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ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎 ★★★★★

仙台で金田首相の凱旋パレードが行われているちょうどその時、青柳雅春は旧友の森田森吾に何年かぶりで呼び出されていた。森田は青柳に「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」と鬼気迫る調子で訴えた。と、遠くで爆音がし、折しも現れた警官は青柳に向かって拳銃を構えた。首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか?

<俺は犯人じゃない。青柳雅春>

第一部~第三部で、金田首相暗殺事件が発生、マスコミやその視聴者の視点で、犯人・青柳が語られ、第四部では、青柳の視点で、事件に巻き込まれ逃走劇を繰り広げる姿が描かれている。

正直、一気読みとまではいきませんでした。
序盤で、少~し『魔王』(←苦手)と似たテイストを感じてしまったせいかな。
なので、終盤までは「面白いけれど☆4つ」の気分でした。
でも、ラストの伏線の回収は素晴らしい!!
凄いよ。不要なエピソードなんて無いんじゃないだろうか。
胸の奥から、何かがぶわ~っとこみ上げてくるラストシーンでした。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、自分用のメモ。真相に触れています。下の方へどうぞ。


























「痴漢は死ね」と「たいへんよくできました」が感動の伏線かな。
メモの「だと思った。」も良かったなぁ。間に合った花火のシーンも。
でも樋口って、旦那さんが出張じゃなかったら、動き難かっただろうなぁ~。
第4部を読むと、第二部の保土ヶ谷の様子の変化も面白く読める。
見舞い客自慢とか麻酔銃とかマンホールとか。
「シーマン」の台詞には笑った。懐かしい。

HEARTBLUE/小路幸也 ★★★☆☆

ある虹の朝、ニューヨーク市警の失踪人課の男のもとへ、一人の少年が訪ねてきて言った。「ペギーがいなくなったんだ」と。彼の捜す少女は、一年ほど前から様子がおかしかったというのだが・・・。一方、男の知り合いであるCGデザイナーの日本人の青年も、ふとしたきっかけからある少女の行方を追い始める。二人がそれぞれ動いた末に明らかになった真実とは・・・。(本書あらすじより)

<妙な符合だね>

この作家さんの文章は、頭にスーッと入ってきます。一気読みでした。
前作が未読だと面白さは半減・・・というか、意味不明じゃないかな。

「man in blue」では、ニューヨークの失踪人課に所属するワットマンが2人の少女の自殺の真相に迫る。
一方、「man on the street」では、ニューヨークに移住した巡矢が、知り合いの女性カメラマンが撮った写真の中に、ワットマンと「そこに写るはずのない少女」を発見、探偵を雇い真相を探る。
そして、交互に進む2つのストーリーが交わるとき、衝撃の真実が明かされる。

前作『HEARTBEAT』はてっきりハッピーエンドだと思ったのに、違ったのかな。
今回も、巡矢の報われない想いが痛々しいです。
都合の良い展開は相変わらずですが、ミステリとしてはこちらの方が楽しめたかも。
でも、真相解明のシーンがたまらなく不快だったのと、後味が微妙だったので★1つ減点。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
父親が隠し持っていたビデオの正体には意外性があって驚いたし、主人公の「ダン」という愛称や序盤に出てきた父親の右腕の腕時計が、巡矢の偽ビデオを見破る伏線になっていたのは巧いと思った。

でも、虐待の疑惑をかけられたピートを追い詰める方法が最低だった。
自殺した女の子たちを虐待ビデオに利用するなんてありえない。
巡矢も、「正直、こんなものは作りたくない」と思うなら作るなよ。
ピートが児童虐待をしているかもしれないと聞いて「許せん!」と憤慨した上で、虐待ビデオを製作する仲間も訳分かんない。本気で不愉快だった。

狩人は都を駆ける/我孫子武丸 ★★★☆☆

京都で探偵事務所を営む私のもとに久しぶりに持ちこまれた依頼は、何と誘拐事件。「雷蔵はあずかった。1000万円用意しろ」との脅迫文が届けられたのだ。もっとも、雷蔵とは家で飼われているドーベルマン。つまりは犬の誘拐事件なのであった……。ほか、野良猫連続殺猫事件やドッグショーの警備など、なぜか動物絡みの依頼ばかりが次々に舞いこんで……。(文藝春秋内容紹介より)

