スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ママの友達/新津きよみ ★★★★☆

主婦の典子は、娘との関係がうまくいかないことで悩んでいた。そんなある日、典子のもとに、中学時代の交換日記が届く。差出人の名前はないが、最後に日記を書いていたのは、メンバー4人の中でリーダー格だったハセジュンこと長谷川淳子だった。ところが、テレビで淳子が他殺体で見つかったとのニュースが。1週間も前に殺された淳子が、日記を送れたはずなどない。これは誰かのたちの悪いいたずらか、それとも・・・?

<友達って言うのかな、それ>

あまり興味のなかった新津作品。
評判が良いので読んでみることにしました。

殺人事件が問題ではなく、被害女性の友人だった3人の女性の生活を中心に描かれています。
学校へ行きたがらない中学生の娘を持つ典子(ノリ)。
45歳にして1歳半の娘を持つシングルマザーの明美(アケ)。
子供が結婚や大学進学で家を離れ、自分勝手な夫と2人で暮らす久美子(クミ)。
中学時代、リーダーシップがあり、活発で成績がよく、人望も厚かった淳子(ハセジュン)。

人物描写が見事です。
細かい心の動きまで描かれていて、とことんリアル。
全く立場は違うのに、不思議となぜか共感できるのです。

それぞれの悩みはそれぞれ深刻なのですが、一番興味深かったのが久美子のケース。
彼女の夫が強烈で、外面だけは良く、久美子を実に回りくどい方法で追い詰めていくのです。
モラルハラスメントという言葉はよく聞くけれど、こういう人が実際にいると思うとゾッとします。
だからこそ、最後の久美子の決断はこちらもスカッとさせられました。

事件のオチはともかく、読み応えがありました。
少し儲けた気分。

サニーサイドエッグ/荻原浩 ★★★☆☆


最上俊平はフィリップ・マーロウに憧れる私立探偵。失踪したペットの捜索が主な仕事。ある日、和服を着た若く美しい女性から「猫捜し」を依頼される。そして、ひょんなことから「ブロンドで青い目の若い」秘書まで雇えることになった。おまけにヤクザの猫捜しや、付近で起こる動物殺傷事件など、最上はまたしてもトラブルに巻き込まれることに・・・。

<私たちはしばしカウンターの向こうとこちらで、
           人に不一致と言われるそれぞれの自己の中へ埋没した>


『ハードボイルド・エッグ』続編です。
前作がとても切ないラストだったので、まさか第二弾が出るとは思ってませんでした。

あいかわらず、最上の語り口が面白くて、つい吹き出してしまいます秊。
でも、それがなければ、退屈で最後まで読めなかったかも。
ページ数のわりに、内容が乏しいのです。
秘書とのやり取りも少ないので、もう少し描き込んで欲しかったなぁ。
少し物足りなさを感じました殮。

ラスト一行は痛快です。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
荻原作品がこれが2冊目なので、残酷な描写もあることにびっくりしました。
最上と茜のやり取りが少ないので、突然の『解離性同一性障害』に戸惑ったり。
ラスト、茜が動物殺傷事件の犯人なのでは?という流れになった時は、さすがにゾクリとしました。
ハッピーエンドで良かった、良かった。

ソロモンの犬/道尾秀介 ★★★☆☆


大学生・秋内、京也、智佳、ひろ子の目の前で、教授の息子・陽介が事故死した。
散歩中、愛犬・オービーに突然リードを引っ張られ、トラックに轢かれたのだ。
オービーは一体、何を見たのか?


<その指輪さえあれば、簡単に答えが出るのにね>

何となく、伊坂チックな文体が気になる・・・。

道尾さんの「青春ミステリ」に驚きましたが、キャラクターが愉快で違和感なし。
ヒロインの言葉にいちいち悶々としたり、妄想したりする能天気な主人公が笑えます。
お気に入りは間宮先生。
終盤の役割も含め、とびっきりのキャラでした。

ミステリとしては、かなり薄味です。
ミスリードも、やけに大雑把だし、真相に導く論理も多少アンフェアに感じました。
サプライズマジシャン・道尾秀介だけあって、終盤の意外な展開には驚かされ・・・というより苦笑い。
『片眼の猿』と同じく、ここまで本筋と関係のないサプライズだと、ズッコケます。
もはや作風となりつつある「言葉遊び」の炸裂に、ニヤリとしてしまいましたが。

青春小説としてはなかなか楽しめますが、それほど爽快さが感じられないのがマイナスかな。
道尾さんは、書下ろしの方が勢いがあって好きだなぁ。
(『片眼の猿』も連載だったし・・・。)
読んでいる間は面白いのですが、後でモヤモヤが残るので、ここは星3つで!

