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Wonderful Story/伊坂幸犬郎 ★★★☆☆

昔話でおなじみの犬もいれば(伊坂幸犬郎「イヌゲンソーゴ」)、地名の由来になった犬もいる(犬崎梢「海に吠える」)。悪者が連れてきた犬もいるし(木下半犬「バター好きのヘミングウェイ」)、人のために働く盲導犬や(横関犬「パピーウォーカー」)、やたらと見つめてくる犬も……(「犬は見ている」貫井ドッグ郎)。個性豊かな犬たちが踊る、前代未聞の小説“ワンソロジー"、ここに登場!

<俺はその犬の生まれ変わりだ>

「イヌゲンソーゴ」伊坂幸犬郎
犬たちの「大言壮語」が次々と繰り広げられるのですが、ちゃんと有名どころを踏まえていて面白いです。
軽い読み口ながら不穏な展開もあるストーリーが伊坂作品らしくて、綺麗にまとまったオチにも満足しました。
「海に吠える」犬崎梢
家庭の都合で母や妹と離れ離れに暮らすことになった少年の心情が切ないです。
終盤で明かされる「父親の左遷の理由」がなんともリアル。
「パピーウォーカー」横関犬
真相は早い段階で予想がつくし、主人公のキャラ(ダジャレ)が苦手でした。
これは職種の目新しさが良かったな。
「バター好きのヘミングウェイ」木下半犬
木下さんはアンソロジーでも遠慮なしにご自身のカラーを前面に出していて、さすがに苦笑いの連続でした。
ちゃんと伏線を張っていたのには驚きましたよ。
「犬は見ている」貫井ドッグ郎
最初の雑談から、思いもよらない結末へ。
でも犬と結びつけるのはどうなのか。

筆者の名前からしてお遊び感満載なんだから、伊坂さんのような軽く読める作品ばかりでも良かったかなー。

都知事探偵・漆原翔太郎/天祢涼 ★★★★☆

弁舌巧みな爽やかイケメン。でも、天然な世襲政治家・翔太郎が、都知事選に立候補すると言い出した! 真面目な秘書・雲井は奔走し、妨害工作を退け、彼は都知事に当選する。だが、二人の前に次々と現れる難事件――テロ組織・アイスクリーム党による都議会襲撃、殺・ゆるキャラ「ケンダマダー」殺害、そして都の賓客である美人王女のダイヤ盗難……。支持率が急落する都知事が真実を明らかにするとき、東京の政治が変わる!?

<君は僕にとって世界一優秀な秘書なんだ>

面白かったー。
前作より小粒の事件が多いかなと思ったのですが、最終話ではそれらの裏に隠された真相が暴かれ、スケールの大きさを味わうことができました。
注目すべきは、やっぱり伏線の張り方の見事さで、今回もかなり注意深く読んだつもりでしたが「あれも伏線だったのか!」という驚きを何度も味わいました。
また、伏線だと気づいていないのに、その描写がちゃんと頭に残ってるから、再読の必要がほとんどないというのが本当にスゴイ。
ラストの翔太郎の台詞には吹き出しました。諦めてなかったのか!
続編なので仕方がないとはいえ、雲井の「翔太郎が天才かどうか」と疑う様子は前作ほど魅力的ではなくなりましたが、またまた次回作が楽しみです。

フライプレイ!監棺館殺人事件/霞流一 ★★☆☆☆

目前に横たわる女。それを見下ろす銅像のようなふたり。「さて、この死体をどうする?」「どうせなら本格ミステリ作家の名にふさわしい殺人にするべきでしょ!」切羽詰まった売れない作家と編集者による「禁じ手」に、彩りの探偵を据えての推理合戦、すべては怒涛の結末のために!名探偵メントのために!

長かった・・・。
再読して伏線を確認する気が起きないのでフェアなんだかどうなのかがよく解っていませんが(!)、終盤のドンデン返しの連続は確かに意外性もあって面白いのですよ。
ただ、そこまで引っ張っていけるほど魅力のあるストーリーではないといいますか。
名作ミステリにまつわるオブジェは興味深いし、結構なドタバタ展開なんですがねぇ。
帯にある『探偵スルース』で、ストーリーの流れが読めてしまって、面白さが半減したのもあるかも。

ずっとあなたが好きでした/歌野晶午 ★★★☆☆


国内外の様々な場所で、いろいろな男女が繰りひろげる、それぞれの恋模様。サプライズ・ミステリーの名手が贈る恋愛小説集……だが?


