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サクリファイス/近藤史恵 ★★★★☆

ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。勝つことを義務づけられた<エース>と、それをサポートする<アシスト>が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。それは、単なる事故のはずだった・・・。二転三転する<真相>、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動!青春ミステリの逸品。

<だから、ぼくは飛び出した>

感動する感動する、と評判を聞いていて、実際に感動する作品は珍しいです。
近藤作品は他に、『凍える島』と『桜姫』、短編を少々既読。

まず、自転車ロードレースの紳士的なルールに驚きました。
私も初めてその状況を見たら、チカのように疑問で一杯になっただろうなぁ。
アシストという役割に満足していたのに、思わぬ好成績を出したチカの揺れる気持ちが伝わってきて、それを試すような石尾の行動にムカーッとしました。
チカが石尾に不信感を抱く様子も、絶妙に描かれています。

ミステリの真相と同時に、「サクリファイス」の本当の意味が判明し、目の覚めるような驚きと、感動が押し寄せました。
「犠牲」という言葉は哀しい響きがあって好きではないのに、心底、尊い表現だと感じました。

鳥飼さんの『福岡国際マラソン』もそうだったけれど、スポーツがテーマの作品は心が熱くなります。
良い読書でした。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
あれだけ正反対の先入観を持たせてたら、そりゃ感動するだろう。
石尾の自転車がパンクして、チカに「行け」と指示しなかった理由に愕然とし、実は誰よりも高潔だった石尾の、命を懸けたアシストに心打たれた。
彼の真意が見え辛かったことが、真相に説得力を感じさせる結果になったと思う。

新世界より/貴志祐介 ★★★☆☆

子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。
一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。
いつわりの共同体が隠しているものとは・・・。
何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる。(帯より)


<そこにあるのは、ただ剥き出しの恐怖だけである>

貴志作品は他に『硝子のハンマー』を既読。
本書は、1000年後の日本が舞台のSF小説です。

上巻は主人公・早季と仲間たちの学校生活や、冒険が描かれています。
全人学級や、呪力を使った競技など、ハリーポッターの雰囲気を感じました。

中盤まで主に世界観の説明が続くのですが、想像力が乏しく薀蓄が苦手な私は、少し苦労しました。
でも、物語が動き出してからは一気読み!
平和な世界の裏側を知った子供たち、「悪鬼」や「業魔」の存在、バケネズミ間の戦争、そして、諸刃の刃だった「呪力」・・・。
全てが、予想と違う方向へ、どんどん進んでいくのです。
下巻はあっという間に読み終わり、ラストの強烈なメッセージに深くため息をつきました。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
奇狼丸は作品の中で、一番好きだったなぁ。
最期は潔くて、じ~んときた。
もし顔を狙われてたらどうしたのだろう?という疑問も吹っ飛ぶほど、格好良かった。

悪鬼はてっきり守だと思ってた。
上巻の最初に、真理亜が生まれなかったら大勢の人々が死なずに済んだかも、とあったので、真理亜と見せかけて守なのかなと。
しかし、早季も覚も、子供が男の子だったら瞬、女の子だったら真理亜と名付けるって・・・守は?

そして、日野光風のキャラが一番ホラーだった。あれは怖い。

ファントム・ピークス/北林一光 ★★★☆☆

長野県安曇野。半年前に失踪した妻の頭蓋骨が見つかり、三井周平は絶望していた。しかし、なぜ、あれほど用心深かった妻が、山で遭難し、しかも現場と思われていた場所から、遥かに離れた場所で発見されたのか?数日後、沢で写真を撮っていた女性が、一瞬目を離した隙に行方不明になる事件が発生。妻の事故との類似点に気づいた周平が捜索を手伝うことになる。しかし、それは、恐怖の連鎖のきっかけにすぎなかった!(帯より)

<おまえはなぜここにいる?>

ホラーでもミステリでもなく、パニック小説なのですよね。
中盤までが文句なしの面白さだったので、大体の真相が見えてきたところで少し拍子抜けしてしまいました。
ありがちなテーマですが、それを取り巻く人間ドラマが丁寧に描かれてあり、メッセージ性は抜群。

著者は映画宣伝会社でプロデューサーをされていたとのこと。
目に浮かぶような描写と、スピード感あふれる展開は迫力です。
高野作品と似た印象で、楽しめました。
読み応えのある作品です。