<生活の困窮はユーモアを錆つかせる>

久しぶりの我孫子作品。1編の中編と4編の短編が収録されています。
ハードボイルドタッチなのに仕事内容は主にペット探しとくると、荻原浩さんのハードボイルド・エッグシリーズを思い浮かべますが、こちらの探偵は動物嫌い。
それなのに、探偵事務所の向かいで動物病院を開業する沢田の紹介で、依頼人は全員「ケモノ絡み」の相談で訪れるのです。

文章がユーモラスだからといって軽く読み始めると大間違いで、イヤーな真相が多いです。この作品。
表題作の「狩人は都を駆ける」なんて、現実感がありすぎて大打撃を受けました(一番面白かったけれど)。
「野良猫嫌い」も、全く想像していなかった動機にゾ~ッ。
どの作品もストレートに終わるのではなく、ちょっとしたヒネリがあるところが我孫子さんらしいです。
最終章「黒い毛皮の女」のラストでの、主人公の心の変化が微笑ましいです。

ランボー・クラブ/岸田るり子 ★★★☆☆

フランス語など習ったこともない不登校中学生の僕が、なぜ、サイト<ランボー・クラブ>のトップページに掲げられたフランス語の詩を読めるのだろうか?僕はいったい誰なのか?
ある日、そのランボーの詩が書き換えられ、その詩が暗示する殺人事件が…。色覚障害の少年をめぐる事件の驚くべき真相。
鮎川哲也賞受賞作家が贈る渾身の本格ミステリ。(本書あらすじより)


<教えてください。僕のルーツを>

自分が何者なのかを突き止めたいと願う中学生・菊巳と、妻と息子捜しを依頼された女探偵の物語が交互に進んでいきます。

最初は、主人公の”ありえない記憶”に対して、歌野晶午さんの『ブードゥー・チャイルド』のようなワクワク感があったのですが・・・う~ん、そこまで魅力的な謎ではなかったかな。
つまらない訳ではないのに、読み終わるのにとても時間がかかってしまいました。

とにかく、伏線が乏しいので、真相解明がダラダラと長き、驚きも少ないです。
ネットの予告殺人や密室殺人も小道具としては弱く、無理矢理ミステリにしちゃったような印象を受けました。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
終盤のまるで冗談のような展開に驚きました。
条次があんなに聡明なのに、母親も義父も何の説明もせずに、山小屋に拉致って・・・。
誰でも逃げ出すわ。いくらミスリーディングでも酷すぎる。
そして、犯人と探偵との対決。
ここへきて、安っぽく豹変する犯人に、笑ってしまいました。

死者のための音楽/山白朝子 ★★★★☆

「長い旅のはじまり」
ある日、腹に小刀が刺さった少女が寺を訪ね、旅の途中に襲われ、父親が殺されたと和尚に語る。少女は回復後、しばらくして妊娠に気付くのだが、全く思い当る節がない・・・。
「井戸を下りる」
幸太郎は、高利貸しである冷徹な父を怒らせてしまい、慌てて井戸の中に隠れることに。そこには、美しい女性が暮らしていた。日が経つごとに、彼女に惹かれていく幸太郎。しかし、彼には父が決めた縁談が待っていた・・・。
「黄金工場」
工場に勤める千絵ねえちゃんに会いにいこうと、近道である森の中を歩いていた僕。工場の廃液が貯められている場所の近くで、黄金のコガネムシを拾う。母にコガネムシを見咎められ、拾った場所まで案内すると、他にも様々な昆虫が黄金に変化しているのを発見する・・・。
「未完の像」
仏師を訪ねてきた貧しい身なりの少女。仏像を彫りたいと頼む少女は、近くの木片で見事な小鳥を彫る。師匠にはその気がないことを少女に伝えると、なんと弟子の私に教えてくれと言う。彼女は罪人で、捕まる前に仏像を一体、完成させたいらしい・・・。
「鬼物語」
昔、戦の犠牲者から鎧刀を剥ぎ取り、売り払った金で花見に興じていた村人たちが、何者かに殺された。その後、その「呪われた村」では、山に入った子供たちの首が川に流される事件も起き、村人たちは熊の仕業だと話し合い、山を焼き払う計画を立てる。しかし、花見の事件で1人だけ生き残った祖父は、「あれは鬼の仕業だ」と怯えるのだった・・・。
「鳥とファフロッキーズ現象について」
ある日、屋根に引っ掛かっている大きな鳥を発見した父と私は、その鳥を家で飼うことにした。鳥は不思議な力を持っていて、私や父が欲しいと思っているものを取ってきてくれるのだ。そんな中、父が銃で撃たれ殺された。鳥はあまり私の前に姿を現さなくなったけれど、相変わらず私が欲しいものを届けてくれた・・・。
「死者のための音楽」
小さい頃から耳が遠かった母は、昔、川に落ちた時に聞こえた音楽に魅了された。その後、その曲を必死に探したけれど、どこにも見つからなかった。でも、父の運転する車で事故に遭ったあの日、母は再びその音楽に包まれたのだった・・・。