<誰かを想っていないことはありませんでした>

結構なページ数でとりとめのない内容の短編も多いですが、なぜか文章に乗ってしまいスラスラと読めました。
お気に入りは、好みの仕掛けだった「ドレスと留袖」
「舞姫」のラスト一行も一瞬「?」でしたが、しばらくして納得しました。巧いなぁ。
そして、やっぱり歌野作品は一筋縄ではいきません。
「黄泉路より」が既読のせいかもしれませんが、それぞれ説明不足だなぁと思いながらも普通の恋愛小説集だと割り切って読んでいたので、「女!」のラストで「マジか…!」とつぶやいてしまいました。
後から考えると、タイトルと表紙イラストのセンスも絶妙です。
いやぁ~、珍しく得した気分になりました。

その女、アレックス/ピエール ルメートル ★★★☆☆

おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。

<要するにこれがアレックス。
        これが自分のすべてだ>


ラストに意外な真相が用意されているのではなく、衝撃の事実が少しずつ明らかになり、その度に読者の感情を翻弄するタイプの作品。
あらすじほどの慟哭と驚愕はありませんでしたが、予想を超える展開に久しぶりに一気読みするほど夢中になりました。
捜査陣とアレックスの視点が頻繁に切り替わるのが効果的で、どんどん謎が増えていき、先が知りたくて仕方がなくなるのです。
斬新なストーリーにしては、「またかー」と思ってしまう真相だったのが残念。
警察側のキャラクターがそれぞれ個性的でいい味を出しています。
ラストの絵画のエピソードには胸が暖かくなりました。
思わず眉をひそめてしまう描写(真相もかなりエグい)が大量に出てきますが、映画化するのかしら。

ハケンアニメ!/辻村深月 ★★☆☆☆

伝説の天才アニメ監督王子千晴が、9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』。プロデューサー有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品だ。同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と人気プロデューサー行城理が組む『サウンドバック 奏の石』もオンエアされる。ネットで話題のアニメーター、舞台探訪で観光の活性化を期待する公務員…。誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び、新たな事件を起こす!

うーん、辻村深月だったらミステリじゃなくても大丈夫だろうと思ったのですが、やっぱり少しは「謎」が絡まないと楽しめませんね。
アニメ制作現場の状況が大体想像できる範囲だったのも新鮮味が足りず、最終話はともかく、他の短編は別の職業でもありがちなトラブルだなぁと感じました。
アニメ関係に限らず、働く女性を応援する作品として読むのが正しいのかしら。

闇に香る嘘/下村敦史 ★★★☆☆

村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、不適合だと分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。27年間、兄だと信じていた男は偽物なのではないか――。全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。

予想外の真相で伏線もバッチリ、結末までとても巧く考えられていて評判が高いのには納得だけれど、プロローグで期待したほど興奮するストーリー展開ではなかったかなぁ。
終盤の敵の企てなど、全体的にシリアスとエンタメのバランスが気になってしまったのですよね。
でも、視覚障害者の主人公が、外でいきなり腕を掴まれて動揺しつつも「もしかして手助けしようとしてくれる善意の人かもしれない」と気持ちを落ち着かせようとするシーンは繊細で印象に残りました。

Bハナブサへようこそ/内山純 ★★☆☆☆

僕―中央(あたりあきら)―は、大学院に通いながら、元世界チャンプ・英雄一郎先生が経営する、良く言えばレトロな「ビリヤードハナブサ」でアルバイトをしている。ビリヤードは奥が深く、理論的なゲームだ。そのせいか、常連客たちはいつも議論しながらプレーしている。今も、常連客の一人が会社で起きた不審死の話を始めてしまった。球を撞いてくれないと店の売り上げにならないのだが。気を揉みながらみんなの推理に耳を傾けていると、僕にある閃きが…。

デビュー作にしては文章はこなれているし、登場人物も個性的で最初は楽しめたのですが、鮎川哲也賞受賞作なのにあまりにも目新しさのないトリックや真相が続くので、だんだん読むのが面倒くさくなってしまいました。
もしかして最後に連作ならではの真相が用意されているのかと期待しましたが・・・何もなし。
ビリヤードに縁のない私からすると、最終話でやっとこの設定の面白さが出てきたかなという程度でした。
巻末の辻真先さんの選評にとっても共感。
品格はあるのかもしれませんが、何の発見もありませんでした。
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 2005年8月~

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