2006年に亡くなられたのですね。
次の作品を読みたかったなぁ。

金雀枝荘の殺人/今邑彩 ★★★★☆

完璧に封印された館で発見された、不条理極まる6人の死。事件から1年近くが経ち、警察も見放した謎を解明すべく新たな6人の男女が「呪われた館」を訪れる。過去にも多くの人の血を吸った館でまたしても繰り広げられる惨劇。そして戦慄の真相とは・・・?息もつかせぬ、恐怖と幻想の本格ミステリー。(本書あらすじより)

<6人の人間が順番に殺しあった?>

10数年ぶりの再読になるのかな。懐かしい~!
綾辻・有栖川復刊セレクションです。

1年前、密室状態の洋館で6人の男女が殺害された。
被害者の5人はいとこ同士、1人は管理人で、まるで「狼と七ひきの子やぎ」に見立てたかのような殺害現場だった。
そして、事件を推理すべく、他の4人のいとこが洋館を訪れる。
招かれざる客も参加して、辿りついた真相とは?

この作品、密室トリックは忘れてましたが、犯人の動機はずっと記憶に残ってました。
当時、衝撃を受けたのですよね~。
14年前の作品なのに、文体が古くなく、違和感がないことに驚きます。
最後まで、意外に淡々とした展開で、謎解きが説明調なのが気になりますが、雰囲気が抜群に良いのですよね。
ラストから最初のページに戻ると、「序章という名の終章」の意味が解り、不思議な感覚が味わえます。
良質のミステリでした。

ブルースカイ/桜庭一樹 ★★★☆☆

西暦1627年、ドイツ―魔女狩りの苛烈な嵐が吹き荒れるレンスの町で、10歳の少女マリーは“アンチ・キリスト”に出会った・・・。西暦2022年、シンガポール―3Dアーティストの青年ディッキーは、ゴシックワールドの昏い眠りの中、絶滅したはずの“少女”というクリーチャーに出会う・・・。そして、西暦2007年4月の日本。死にたくなるほどきれいな空の下で・・・。3つの箱庭と3つの青空、そして少女についての物語。(本書あらすじより)

<・・・青い空を見たか?>

三部で構成されているのですが、第一部だけで一冊いけたんじゃないかな。
とにかく、マリーの話が抜群に面白いのです。

中世のドイツ、祖母と2人で水車小屋で暮らすマリー。
マリーには5歳までの記憶がなく、祖母は何か秘密を抱えている様子。
そんな頃、皇帝から遣わされた魔女派遣委員が町にやってきて、魔女狩りが始まる。

祖母の秘密とは?マリーが目撃した黒い男とは?突然現れた“アンチ・キリスト”とは一体?
独特の世界観、そして急展開にワクワクし通しです。
でも、もう少し読んでいたかったなぁ・・・スッキリしないし・・・。

第二部では、テンションがガクッと下がりました。
西暦2022年という、これまた微妙に未来な舞台なのですよね。
ここで語られる青年の苦悩が、全く理解できなくて、最後まで付いていけませんでした。

第三部で、突然現れては消えていく少女の正体が明らかになります。
まぁ、納得いくような、いかないような・・・。
少しずつ回収されていく伏線は、切なさも伴っていて満足ですが、少女が現れる意味や目的など、他にも謎が残ったままで、綺麗にまとまっているとは思えません。

第一部が面白すぎただけに、だんだん尻つぼみになってしまった印象です。
タイトルの意味が解った瞬間、脱力しました・・・。

少女には向かない職業/桜庭一樹 ★★★☆☆


島の夏を、美しい、とふいにあたしは思う。
・・・強くなりたいな。
強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな。
これは、ふたりの少女の凄絶な“闘い”の記録。


<終われ、嵐。やってこい、凪>

無職で酔っ払っては暴力を振るう義父を憎む葵は、夏休みにクラスメイトの静香と親しくなる。
彼女は義父の殺害方法を教えてくれたのだが・・・。

学校での生活や、友人関係の難しさなど、共感できるエピソードもあるのですが、全体的にはやっぱり一歩引いてしまいました。
13歳の少女の犯罪小説なんて気が滅入りそうなものなのに、スラスラと読めてしまうのです。
ライトな雰囲気は好みなのだけれど、人物や心理描写に物足りなさを感じました。
『砂糖菓子~』とちらほらカブっているので、シラけてしまったのもあるかも。
勿体無かったなぁ。

