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十三回忌/小島正樹 ★★★☆☆

ある素封家一族の、当主の妻が不審死を遂げたが、警察はこれを自殺として捜査を打ち切ってしまう。それが始まりだった。当主の妻の一周忌には「円錐形のモニュメントに真上から突き刺さった少女」、三回忌には「木に括りつけられさらに首を切られた少女」、七回忌には「唇だけ切り取られた少女」・・・と忌まわしい殺人が続いていく。
そして十三回忌を迎える。厳戒態勢のなか、やはり事件は起こった。(帯より)


<あなたの不快さが私を悩ませる>

初の作家さんですが、文章が読み難くてなかなかページが進みませんでした。
刑事が多く登場するわりには、描写が「彼は○○だから僕は好きだ」という調子で区別がつかないし。
彼らの確執も中途半端で、全く盛り上がることができないし。
探偵も最初と最後でキャラが変わってるし、ご都合主義な展開だし。

・・・と、不満たっぷりな作品なのですが、トリックはバカミス気味でとても好みでした。
あまりの読み難さに、もう誰が犯人でもいいや~と投げやり状態だったからか、その正体にもかなり驚きましたよ。

全体的に、何だか勿体ないなぁ、という印象が残りました。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、戯言ですが真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
「彼女を犯人とするには動機の点や人物描写が浅い」という不満よりも、あの数ページで引っくり返す手法がとても嬉しかった。
最近の長編ミステリでは、なかなかこんな「どんでん返し」ないもんなぁ。

造花の蜜/連城三紀彦 ★★★☆☆

2月末日に発生した誘拐事件で、香奈子が一番大きな恐怖に駆られたのは、それより数十分前、八王子に向かう車の中で事件を察知した瞬間でもなければ、二時間後犯人からの最初の連絡を家の電話で受けとった時でもなく、幼稚園の玄関前で担任の高橋がこう言いだした瞬間だった。高橋は開き直ったような落ち着いた声で、「だって、私、お母さんに・・・あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか」。それは、この誘拐事件のほんの序幕にすぎなかった。

<愉快、ユカイ、ユーカイ、誘拐>

序盤の誘拐劇はとてもドラマチックな展開です。
何が起こるか全く予想がつかないのですよ。
中盤で明らかになる仕掛けは目新しいモノではないので驚きはありませんでしたが、見せ方が巧いのですよね。
インパクトは『人間動物園』の方が上でした。

連城作品ではいつも情感たっぷりの文章に酔いしれるのですが、今回は結構淡々と読んでしまいました。
あらすじに書かれている魅力的な謎も、あまりにアッサリとした真相で残念。
さらに、取って付けたような最終章のせいで何だか微妙な読後感に。

1/2の騎士~harujion~/初野晴 ★★★☆☆

まことしやかに囁かれる噂。それはこの街に漂う狂気だった。母を亡くし、心に傷を抱える女子高生・マドカが恋に落ちた相手・・・それは最強の騎士『サファイア』。ふたりの出会いは、忍び寄る狂気・・・社会の片隅でひっそりと息づく異常犯罪者たちから大切な人、そして愛する街を守るための戦いのはじまりだった。大人への道程にいる、いまだ“不完全”な彼女たちを待ち受ける、過酷な運命とは。透明感のある文章で紡ぎ出すファンタジックミステリー。

<ずっと、さびしかったんだ>

やっと、初野さんの新刊が!
でも、帯に「新人」って書いてあるんだけど・・・?ハテ?