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
『スズメと目が合った』ことにも意味があったことに驚いたのですが、伏線あったっけ?
あと、『眼鏡と包丁』は、秋内が家のTVで木原さんを見ている時にも、間宮先生の家でオービーが吠えていた、という記述がないと少し弱いなぁ。

「犯人」は終盤で予想がつきましたが、不満なのはその伏線の張り方。
「犯人」の存在を読者が知るずっと前の描写だし、「ああ、そ~なんだ~」としか。
願わくば、あの4人の中に犯人がいて欲しかった!
伊坂が無理なら、せめて米澤風に。

首鳴き鬼の島/石崎幸二 ★★☆☆☆

相模湾に浮かぶ、竜胆家の私有地・頸木島は「首鳴き鬼」の伝説から、首鳴き島と呼ばれていた。
首を切られた鬼の身体が首を求めて鳴きながら彷徨うという伝説だ。
若者向け情報誌の怪奇スポット特集の取材で、ガールフレンドの茜とともに島を訪れた編集者・稲口は、後継者問題で一族が集まる頸木島の頸木館で、伝説に見立てた連続殺人事件に巻き込まれた・・・。


石崎作品はこれが初めて。
評判は良いみたいなので、これはもう相性の問題なのでしょうね。

とても苦手な文体のせいか、大好きな設定なのに、全くページが進まない。
人物も会話も薄っぺらくて、横溝風の舞台が台無し。
後半に出てくる刑事たちも、東川作品なら自然と受け入れられるキャラクターなのに、笑えるギャグが見当たらないせいか妙に不快に感じたり。
特に影石の気の利いた(?)言い回しには、イライラしました。

ミステリ面は、可もなく不可もなくってトコでしょうか。
全てに違和感のある状態での事件なので、整合性がとれているのかどうか、確認する気も起きませんでした。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
真相は稲口の推理で見当がつきました。
というか、それしかないよな~って。
血のスプリンクラーなど、DNA鑑定しか遺体の特定ができなくなるようにするという流れは自然だったかも。
慎一郎の動機が、感情をベースとしているので、もう少し人物を描いて欲しかったなぁ。
美紗子さんの実子の殺害を承諾したというくだりも、後味の悪さをこれっぽっちも感じなかったし。
スラスラ~っと読んで終わり、みたいな。
序盤のあまりのつまらなさに忘れてましたが、プロローグは巧いのですよね。

収穫祭/西澤保彦 ★★★★☆

1982年8月17日夜。暴風雨の首尾木村北西区で村民が虐殺される大量殺人が発生。しかし悪天候のため地区は孤立、警察の到着は翌日になってからだった。生き延びたのは中学3年の少年少女3人と彼らが通う分校の教諭ひとり。被害者は3人の家族ら14名で、そのうち11人が鎌で喉を掻き切られていた。犯人は事件当日、逃走後に事故死した英会話教室の外国人講師と断定された。9年後、フリーライターが生き残った者たちへの取材を開始するや、猟奇的な殺人事件が起こる。(帯より)

<こんなに殺していいものか!?>

装丁が怖すぎる。
ジュゼッペ・アルチンボルドの装画だけでも充分不気味なのに、プラス血しぶきですよ。
読後にゾクリとくる、このタイトルも秀逸。

ストーリーは、1982年の事件の日から始まり、フリーライター・涌井の生存者への取材、そして新たな殺人事件へと発展します。
最初の事件を描いた第1部は文句なしに面白い。
次々に死体を発見する子供たちのパニックと、孤立した村の緊迫感、そこで出会う精神に異常をきたした人物への恐怖感が、見事な筆致で描かれていてゾクゾクさせられます。
残念ながら、第2部以降はトーンダウン。
少し退屈でした。

ミステリ面では、生存者の記憶が不鮮明という点に不満が残りますが、伏線は非常に巧妙です。
さりげないけれど頭の片隅に残っていた描写が、真相とバッチリ繋がっていて驚かされます。
完全に謎が解ける訳ではなく、ところどころ読者の想像に委ねられているあたりがまた巧い。

以下、気になった点。
中盤のリアリティに欠けた展開が納得できない。
西澤作品らしさと言えばそうだけど、題材を考えるとおふざけ感が否めません。
そして、第2部以降は『フェティッシュ』同様、タガが外れっぱなし。
今回は極限状態やトラウマという原因で説得力があるはずなのに、西澤作品では不要なエロ描写がパターン化してるので「またかよ~」とゲンナリしてしまうのですよね・・・。
これ、エロを削ればきっと半分の厚さになっただろうなぁ。

後味が相当悪いし、冗長にも感じますが、訳の解らない迫力と魅力のある作品でした。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
やっぱり長い。一気読みとはいかなかった。
でも、最初の段階でうっすら予想がついた犯人が、この長さのおかげで疑惑が薄れたから、効果はあったのかも。
『夏の夜会』でも感じたけれど、記憶に頼ったミステリはスッキリしないなぁ。
思い出せば終わり、だからなぁ。