ラストは皮肉ですが、ホッとしました。

The Book/乙一 ★★★☆☆

「ジョジョ」20周年を記念して、乙一渾身の小説化。
「週刊少年ジャンプ」「ウルトラジャンプ」誌上で絶大な人気を誇る荒木飛呂彦氏の長期連載『ジョジョの奇妙な冒険』を稀代の若手作家乙一氏が構想・執筆に2000日以上をかけ、渾身の小説化を実現。(7&Y本の内容より)


<きみは感じたことないか、ストーリーの力を>

面白かったです!
普通に乙一の作品でした。

「ジョジョ」を未読なので、どのあたりがオリジナルなのか分からないのですよね。
もっと近未来的なイメージがあったので、こんな普通の町が舞台なの?と、とても意外でした。

コロコロと変わる視点、少しずつ繋がっていくストーリーにドキドキの連続。
やっぱり、ひらがなが多いけれど、先が気になって一気読みです。
終盤のスタンドを使っての戦いは、漫画の方が迫力があるのかも・・・。
ラストも救いがあるのかないのか・・・なんとも言えない後味が残りました。

装丁も素敵だし、飛び出すイラストはお洒落。
漫画も読んでみたくなりました。

吹雪の山荘/笠井潔・他 ★★★☆☆


大晦日の夜、それぞれの思惑を胸に、吹雪の山荘に偶然集ったナディア・モガールたち。
年が明ける直前、“幽霊山荘”と呼ばれる山荘で首なし死体が発見される。
吹雪で周囲と隔絶されたなか、謎の究明に乗り出す名探偵の面々。
首なし死体の謎、そして呪われた山荘の呪縛を解くことが出来るのか・・・。(帯より)


<自分の好みで事件をかき回さないでください>

リレー小説は新世紀「謎」倶楽部で懲りていたのですが、若竹さんが参加していることで、また手に取ることに。

吹雪で隔絶された山荘で起こる殺人事件。
宿泊客の中には秘密を抱えている人物がいる・・・。
彼らは一体、何の目的でここへ集まったのか?

中盤まではとてもワクワクしたのに、後半は興味が薄れました。
好みの真相ではなかったからかも・・・。
でも、巽さんの最終章は、丁寧に伏線を拾っていて好印象でした。

一番楽しめたのは、北村薫さんの章かな。
円紫師匠シリーズの「私」が落語からヒントを得て謎を解いていくのですが、読みやすいし展開には惹き付けられるし、オチも面白い。
他は、若竹さんの無謀な推理に大笑いしたり、名探偵・法月綸太郎が有名な女ったらしだという事実(?)に驚いたり。
キャラクター小説としては、とても満足です。知らないキャラもいますが。

有栖川さんは参加していないのに、どうして学生アリスが登場しているんだろう?と、そればかり気になっていました。
理由は伏せられていたけど、辞退したのかぁ。
法月さんが2つの章を担当しているのも納得。
大変さが目に浮かぶような作品でした。

ラットマン/道尾秀介 ★★★★☆


結成14年のアマチュアロックバンドが練習中のスタジオで遭遇した不可解な事件。
浮かび上がるメンバーの過去と現在、そして未来。
亡くすということ。失うということ。
胸に迫る鋭利なロマンティシズム。
注目の俊英・道尾秀介の、鮮烈なるマスターピース。
ようこそ。ここが青春の終わりだ。(帯より)


<一生懸命に真似したんだ>

冒頭のホラー小説も、ネット上で書いていた短編なのかな。
『どうして犬は』より、繋ぎ方が強引に感じたのですが。

『ソロモンの犬』と同じく青春小説です。
私は、こちらの硬い文体の方が好みですね。

姫川の姉とバンドメンバー、2人の死の真相は?
姉の死後、母親はなぜ姫川に冷たくなったのか?
父親は一体、何をしたのか?
そして、姫川は一体何を隠しているのか・・?

謎は魅力的だし、構成はとても緻密に計算されています。
何とかアラを探そうとしましたが(?)、どれも無理なく説明がつくのですよね。
(さすがに、ラストはもう少しページが欲しかった・・・。)
私はさほど衝撃を受けなかったので物足りなかったけれど、『シャドウ』が好きな人は楽しめるだろうなぁ。

エアロスミス側から許可が下りずに書き直した箇所は、各章の始まりの歌詞の部分かな。
出版できて良かった、良かった。
そして、「ざまあみろ」には笑った。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
野際が「倉庫にひかりがいるから・・・」と言った時点で、犯人だと確信。
お腹の子の父親だなと。
だから、「犯人=桂」という疑惑に驚いた!
なるほど、母親と同じ「袖口の血」にピンとこなければいけなかったのね。しまった。
そこをスルーしてしまうと、過去の事件の謎なんて解けるはずがないわ。
姫川の「勘違い」には説得力がありますが、読者の騙し方は少々あざとかったかも。
わざわざ、ひかりの父親の毛髪も採取したりして・・・。

