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金色の獣、彼方に向かう/恒川光太郎 ★★★★☆

樹海に抱かれた村で暮らす大輝は、ある日、金色の毛をした不思議な生き物と出合う。ルークと名付けて飼い始めるが、次第に大輝の体に異変が起きてきて……。「樹海」と「サンカ」をテーマに、鬼才が読者を神々の世界に誘う、表題作を含む4編を収録。

<恐ろしい話になりますが、
           いいのでしょうか?>


「異神千夜」
還俗して草庵で暮らす遼慶は、ある日泉の近くで一人の男と出会う。
男は遼慶に、最近このあたりで怪しいものが現れなかったかと訪ね、自分の過去を語り始めた。

男・仁風の数奇な人生が読み応え抜群で、異界へ踏み込む流れも違和感なく受け入れられました。
「風天孔参り」
樹海の近くで宿とレストランを営む私の元に、若い女性が訪ねてきた。
彼女は樹海で出会った不思議な集団の話を語り始めた。

風天孔参りの目的や描写がやけに魅力的で、そんな存在を知ったら同行を希望する人が続出するだろうなぁ、とぼんやり。
「森の神、夢に還る」
稲光山に棲む「私」は動物たちに憑依することができた。
ある日、蒸気機関車に乗り込むナツコへ憑依し上京した「私」は、彼女と共に暮らし始める。

ナツコに起こる出来事よりも「私」の語る過去に惹きこまれました。
「金色の獣、彼方に向かう」
猫の墓堀人の掘った穴に潜むモノが呼びかけるシーンは恐怖。
大輝が「手伝い」を拒否したことにホッとしました。普通はそうだよね。

どの作品も私好みのダークファンタジー。
オチなど細かいことを考えずに、純粋に物語を楽しむことができました。

水の柩/道尾秀介 ★★☆☆☆

老舗旅館の長男、中学校二年生の逸夫は、自分が“普通”で退屈なことを嘆いていた。同級生の敦子は両親が離婚、級友からいじめを受け、誰より“普通”を欲していた。文化祭をきっかけに、二人は言葉を交わすようになる。「タイムカプセルの手紙、いっしょに取り替えない?」敦子の頼みが、逸夫の世界を急に色付け始める。だが、少女には秘めた決意があった。逸夫の家族が抱える、湖に沈んだ秘密とは。大切な人たちの中で、少年には何ができるのか。

<湖の水が、とても綺麗だったからだ>

絶賛されていますが、やっぱりこういう路線は私には合わないと確信しました。
『光媒の花』では「アリかも!?」と思ったんだけどなぁ・・・。
主人公の逸夫は普通にいい子で祖母との関係も微笑ましく、敦子の境遇は厳しいけれどそれほど強烈な描写はない。
これまでと比べてクセがなくなった分、とても読みやすく、とても凡庸な作品でした。
「タイムカプセルの手紙を取り替えたい」理由は、もう少しヒネリがあるのかと思ったのですが。
いくつかの伏線から予想してた通りの真相。新しさを感じません。
私の場合、感動はサプライズと共にやってきてほしいタイプなので、まったく心を揺さぶられることもなく、やや寂しい読後感となりました。

夢違/恩田陸 ★★☆☆☆

夢を映像として記録し、デジタル化した「夢札」。夢を解析する「夢判断」を職業とする浩章は、亡くなったはずの女の影に悩まされていた。予知夢を見る女、結衣子。俺は幽霊を視ているのだろうか?そんな折、浩章のもとに奇妙な依頼が舞い込む。各地の小学校で頻発する集団白昼夢。狂乱に陥った子供たちの「夢札」を視た浩章は、そこにある符合を見出す。悪夢を変えることはできるのか。夢の源を追い、奈良・吉野に向かった浩章を待っていたものは―。人は何処まで“視る”ことができるのか?