<何かよくないことが、これから起こるぞ>

有名作家が別名義で書いたという短編集。
読み始めると、その正体はだいたい予想がつきます。
「鳥とファフロッキーズ現象について」なんて、そのままでしたから。
『銃とチョコレート』でも気になりましたが、文章に無意味なひらがなが多いのですよね。
両方とも、装丁は祖父江さんだし。
(この装丁も非常に凝っていて、栞に一瞬、ギャーっとなりました。)

好みだったのは、「黄金工場」「鳥とファフロッキーズ現象について」
「黄金工場」はゾクゾクする展開で、「鳥と~」のラストには感動しました。
どの話も心に沁みるような言葉や表現が溢れていて、余韻が半端ではありません。
乙一作品のコワ切なさが好きな方には、絶対オススメです。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
「長い旅のはじまり」輪廻はともかく、小刀があーだこーだで妊娠したってのは、少し下世話に感じた。他になかったのかな。
「井戸を下りる」井戸の女性は幸太郎の母だと予想していた。昔一緒に遊んでいた子供が、普通に男の子だと思ってたから。
「未完の像」小鳥に命を吹き込むことができる、という伏線があったのに、男の子にも驚いたし、処刑されたのが身代わりだったことにも気付かなかった。
「黄金工場」お父さんの浮気相手に驚いた。千絵ねえちゃんのあの台詞が切ない・・・。唯一、飼い犬が無事で良かった。
「鬼物語」双子の話から、祖父の話、母の話へと展開していく構成が好き。とにかく、鬼が怖い。
「鳥とファフロッキーズ現象について」ラストの画が目に浮かぶよう。動物モノには弱い。
「死者のための音楽」これも幸せの形なんだな、とじ~んときた。

裂けた瞳/高田侑 ★★★☆☆

幼少の頃から神野亮司は、身近にいる人の感情が爆発した時、その人間の見た光景が脳裏に浮かんでくるという発作が起きる。長谷川瞳と不倫関係になった亮司は、ある日、得意先を訪れる途中で発作に襲われる。亮司が知覚したのはプレスマシンに挟まれて圧死する男が絶命する瞬間に見た光景だった。最後に見えた若い男の正体と現場近くに残されたカラスの死骸の意味するものが結びついた時、亮司は身の危険を感じはじめる。

<忘れないで。きっと守るから>

前回の『鉄槌』よりは、面白かったです。
でも、雰囲気が似ていると感じるのは、またもや主人公がダメ男だからでしょうね。

発作が起こると、他人の感情を読み取ることができる能力を持つ主人公。
その力で殺人を目撃(?)してしまい、さぁここから面白くなりそうだとワクワク。
するとそこから、会社の後輩・長谷川瞳との不倫関係の描写がダラダラと続く。
全般に、主人公の能力を持つが故の苦悩が描かれてあるので、同じ能力を持つ瞳との出会いは必要なのかもしれないけれど、流れが断ち切られたようで拍子抜けしました。
そして、後半に進むにつれ、やっぱり失速してしまうのですよね。
母親の愛情や少年犯罪、心の傷など、それぞれの設定は面白くて、少し感動したりもするのに、巧く繋がってないのかチグハグな印象。
『鉄槌』でも思ったけれど、読後、「・・・だから?」と言いたくなっちゃう。
この作家さんの作品の主人公は、すべてダメ男なのだろうか?
登場人物に感情移入ができないのは辛いなぁ。