疑惑/折原一 ★★★☆☆


折原作品はやっぱり短編の方が好きです。
今回は、個人的に結構楽しめました。

『偶然』・・・「母さん?俺だよ、俺」。受話器を取った房枝に怪しげな声が・・・。
『疑惑』・・・夜な夜な部屋を出てゆくひきこもりの息子は、もしや連続放火犯?
『危険な乗客』・・・謎の猟奇殺人が世間を騒がせる折、新潟行き快速電車で隣り合わせた女性客からはなぜか血の臭いが・・・。
『交換殺人計画』・・・遺産を狙って父親の殺人を企てる息子。交換殺人計画の全貌とは?
『津村泰造の優雅な生活』・・・家をリフォームして快適な老後生活をおくる津村。悩みは隣の騒音おばさんと、家出したきりの不肖の息子・・・。


振り込め詐欺や、放火、騒音おばさんなど、話題になったテーマを絡ませながら、意外な着地へと導くテクニックはスゴイです。
『偶然』の真相には一番驚きました。
このタイトルだけに、文句が言えません。巧いなぁ。

烏金/西條奈加 ★★★☆☆


因業な金貸し婆、お吟のもとに現れた謎の若い男、浅吉。
お吟のもとで押しかけ居候を始めた浅吉には、実は秘密の目的があった・・・。
相棒の烏、勘左とともに、浅吉が貧乏人を救う!


<振る袖がねえなら、拵えてやったほうが早えだろ>

烏金というのは、朝に借り、夕方返す金のこと。
金を貸しても、返して貰えなかったら意味がない。
それなら貸した相手を、商売で儲けさせればいいじゃないか。
これは、現在のマイクロクレジットという仕組みです。
資金繰りの出来ない侍や、貧しい子供たちのために、策を練り、奔走する浅吉の姿は立派です。
金儲けの方法がもっと奇抜だったら、面白かったかもしれません。

浅吉のお吟への目的が終盤で明らかになるのだけれど、その謎で最後まで引っ張るのは弱いと感じました。
確かに意外な真相でしたが、私としては最初から解っていたほうが、別の気持ちで読めたのにと少し残念。
数々のエピソードにも心惹かれることなく、どれも印象に残りませんでした。
やっぱり、ゴメスシリーズのインパクトが強すぎます。

狂人の部屋/ポール・アルテ ★★★★☆

ハットン荘のその部屋には、忌まわしい過去があった。百年ほど前、部屋に引きこもっていた文学青年が怪死したのだ。死因はまったくの不明。奇怪なことに、部屋の絨毯は水でぐっしょりと濡れていた・・・。以来、あかずの間となっていた部屋を現在の当主ハリスが開いた途端に、怪事が屋敷に襲いかかった。ハリスが不可解な状況のもとで部屋の窓から墜落死し、その直後に部屋の中を見た彼の妻が卒倒したのだ。しかも、部屋の絨毯は百年前と同じように濡れていた。はたして部屋で何が起きたのか?

<密室だなんておっしゃらないでくださいよ、博士>

初めての作家さん。
ツイスト博士シリーズ4作目だそうです。
苦手な翻訳モノなのに、大半が不倫や三角関係等の恋愛話で、スラスラと読めます。
驚くようなトリックは使われてないし、多少唐突に感じる推理はありますが、面白い!
「人が倒れる度に濡れている絨毯」の謎には、「ほぉ~」と感心。
人の心理を利用した犯罪というのも好みです。
伏線も緻密で納得できる謎解きミステリでした。

グレイヴディッガー/高野和明 ★★★★★

都会の闇を生きてきた悪党・八神俊彦は、運命の一日を迎えるはずだった。生き方を改めるため、自ら骨髄ドナーとなり白血病患者の命を救おうとしていたのだ。ところがその日、都内で未曾有の無差別大量殺人が発生、東京は厳戒態勢に突入した。そして友人の死体を発見した瞬間から、八神の必死の逃走劇が始まった。警察、謎の集団、正体不明の殺戮者から逃げ切らなければ、八神の骨髄を待つ白血病患者が死ぬ。八神は生き残れるのか?謎の殺戮者・グレイヴディッガーの正体とは?

<どうして一駅ずつ近づいてくるのよ?牛歩戦術?>

ミステリとしてではなく、エンターテイメントのジャンルで大好きな作品。再読です。
逃走劇なのに、八神のユニークなキャラのおかげで、ハラハラよりもワクワクさせてくれます。
彼の迷台詞に何度吹き出したことか。
幾重にも絡み合う謎と、スピーディな展開、どれを取ってもひらすら好み。
でも、真相が・・・。
『13階段』が傑作なだけに、ミステリ面はどうかと思いますが、軽く読める点では、本書の方が好みです。
再読なのに、夢中になりました。
やや甘めの満点評価です。
最新記事
検索フォーム
記事一覧

 2005年8月~

カテゴリ
プロフィール

めみ

Author:めみ
FC2ブログへようこそ!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。