<夢は外からやってくる>

SFの設定にいまいち惹かれませんでした。
「夢判断」や「夢札」などのワードも、恩田作品にしては新鮮味を感じず。
数年前までは『きのうの世界』のような伏線放置状態でも楽しめたのに、私がだんだんストーリーを重視する方向に寄っているのかなぁ。
全体的に恩田さんの持つ「恐怖のイメージ」が羅列しているだけの印象で、読後は物足りなく感じてしまいました。(正直、『ミスト』っぽいシーンには冷めました。)

ビブリア古書堂の事件手帖/三上延 ★★★★☆

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。

<その「物語」が美しいものとは限らない>

読んでよかった。いい話だったなぁ。
どの作品も伏線の張り方が絶妙で、ユーモアと暗い真相のバランスも好み。
連作という構成を上手に活かしているからか、最終話の真相はまったくの予想外で驚きました。
これは続編も読まないと。
ちなみに各短編に登場する作品はすべて未読。
せめて太宰治は『野田ともうします。』のファンなら読まないとダメかしら。

眼鏡屋は消えた/山田彩人 ★★★☆☆

気がつくとあたしは演劇部の部室の床でのびていた。そのうえ八年間の記憶が失われ、現在あたしは母校で教師になっているらしい。しかも親友の実綺が高二の文化祭直前に亡くなっていたなんて!!!八年前と同様に学園内では、彼女の書いた脚本『眼鏡屋は消えた』の上演を巡るごたごたが起きている。実綺の死には何か裏がありそうだ。上演を実現し、自分の記憶を取り戻すため、元同級生の探偵に事の真相を探ることを頼んだ。あたしが最も苦手とする、イケメン戸川涼介に―。

<八年前のあたしはなにかを知ってたんだろうか・・・>

う~ん。ライトな作風なので読みやすいかなと思ったのですが・・・。
主人公の印象が「面白い」から「煩い」へと変化するのに時間はかかりませんでした。
地の文までしつこく「!」が続くと疲れます。
あと、主人公の探偵に対する意識の仕方が「元カレ」レベルなので、なかなか関係性が掴み辛かったりして。
著者の受賞の言葉に「意外な結末よりも過程を楽しんで」とあったので(確かに意外性はなかったけれど)犯人役に不満はないし、記憶障害の設定や、ひとつの謎がいろんな側面を見せていくという過程は好みでした。
ただ、ストーリー全体に説得力が弱いといいますか。
脚本「眼鏡屋は消えた」の上演を巡るごたごたに関しても、脚本を担当した人物の思い入れのなさといい、学園に反抗してまで上演するほどなの?という思いが最後まで付きまとったり。
真相解明シーンでは、探偵の穴の目立つロジックに対して、見事に反応してくれる周りの登場人物たちにシラけてしまったり。
読後感は薄かったです。

彼女はもういない/西澤保彦 ★★★☆☆

母校の高校事務局から届いた一冊の同窓会名簿。資産家の両親を亡くし、莫大な遺産を受け継いだ鳴沢文彦は、すぐさま同学年の比奈岡奏絵の項を開いた。10年前、札幌在住だった彼女の連絡先が、今回は空欄であることを見て取ったその瞬間、彼は連続殺人鬼へと変貌した。誘拐、拉致、凌辱ビデオの撮影そして殺害。冷酷のかぎりを尽くした完全殺人の計画は何のためだったのか―。青春の淡い想いが、取り返しのつかないグロテスクな愛の暴走へと変わるR‐18ミステリ。

<おれはいったいなにがそれほどショックなのだ?>
 
今回は西澤色が邪魔に思ってしまいました。
いろいろとやりすぎ感が強く、結果、盛大に肩透かしですよ。
主人公が歪んでいるので、動機の説得力の有無はいいとして、せめて目新しさが欲しかったです。
ラストも伏線が足りなくて切なくなれない。すごく好みの真相なのに。
タイトルと装丁は完璧なのになぁ。
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 2005年8月~

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