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ダブル/永井するみ ★★★☆☆

契約ライターの多恵は、若い女性が突然、路上に飛び出し車に轢かれて死亡するという事件に興味を持ち、独自に取材を始める。その女性・鉤沼いづるは容姿が醜くく、公衆の面前で恋人にいちゃつくなど目に余る行動をしていたという。後日、同じ地域で駅の階段から男性会社員が転落死する。多恵は2人の被害者に共通する「周囲への印象の悪さ」に注目し、関連を調べることに。一方、妊婦の乃々香は、被害者が以前所持していたストラップや名刺入れを手に入れていた。大切な「記念品」として。

<なんで、あんたが?というような相手が自信満々に振る舞っている姿ほど、見ていて不愉快なものはない>

物語は、多恵と乃々香の2つの視点で交互に進んでいきます。
ありふれた手法なのに、なぜか異様に面白い。
この作家さんは、女性の心理(主に嫌な面)を描くのが上手いのでしょうね。
追う多恵と追われる乃々香。
2人の心理戦はなかなか読み応えがあって、友情に似た感情が芽生えそうになったり、少しヒヤリとするシーンもあり。
以前読んだ『さくら草』と同じく、感情移入ができる登場人物が全くいません。
乃々香はともかく、多恵にまで好感が持てないところが凄い。
意地悪な気分にどっぷりと浸りながらの読書でした。

最後まで予想通りの展開でしたが、鉤沼いづるの恋人・佐藤の言葉にはじ~んときました。
いづるは本当に幸せだったんだなぁ。
ここで読後感がぐんと良くなりました。
物足りないと感じたのは、乃々香の旦那さんの件。
ここは、ドッロドロを期待していたのですが。

「先入観」の怖さを痛感した作品でした。

親切なおばけ/若竹七海、杉田比呂美 ★★★☆☆

近所の人に「おばけやしき」と呼ばれる古い家に暮らしているノノコちゃん。
同じ年代の子どもたちにも「おばけ」呼ばわりされ、いつも一人ぼっち。
そんなノノコちゃんに、おじいさんは
「親切なおばけになったら、きっと良いことが起きるよ」
と教えてくれる。
ノノコちゃんは親切なおばけになるため、奮闘するのですが・・・。


今回は絵本ですね。
若竹作品や宮部作品でおなじみの杉田比呂美さんが、イラストをぎっしり描いてくれています。
これが、ものすっごい可愛くてたまらんのです。

とても短いお話ですが、若竹さんらしいユーモアたっぷりの文章とスピーディーな展開。
本当に、おいおいおい、どこに転がるんだ?と心配になるくらい先がよめない。
めいっぱいのドタバタ劇で笑わせた後、しんみりとせつない余韻が残るのはさすがですね。
とにかく眺めているだけで微笑ましくて、部屋に飾っておきたい一冊です。

ステーションの奥の奥/山口雅也 ★★★☆☆

小学6年生の陽太は、同居している叔父・夜之介の影響でミステリや怪奇小説が大好き。「将来の夢」という作文で「吸血鬼になりたい」と書いてしまい、学校でカウンセリングを受けることに。カウンセリングを何とかクリアした後、2人は夏休みの自由研究のために、取り壊し寸前の東京駅の取材に出かける。そこで殺人事件に巻き込まれ、おまけに夜之介が失踪してしまった!陽太はガールフレンドで将来は名探偵志望の留美花と一緒に、事件の真相を推理するのだが・・・。

ミステリーランド第11回配本。

山口さんの作品で既読なのは『ミステリーズ』のみ。
この作品、本格ミステリファンには非常に厳しい評価を受けているので、
あまり期待しないで読みました。
文章は「子供は理解できるのかな?」と思う箇所がいくつか。
最近の少年犯罪傾向を匂わせる記述にはドキッとしました。
東京駅が舞台なんですよね。
私にはあまり馴染みのない場所なので、延々説明されても全く想像できないのです。
身近な場所に隠された部分がある、というワクワク感が重要なのでしょうが・・・。
事件が起こるまでがひたすら退屈に感じました。

「死体の切断理由」と「密室トリック」の2つが主な謎で、
陽太と留美花が一生懸命論理的な推理を展開するのですが甘い甘い。
終盤で「バカミス」やら「脱力系トリック」とか言われている理由が判明。
私は「あはははは~!」と声に出して笑っちゃいました。
ミステリとしてはさすがにどうかと思うけれど、こういうの結構好き。
いいんじゃないですか?
あとがきの「わたしが子どもだったころ」を読んで、陽太と夜之介の関係をより微笑ましく感じました。

時計仕掛けのイヴ/関田涙 ★★☆☆☆

大学生の深澤は帰宅途中、頭に衝撃を受けて気絶する。目を覚ますと女性用のカーディガンが頭に巻かれていた。目撃者の話では、上からガラスの灰皿が落ちて頭に当たる直前に、そのカーディガンが巻かれていて、おかげで軽症で済んだということ。周りには他に誰もいない状況だったはずなのに、深澤は薄れゆく記憶の中で、頭にカーディガンを巻いてくれた女性に一目惚れをしてしまっていた。後日、バイトで訪れたバーでその女性・希莉絵を発見。希莉絵は不思議な能力を持っていた・・・。

『あの朝、僕の周りには、眠りという魅惑的な餌をぶら下げた小癪な魔物がうようよしていた。』・・・などの言い回しに慣れなくて、数行で断念しそうになりました。
かと言って、全てが文学調ではないので、たまに出てくるこういう表現がとても浮いてて気になるのです。

主人公の深澤が軽薄で調子が良くてあまり魅力的とは思えません。
希莉絵を発見してからのストーカーっぷりは、ハッキリ気持ち悪いです。
なのに、意外にすんなりと深澤を信用する希莉絵もどうなのか。
彼が「希莉絵ちゃん」と呼ぶたびに、鳥肌が立つのですが。
このあたり、2人の出会いが「運命」だったと片付けられても納得できないぞ。

本筋に入るまでがひたすら長いし、彼らが事件に関わっていく過程も強引すぎます。
希莉絵の時間を止める能力という設定も、くろけん作品っぽくて好きなんだけれど、どうも活かしきれていない印象。
読後は、その必要性すらなかったようにも感じます。
面白くなる要素はたっぷりなのですが、真相も伏線も含め全体的に弱いのですよね。
無意味な描写が多いのは、犯人当て小説として連載されたものだから仕方ないのかな。

不満ばかり書きましたが、こういった形で出版されていない他の作品だったら、(ミステリ面は)もっと楽しめたかもしれません。
事件が起こる前に解決しようとする試みはなかなか斬新でした。

カタブツ/沢村凛 ★★★☆☆

短編集ですが、どのお話もカタブツというより、不器用にしか生きられない人物が登場します。
決して極端ではなく、少し共感できるようなキャラとして描かれているのがツボでした。

初めての作家さんなので、最初は読みにくくて困りました。
自然体の文章って苦手なんですよね。
でも、読み進めるうちに、味というか色というか、どんどん滲み出してきて・・・。
読後感がとても良いものと、お先真っ暗な結末とのギャップも良いです。
展開が無理矢理だったり、オチもどこかで読んだことがあるものが多いし、
ミステリとしては小粒なのですが、不思議と満足しています。

お気に入りは「とっさの場合」
ミステリではないのに、このオチには驚きました。
良くできた解決策です。
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 2005年8月~

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