宇宙うさぎの正体には騙された~。
茶色って時点で、茶色のニット帽を被ってたお父さんかと思ったよ。
逆さになったハンプティ・ダンプティを想像して、あっ!と納得。
耳を塞いで寝ていたという伏線もいいですね。

父親と見せかけて母親、という真相には、つい、あの方の某作品を思い出してしまいました。
しかし、虐待の内容ですが・・・他に無かったのか・・・。
父親にミスリードさせておくには、そういう種類のものしか選べないのでしょうが・・・気色悪いよぅ。
そして、なんで突然母親は虐待を止めたの?
何か伏線あったっけ?
突然クリスマスプレゼントを用意して、丁度その日に転落事故って・・・。
ラストはもう少し書き込んで欲しかったなぁ。

卑沢が「姫川の知らない事実」を口にしてしまったシーンは、お気に入りです。

もう一人の私/北川歩美 ★★★☆☆


交通事故で意識障害となった従兄弟と入れ代わる「分身」、乳児取り違え事件が発端となる「渡された殺意」、結婚詐欺師に騙された女に出会う「婚約者」など、“もう一人の私”をキーワードに自分のアイデンティティを揺るがす恐怖を巧みなトリックで描く9篇。
最先端科学を取り入れ、現代社会の歪みが生み出した人間の深層心理をえぐり出す新感覚ミステリワールド。


<僕はなんだってこんなみっともないことをしているんだ>

北川作品を手に取るのは、10年ぶりかも。
デビュー作から『金のゆりかご』までの5冊を読んだことがあります。
設定はとても面白いのだけど、どんでん返しが複雑で、すんなりと理解できないのですよね。

今回は短編集ですが、「記憶」や「アイデンティティ」というテーマは変わっていません。
展開が読める話が多いですが、やっぱり設定が面白くて、全て印象に残っています。
北川さんの書く登場人物って、感情があまり表に出ないといいますか、どれも人間っぽくないのですよね。
だから、全体的に暗い雰囲気だし、歪んだ人物はとてもリアルで怖いのです。

お気に入りは、冴えない数学者が恋に悩まされる「閃光」と、殺人事件の犯人にされそうな主人公がそっくりな人間に身代わりを頼む「替玉」。

気味が悪かったり後味が悪い話が多いですが、ラストは余韻が微かに残ります。
それまでダラダラと読んでいても、ラストでハッとさせられたり。

ホームレス中学生/田村裕 ★★☆☆☆


麒麟・田村のせつな面白い貧乏生活がついに小説に!
中学生時代の田村少年が、ある日突然住む家を無くし、近所の公園に一人住むようになる超リアルストーリー。
ダンボールで飢えを凌ぎ、ハトのエサであるパンくずを拾い集めた幼き日々から、いつも遠くで見守ってくれていた母へ想いが詰まった、笑えて泣ける貧乏自叙伝。 (Amazonより)


<お湯、お湯、お湯。雨ではなくお湯>

劇的な一家離散の後、過酷な公園生活、友人の家族や周りの大人の協力、中学や高校での出来事、亡くなった母親への想いが語られています。
てっきり、公園生活がメインのストーリーだと思っていたので、少々拍子抜け。
環境はともかく、周りの人間に恵まれていたのは、本当に奇跡的だと感じました。

父親の2回目の「解散」には笑ったけれど、他の面白エピソードはTVで聞いたことがあるものばかりで、少し残念。
わざとなのかもしれませんが、文章がかなり読みづらくて、なかなか慣れませんでした。

「麒麟」はそこそこ好きだし、TVで田村が貧乏な過去をあっけらかんと話すたび、大変な苦労を乗りこえて立派に成長したんだなぁ~と感動していました。
でも、この本を読んで、私は田村本人よりもお兄さん、お姉さんの方に気持ちが向いてしまいました。
もし、お兄さんが本を出版して、それを読む機会があったら、号泣するだろうなぁ。
父親を恨んでいない、という言葉の重みも、田村とお兄さんでは、また違うと思うのですよね。
お姉さんも、よく頑張ったよ、本当に。
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 2005年8月~

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Author:めみ
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