女性を描かせたら抜群に巧いだろうなぁ。

サクサク読めて面白かったのだけれど、色々と気になる点が。
桜子のキャラにあまり現実味が感じられない。
刑事2人に深みがなく、理恵の過去もとってつけたっぽい印象。
晶子を含め、登場人物に共感はできても好感が持てなかった。

犯人はな~んとなく想像が付きましたが伏線が少なすぎです。
終盤に突然バタバタッと解決するのも不自然かな。

特別料理/スタンリイ・エリン ★★★☆☆


異色作家として有名なスタンリイ・エリン。
今が翻訳モノに慣れるチャンスかも!と調子に乗ったのが間違いでした。
古さもプラスされ、かな~り読み辛かったです。
度々出てくる「~しちまった」という訳も苦手だし。
これだと、クイーンは一生無理かも。

とても不思議な10作品。
これは、ミステリとして読まないほうが良いような。
ラストは読者の想像に任せる、という作品が多いのです。
でも残るのはモヤモヤ感ではなく、とびっきりの不安感だという、まさに「奇妙な味わい」。

表題作の『特別料理』『アブルビー氏の乱れなき世界』が一番解りやすいオチでした。
後味で選べば『決断の時』が良いですね。

「訳者あとがき」ではエリンの作品を訳す大変さが書かれています。
訳者曰く、エリンの作品を楽しむには『想像力だけでなく、ある程度の素養が必要』とのこと。
素養のない私でも雰囲気に酔いそうになったので、やはり凄い才能なのでしょうね。
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 2005年8月~

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