いや~、でも若干、作風が変わりましたね~。
こちらの方が一般ウケしそうですが、前作『漆黒の王子』がとっても好みだった私としては、学園モノの(しかも特殊な)ノリに戸惑ってしまいました。
マドカと『サファイア』のやり取りに、だんだん拒否反応が出てきたり。
というか、それ以前の問題で、『サファイア』のイメージが定まらない。
表紙イラストが正解なのでしょうが、何しろブンブン飛び回るので、うっかりするとすぐにWiiの『ナイツ』にすりかわってしまうのです。

異常犯罪者たちの心の奥底に潜む狂気や残虐性には憤りを感じ、エピソードの切なさ、やり切れなさには胸を打たれます。
登場人物の独白などはとても印象的ですが、会話がなかなか頭に入ってこないのはなぜだろう?(透明感ありすぎ?)
「さっきの会話にヒントが・・・」とか言われても、ピンとこなかったり。

トリックは斬新だと感じました。
推理は難しいので、「そういえば伏線あった!」という楽しみ方ができます。
ある人物の正体は途中で気づきましたが、ラストはとても良いカンジ。切ないです。
でも(←しつこい?)、『漆黒~』の強烈な余韻と比べると・・・う~ん。

黒百合/多島斗志之 ★★★★☆

夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死・・・。
1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。(帯より)


<悪縁のふかき恐怖もすすり泣けり>

初の作家さんです。

個人的には文芸とミステリってあまり融合して欲しくないのですが、これには大満足ですよ。びっくりしました。

1952年、中学生の進が夏休みの間、父親の古い友人の別荘へ滞在した時の出来事を回想する形でストーリーは進みます。
同い年の一彦と豪華な別荘で暮らす香の3人の関係がとても初々しく繊細で、微笑ましい気持ちになります。
青春小説としても、とても楽しめました。
そこに、さらに遡って進と一彦の父親たちが遭遇するベルリンでの出来事、香の叔母の恋物語、殺人事件などが絡み合い、ラストには・・・仰天です。
「緻密」と評すには少々粗が気になりますが、かなり練られたプロットではないでしょうか。

いや~、堪能しました。

ヒトコト(真相に触れています)

以下、戯言ですが真相に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
つまり、相田真千子=黒ユリお千=倉沢日登美の恋人=浅木のおばさん、ということね。
全然思いつかなかった~。
足の怪我で、倉沢日登美の恋人=現在の日登美の夫だとすっかり引っ掛かってしまったもん。
だって、「真千子」の章がちゃんと設けられているのに、まさか「日登美」の章にも真千子が登場するなんて思わないじゃん(笑)。

それにしても、日登美の恋人が女性だったとはなぁ。
日登美の兄の貴久男も、てっきり日登美に近寄る男が会社を乗っ取ることを心配して始末しようとしたと思ってた。
そりゃあ、昔捨てた女が妹に近寄ってたら、良からぬことを企てていると考えるよなぁ。
この辺が巧ーい。

うっすらアンフェアかな~と思う点。
実は一彦の両親が再婚だったり、おばさんがすんごい美人だったり・・・は、辻褄合わせだとしてもまだ許せるかな。
でも、制服制帽姿の写真の人物をハッキリ「青年」と書いてあるのはちょっと・・・。
まぁ、進の主観だからと言われれば仕方ないけどさ。

これ、タイトルがすんごい秀逸。
何と言っても、「百合」ですから。

スナッチ/西澤保彦 ★★☆☆☆

22歳だった。次の日、ぼくは53歳になっていた・・・。
1977年1月15日、恋人の両親に会うため東京から高知に向かった奈路充生は、そこで銀色の雨にうたれる。
奈路が気がついたのは、31年後。
彼は53歳になっていた。
その間、彼の肉体は別の人格に支配されていた。


<ぼくは多くを望みすぎているだろうか?>

想像していたストーリーではなかったかな・・・。
『スナッチ』といえば、大好きなガイ・リッチーの映画ですが。

個人的に、西澤さんのSFで印象深いのは『複製症候群』なのですが、それと比べると、えらく落ち着いた仕上がりでした。
ミステリとしては、意外にも満足。
でも世界観がどうにも受け入れられませんでした。
とにかく、説明臭くてたまらない。
もっと、スマートに表現して欲しかったなぁ。
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 2005年8月~

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