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春期限定いちごタルト事件/米澤穂信 ★★★☆☆

小鳩くんと小山内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校1年生。今日も2人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに2人の前には頻繁に奇妙な謎が現れる。消えたポシェット、意図不明の2枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中に割れたガラス瓶。名探偵面をして目立ちたくないというのに、気がつけば謎を解く必要に迫られてしまう小鳩くんは果たして小市民の星を掴み取ることができるのか?

いつの間にか、図書館に入ってました。
乙一も私が購入させたくらい、めったに文庫は置いてないのに。
そりゃこれだけ人気があれば納得ですね。

少し変わった男女が、恋愛感情抜きで行動を共にするパターンは『GOTH』っぽい・・・かも?
最初は理屈っぽい小鳩くんに耐えられるか心配だったのですが、すでに著者によって「鬱陶しい」人物に設定されているのが良いですね。
そこが辻村作品とは違うんだな。

日常の謎系なので特筆すべき点はないのですが、2人の不思議な関係とスイーツと好感度大の健吾のおかげでページが進みました。
でも、軽く読めるのとは少し違うような。
爽やかさだけではなく、うっすらと苦みが感じられる青春小説。
その点でも『For Your eyes only』が一番好きです。
タイトルもバッチリでした。

周りに敬遠されるのが嫌で小市民を演じているのに、それならそれで「腹に一物ありそう」と勘ぐられてしまう小鳩くんが不憫でした。
これで上手く立ち回ることができれば人気者(工藤新一 by名コナン)なのに、きっと要領が悪いんだろうなぁ・・・。

小山内さんは大人しさの裏に度々小悪魔系を匂わせていたので、終盤ではやっぱりか!と。
こういう展開は大好き。
でも、過去に何があったのか、まだ引っ張るの!?

顔のない敵/石持浅海 ★★★★☆


対人地雷をテーマに描かれた6つの短編&デビュー作。

対人地雷にも1997年の全面禁止条約にも全く無知な私ですが、意外に楽しめました。
石持作品では動機や登場人物に共感できないことが多々あるので身構えていたのですが。
これは事件そのものが面白く、議論も簡潔で興味深いものばかりでした。
ミステリに絡めながらも、地雷の危険性や救援活動が抱える問題など、うるさくない程度に提起しているので読みやすかったです。

どれも初期の作品だということで、レベルの高さにびっくりなのですが、現在の作品で感じるモヤモヤ感もギュッと凝縮されています。
罪を犯した人物を見逃したり、素晴らしい頭脳を褒め称えたり・・・。
ほんと短編で良かった。

事件発生年がバラバラなので、1話目で殺害された人物が後で登場したりします。
時系列どおりに読むと結構キツイものがありますね。
地味ながらも『トラバサミ』が一番好きです。
1つのトラバサミで日本に(警察に対して)地雷原を再現できるという解釈が見事でした。

都市伝説セピア/朱川湊人 ★★★★☆


名前だけは知っていたけれど、何となく手に取ることはないだろうと思っていた作家さん。
先日の『世にも奇妙な物語・秋の特別編』で、唯一感動した『昨日公園』の原作者と知り、「これは!」と慌てて図書館に予約したのでした。
読んで良かった。


『アイスマン』
『夜市』と同様、ノスタルジックな雰囲気の作品。
ホラーなのか幻覚なのか。
独特の語り口調が不気味さを際立たせ、背筋がヒヤリとしつつも先が気になって仕方がない。
しかし、オチが乙一の某作品と丸々同じなのが気になりました。ハテ?
『昨日公園』
文句なしに良かったです。
ドラマには無かったラストの主人公の台詞にじ~んときました。
設定は若干違っていましたが、こちらの方が好みですね。
原作を知っていたらドラマではそんなに感動しなかったかも、とさえ感じてしまった。
『フクロウ男』
正当な「都市伝説」モノ。
どこをとっても乱歩風です。
仕掛けには薄々気づいたのですが、少し捻りがあって驚きました。
『死者恋』
この作品はアンソロジーで既読でした。
内容は苦手だけれど、艶のある文章で読ませます。
『月の石』
設定はホラーなのですが、とても現実的で考えさせられる作品です。
自分の決断は正しいのか、後悔しないのか、その迷いに答えは出ない。
ラスト、月を仰ぐ主人公の姿がとても爽やかで、澄んだ気持ちになりました。

シャドウ/道尾秀介 ★★★★☆

母の死後、父・洋一郎と2人で暮らすことになった凰介。
数日後、幼馴染の亜紀の母親が、夫の職場の屋上から飛び降り自殺を遂げる。
そして亜紀は交通事故に遭い、洋一郎までもが・・・。
父とのささやかな幸せを願う小学5年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは?


