スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

美濃牛/殊能将之 ★★★★☆

フリーライターの天瀬とカメラマンの町田は、「奇跡の泉」の取材のため、岐阜県の暮枝という集落に向かう。
そこで起こる連続殺人。
大地主である羅堂一族を狙う殺人者は一体?


図書館の予約本がなかなか回ってこない、魔の停滞期間に突入。
麻耶作品と同様、なかなか新作の出ない殊能作品を再読することにしました。

<そやから、この犯人もわらべ唄に見立てて人殺しを・・・>
<そんなことして、なんになるんです?>
石動は両手を広げて、村人たちを見回すと、大声で叫んだ。
<誰もろくに歌詞すら覚えてないのに!>


殊能作品で一番好きなのは登場人物のキャラ設定。
特に、短気の出羽と村長・藍下との関係が絶妙で、これが再読したいと思った一番の理由です。
他にも、宿泊先の奥さんに頼まれ一生懸命草むしりを手伝う、パンクロッカー風の町田。
代表という立場を嫌がりながら、困っている人の力になりたいと思っている保龍。
どこか愛嬌があって憎めない登場人物たちのおかげで、快適に読み進めることができるのです。

今回、再読してみても、それぞれのネタには意外性があって好みでした。
大技トリックが無いことで、全体的な印象が薄いのでしょうね。
とても悲惨な真相なのに、あっさりした読後感でした。

色々な人物の視点で物語が進むのも、巧妙に伏線が張られていて面白いのですが、最終的に主人公・天瀬の存在が薄くなってしまってます。
天瀬と窓音の関係も、お互い惹かれ合っているのか、天瀬は何を苦悩しているのか、初読時と同じモヤモヤ感が残りました。

芸術論が多いので退屈もしますが、やっぱり好きなんですよね。殊能作品。

ハードボイルド・エッグ/荻原浩 ★★★★☆

「私」はフィリップ・マーロウに憧れ、日々ハードボイルドな生き方を目指している探偵。
実際は猫やイグアナ探しなど、主に動物専門の便利屋なのだが。
このたび、(下心たっぷりで)秘書を雇うことを決め、履歴書にダイナマイト・ボディの写真を添付してきた美女を採用することにした。しかし、やってきたのは・・・?


<ねぇ、便利屋さん> <探偵です>

初めての作家さんです。

ハードボイルド風ということで、霞流一さんと比べてしまうのですが、こちらは腹を抱えて笑うというよりも、常に「フフッ」と笑みがこぼれるような作品でした。
秘書・綾との掛け合いがとても楽しいです。
言い回しがユニークなのですよね。

事件はそれほど目新しいものではなく、少し中だるみを感じました。
ページが多すぎるかな。
しかし、ラストではしっかり泣かされました。
最初から予想していた真相なのですが、そこに「現実の自分との折り合いがつかない」主人公という設定が活かされているのがお見事でした。

最初と最後の数ページのイラストでまた涙。
文庫でもこのイラストは残しておいて欲しいなぁ。どうなってるんだろう。

終盤、「私」が小学生の男の子にかける言葉が良かったです。

<死ぬなよ。死ぬのは怖いぞ。一度、死にかけると、絶対死にたくなくなるぞ>

配達あかずきん/大崎梢 ★★★☆☆

近所に住む老人に頼まれたという謎の探求書リスト「いいよんさんわん」の意味とは?
コミック「あさきゆめみし」を購入後、失踪した母の行方を探しに来た女性。
配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真。
駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の良いアルバイト店員・多絵のコンビが、さまざまな謎に取り組んでいく。
初の本格書店ミステリ、第一弾!


まず、『パンダは囁く』のゾクリとくるオチにびっくり。
伏線が弱いため、唐突な展開に驚いたというのが正解ですが。
こういう流れは結構好きです。
表題作の『配達あかずきん』、これはタイトルがとても良いですね。
美容院に置いてある雑誌なんて気にも留めてなかったのですが、毎回、本屋さんが配達しているとは。
こういう裏話も興味深かったです。
やっぱり書店員って大変なんだ・・・。
『六冊目のメッセージ』では、本でつながる素敵な出会いに心が温まりました。
私なんて好みが特殊なので、人にオススメするときはドキドキしっ放しなのですが。
こんなセンスの良い読書家になりたいものです。
『ディスプレイ・リプレイ』では、オタク男に対する杏子の接客態度に疑問が。
「お客様」に対してそれは無いのでは・・・??

「書店本格ミステリ」ではなく、「本格書店ミステリ」と紹介されていることに納得です。
どれも一応、伏線はあるのですが、多絵の真相解明シーンで一番重要な情報を知るパターンが目立つため、犯人はともかく動機が推理できないのです。
個人的には杏子と多絵のやりとりに、もう少しユーモアが欲しかったなぁ。
2人の関係は実に微笑ましいのですが、会話が普通すぎて笑える要素がないのです。
同じくミステリとしては弱い『インディゴの夜』シリーズのように、地の文でのツッコミがあれば、もっとテンポ良く楽しめたのではないかな。
最新記事
検索フォーム
記事一覧

 2005年8月~

カテゴリ
プロフィール

めみ

Author:めみ
FC2ブログへようこそ!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。