鉄槌/高田侑 ★★★☆☆

失踪した母が戻ってきた。
そして本当の悲劇が始まった・・・。
小さな鉄工所を営む父親と、それぞれ自立した3人の子供・大輔、早紀、洋介。
ある日、父親が急死、子供たちは20年ほど前に自分たちを置いて家を出た母親を発見する。
母親は痴呆が始まっていて、胡散臭い男と一緒に暮らしていた・・・。


<母が男と家を出て、父が俺たち三人を育ててくれたのです>

初・高田作品です。
普通に読み易い文章だなぁと思ってたら、物語全体が普通でした。
(叫び声の語尾に「おぉぉぉぉ」とか付けるのは、さすがに飽きたかも。)
ミステリではなく、サスペンスだったのですね。

内容が内容なので、全体的に暗いです。
父親の愛情や人物像は十分に伝わってくるのですが、母親の「子供たちへの愛」の描写が極端に少なくて、彼女が何を考えていたのか最後まで分かりませんでした。
一緒に暮らしていた若松屋も、中途半端に嫌なキャラでした。

大輔と洋介の区別がつかず、途中で混乱。
片方を、もう少し変わったキャラにしても良かったんじゃないだろうか。
洋介の「幸せになることに臆病」という設定はリアルだったけれど、面白くなりそうな小道具が一杯あるのに、放ったらかしの印象を受けました。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
父親が強請られていた理由や、母親殺しの犯人が池山だということは、すぐに気付きました。
でも、早紀の隣の物騒な声や、大輔と洋介の女性関係とか、必要があったのかな・・・。
石関正子も訳分かんないし。
鰻屋の夫婦なんて、父と母の関係そのままなのに、大輔がそれを嫌悪せずに、若奥さんにデレデレするのは不自然に思える。
若松屋も、洋介の彼女に何かするんじゃないかと思ったらそのままだし・・・。
なによりも、母親があっさり死んでしまったのは、本当に物足りなかった。
父親がどれだけ素晴らしい人物だったかということだけを、言いたかったのかな。

赤朽葉家の伝説/桜庭一樹 ★★★★☆

”辺境の人”に置き忘れられた幼子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の”千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、私の祖母である赤朽葉万葉だ。千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。ようこそビューティフルワールドへ。(本書あらすじより)

<さぁ、もっとだんだんの、上へ上へ>

第60回日本推理作家協会賞受賞作。

1953年から現代まで、3人の女性の生き様が描かれています。

第一部、万葉の不思議な力と波乱に満ちた人生が、とっても魅力的で夢中になりました。
万葉と豊寿のラブストーリーが淡すぎるほど淡く、その時代の風潮を一番感じることができたかも。
次の毛鞠の暴走時代では、若干置いていかれた印象がありましたが、思わぬ展開にワクワクし通しでした。
万葉や毛鞠の人生があまりにドラマチックなため、やはり瞳子の最終章は失速気味に感じましたが、ここが唯一のミステリ所。
「殺人者」というタイトルなのに、真相にはじ~んとしました。

特異なキャラクターはともかく、完全な悪人が登場しないので、穏やかな気持ちで読め、読後感も爽快です。
長さを感じさせない、とても満足できる作品でした。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
「万葉は字が読めない」という伏線には気付いていたし、豊さんの置き手紙にも何か違和感があったのに、全く真相と結びつけることが出来なかった・・・。
天地がひっくり返ったことで判明した「空飛ぶ男」の謎。
このシーンは、とても衝撃的で美しかったなぁ。
百夜の遺書に倒れるほどのショックを受けたり、生きている内は溶鉱炉の取り壊しを拒んだ万葉の胸中を思うと切なくてたまらない。
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 2005年8月~

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