<Who's the shadow?>

東京創元社の期待の表れか、装丁のセンスが素晴らしい!
しかし、これもまた賛否両論パックリ分かれそうな問題作です。

同じ時刻の出来事がそれぞれ別の人物の視点で語られるという構成は、とても面白いです。
これだと、どうしても読者を騙しにくくなるはずなのに、そこはさすが道尾さん。
絶妙なセンスで伏線が張り巡らされているのです。
今回は登場人物が怪しいキャラばかりなので、ミスリードがとにかく多いです。
一度読んで理解していたはずの描写が、再読すると全く違う意味を持っていたことに気づき、何度も「ああ!そういうことか!」と唸りました。

壊れかけたキャラや歪んだ親子関係など、暗くて重い雰囲気は『向日葵~』と似ています。
しかし、不条理が緩和剤になっていた『向日葵~』の方が、まだ気楽に読めました。
こちらは何と言うか・・・生々しいのです。
特に、思春期というテーマが苦手な私は、思わず引いてしまう真相が多くて参りました。

ラストも爽やかな中に不安が残るという何ともいえない読後感。
終盤のやや強引なストーリー展開についていけなかったのと、やはり『向日葵~』には及ばないと感じたので、評価は星1つ減点。
少し期待しすぎたかな?

東京創元社『Webミステリーズ!』のあとがきがとても良いです。

<描いてある感情すべてにすんなりと同感できるような小説に、僕は意味があるとは思えない。>

まさに、その考えが伝わってくる作品でした。

少女は踊る暗い腹の中踊る/岡崎隼人 ☆☆☆☆☆


鬼畜パワー、炸裂!

内容が内容なので相当の覚悟で挑戦しましたが、想像を軽く上回りました。
散々悩んだ挙句、好奇心に負けて手に取ってしまった自分を投げ飛ばしたい。

「勢いがあり、グイグイ読める」点が評価されているそうですが、私はあまりの気持ち悪さに5、6回中断を余儀なくされました。
延々、暴力と殺戮の繰り返し。
終始、「無理!無理!」と呪文のように唱えつつ、それでも頑張って完読したのは、真相に期待していたから。
グロ描写ではドッコイの浦賀作品も「読んで損した」とは思ったことがないし、と。

しかし、ここでも予想を裏切られ、読後は脱力感に襲われました。
真相究明から何から、全てが主人公に都合よく進んでいくので、興奮も何もあったもんじゃない。
「勢い」に乗れない分、要所要所の詰めの甘さが気になってイライラするし。
見立て殺人や過去に縛られる主人公など、それぞれのパーツには惹き付けられるのですが、全体としてはかなり雑な仕上がりです。
そして、嫌~な真相でした。

ノワール小説なので登場人物に共感できないのは当然ですが、もう少し魅力的なキャラを描いて欲しかったです。
特に女性はヒロインの蒼以を含め、みんな人形のようでした。

赤い指/東野圭吾 ★★★☆☆


この家には、隠されている真実がある。
それはこの家の中で、彼等自身によって明かされなければならない・・・。
犯罪を超えたその先に、本当の闇がある。
2日間の悪夢と、孤独な愛情の物語。


<捨ててきて>

こんなダメ家庭って意外と多いのではないかという不安で一杯に。しんどい読書でした。

認知症介護、嫁姑問題、少年犯罪。
深刻なテーマを絡ませますが、その中心となるのは家族愛です。
罪を犯した息子を守るために、家族が下した愚かな決断。

少年犯罪の扱いが小さいと感じたのですが、そこが問題ではないのですね。
もし直巳が殺害したのが大人だったならば、このような選択以外にも方法があったでしょう。
東野さんは「条件」をつけるのが本当に巧い。
二転三転する真相が少しパンチ不足でした。
なぜか次々と著者の意図が読めてしまい、結末に近づくにつれて冷めてしまうという残念な結果に。
私としては、主人公がここまで虫唾の走るキャラだと「あ~清々した!」という感想しか出てこないのですよね。
もう1つ気になるのが、加賀さん側の親子愛。
加賀さんの父親って『眠りの森』の筆談でしか記憶にないのですが、とても不仲だったような・・・。
なぜこのラストに結びつくのか、唐突すぎて戸惑いました。
以前短編として発表した作品を長編に書き直したとのこと。
確かに『嘘をもうひとつだけ』の一編だとしても違和感がないかな。
なんだか、もう少し描き込んで欲しいような、逆に短編の方がスッキリしてたかも、という中途半端な印象を受けました。

ハナシにならん!笑酔亭梅寿謎解噺2/田中啓文 ★★★★☆


『蛇含草』
前作でO-1グランプリに出場が決定した竜二。結果は散々で、東京と大阪の落語の「粋」の違いを考えさせられる。
『天神山』
超人気芸人の武者河原ハテナの付き人を務めることになった竜二。ひょんなことからTVに出演することになり・・・。
『ちりとてちん』
ハテナの紹介でバラエティーのコーナーを持つことになった竜二。取材拒否の豆腐料理専門店に突撃して許可をもらうという内容なのだが・・・。 
『道具屋』
ラジオの仕事をもらった竜二は、なかなか努力が報われずに空回りしていた。そんな時、梅寿の勧めで猿右衛門師匠のところで稽古することに。
『猿後家』
梅寿の所属する松茸芸能の社長が代替わりすることになり、演芸場に落語家が出れなくなるという危機が。
『抜け雀』
松茸芸能をクビになった梅寿は個人事務所を立ち上げると言うが、運営資金の当ては全くない。偶然、鳥巻商事の社長と出会った竜二は、ある取り引きをもちかける。 
『親子茶屋』
鳥巻社長の立ち上げた芸能プロで独演会を開くことになった竜二。しかし、梅寿を裏切ったことで周りの反応は冷たく・・・。


お気に入りの作品がシリーズ化されるのって本当に嬉しい!
待ってましたの第2弾です。

面白かった~!
今回は前作よりもグッとミステリ色は薄く、竜二の成長話がメインとなっています。
落語だけを強調するのではなく、竜二が今まで軽視していた漫才師やTVタレントに対しても、考えを改めていくところが楽しいのですよね。
そのためか、前作で才能があるとされた竜二は今回は見事なくらいコテンパンにされます。
今回も梅寿師匠の人情や名言がたっぷり。
『ちりとてちん』のオチには笑い転げ、『道具屋』のラストはじ~んとさせられ、『抜け雀』の展開には驚かされます。

<幽鬼夜魂々教(雪やこんこん教)>や<幽鬼夜斎無能厄先生(有機野菜無農薬先生)>など西澤作品かい、とツッコミたくなるような名称も登場。
田中さん、楽しんで書いてるなぁ。
第3弾も早めにお願いします!

芥子の花 金春屋ゴメス/西條奈加 ★★★★☆

上質の阿片が海外に出回り、その産地として、日本をはじめ諸外国から槍玉に挙げられた江戸国。老中から探索を命じられたのはご存知『金春屋ゴメス』こと長崎奉行馬込播磨守。ゴメスは、異人たちの住む麻衣椰村に目をつけるが・・・。辰次郎、NY出身の時代劇オタク・松吉、海外旅行マニア・奈美といった面々はもちろん、女剣士朱緒をはじめ新メンバーも登場。ますますパワーアップした異色時代小説。

<知らざぁ言って聞かせやしょう。華のお江戸の名(怪)物奉行『金春屋ゴメス』たぁおれのことだ!>

続編がこんなに早く出るなんて!
期待通りの面白さで一気読みでした!

裏金春の人々はやっぱり個性的で魅力たっぷりで笑ってしまいます。
個人的にお気に入りの甚三の出番が少なかったのが不満だったりして。
もちろんゴメスのパワーも健在。
そして、前作で裏金春を出て行った十助の代わりにゴメスの世話役となった美女・朱緒。
注目すべきは辰次郎の恋・・・!

阿片の情報を得るため、身分を隠して流人島に潜入するという、お約束のドタバタもあり。
ゴメスの武家試験時のエピソードや、鯉を魚質(?)にしての大番頭とのかけひき、ゴメスと辰次郎の意外な接点など、見所も盛りだくさん。
前作のゾクゾクするような感覚がないのは仕方ないとして、とても楽しめました。
このシリーズ、どんどん続けて下さい!
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 2005年8月~

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