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オルゴーリェンヌ/北山猛邦 ★★★☆☆

書物が駆逐される世界。旅を続ける英国人少年クリスは、検閲官に追われるユユと名乗る少女と出会う。追い詰められた二人を救おうと、突如現れた少年検閲官エノ。三人は、少女が追われる原因となった“小道具”をいち早く回収すべく、オルゴールを作り続ける海墟の洋館に向かったが…。そこで彼らを待っていたのはオルゴール職人たちを標的にした連続不可能殺人だった!もう一人の少年検閲官カルテの支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。

<滅びる世界に音を刻むのですね>

序章の悪いおとぎ話のような雰囲気がとても魅力的で引きこまれました。
前作から7年ということで設定や世界観をほぼ忘れていましたが、この物語から読んでもすぐに馴染めそうなストーリーの運び方で安心しました。
連続殺人の物理トリックもどれも図解付きで親切な印象。
終盤のカルテの推理の荒っぽさに戸惑っていたところ、ラスト数ページでまったく予想外の展開に息をのみました。
私好みのサプライズと切なさが一緒にくるタイプの真相で、あまりロジカルな作風ではないせいか衝撃度はやや低めでしたが、ストーリーとしては素晴らしかったです。
シリーズ2冊続けて読んでいればよかったと後悔しました。

TATSUMAKI 特命捜査対策室7係/曽根圭介 ★★★☆☆

壮一郎は特命捜査対策室7係に配属初日、5年前に起きた失踪事件をネタに量刑の取引を持ち掛けてきた岡田に面会するため、辰巳麻紀主任と本所東署に向かった。事件とは、小久保清二が突然姿を消し、兄の亮一が殺人犯として疑われた事案を指す。清二の妻が当時現役の刑事だった亮一を犯人だと訴えたことで、殺人犯捜査係が捜査に当たることになったが、何も掴めないまま、3か月後に捜査は終了している。岡田は、清二がヤバい仕事に手を出して消されたのだというが!?

二時間サスペンスのような内容なので曽根作品の捻りやサプライズを期待すると肩透かしかもしれませんが、とにかく文章が読みやすい(=台詞が多い)のでどんどんページが進みました。
粗暴だったりいい加減っぽい人物が律儀に約束を守ったりするところも、ストレスを感じさせず好印象。
タイトルにまでなっている辰巳麻紀の印象は薄いですが、夏八木と肥後さんのやり取りが面白いので、シリーズ化したら次も読むかな。

探偵少女アリサの事件簿/東川篤哉 ★★★☆☆

誤発注した大量のオイルサーディンとともに、勤め先のスーパーをクビになり、地元で『なんでも屋タチバナ』を始めた、俺、橘良太。すこぶる平凡な俺が、なんと殺人鬼の濡れ衣を着せられてしまう!そんな折、俺の前にわずか十歳にして自らを探偵と信じる無垢で無謀な美少女・綾羅木有紗が現れた―。殺人鬼の疑いを晴らすため、俺はしぶしぶ有紗と事件を調べはじめるが…。

<この泥棒ワトソンめえ!>

副題「溝ノ口より愛をこめて」とあるように、地域ネタをフルに活用したストーリーなので、詳しくない私としては常に距離を感じながらの読書でした。
有紗のパパママの格差など、楽しいキャラクターでユーモア満載なのはいいけれど、ミステリとしてはどれも平凡なトリックで物足りなかったです。
一つくらい「おっ」と感じる真相が欲しかったなぁ。

アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎 ★★★☆☆

奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL……。情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが紡ぎ出す、数々のサプライズ! !

<もうすぐ君の出番だぜ>

何気ない恋愛話なのに面白かったです。
小説の成り立ちも引用されている歌詞も知りませんでしたが、エッセイを読んでいたので「斉藤さん」はきっとあの人のイメージなんだろうなぁとすぐに気づきました。
(やっぱりメロディーを知らないと歌詞はちょっとピンとこないかも、という感想。)
相手の手にかかれた「シャンプー」の文字を声に出して読んでしまう、などほのぼのとした空気感がいいですね。
今回は珍しく伏線の回収が強引で、「さすがにこのエピソードは拾わなくても」と感じるものがいくつかありましたが、作中で繰り返される「相手にバツの悪い思いをさせる」手法が伏線だったとは驚きました。
ラストの中学生も(再)登場シーンが目に浮かんで爽快な気分になりました。

処刑までの十章/連城三紀彦 ★★★☆☆

ひとりの平凡な男が突然消えた。弟直行は、土佐清水で起きた放火殺人事件、四国の寺で次々と見つかるバラバラ死体が、兄の失踪と関わりがあるのではと高知へと辿る。真相を探る度に嘘をつく義姉を疑いながらも翻弄される直行。夫を殺したかもしれない女に熱い思いを抱きながら、真実を求めて事件の迷路を彷徨う。

<六時過ぎじゃなくて、五時七十一分よ>

早い段階で直行の視点に固定されてしまったのと、あらすじにあるバラバラ死体事件がなかなか発生しないことで、直行の推理や義姉との駆け引きが堂々巡りのような印象を受けました。
評判通りなかなかの中途半端な結末ですが、義姉の度重なる嘘や、直行のあやふやな記憶が湧き出たあたりで大体予想がつくので、物足りなさは感じませんでした。
次々と幻想を生み出す筆致はとても心地よく、「五時七十一分」のような謎や意外な事実が少しずつ明らかになる展開はさすが「連城ミステリ」で、楽しめました。

怪しい店/有栖川有栖 ★★★☆☆


骨董品店で起きた店主殺人事件、偏屈な古書店主を襲った思いがけない災難、芸能プロダクションの社長が挑んだ完全犯罪、火村が訪れた海辺の理髪店でのある出来事、悩みを聞いてくれる店“みみや”での殺人事件。「どうぞお入りください」と招かれて、時には悪意すら入り込む。日常の異空間「店」を舞台に、火村英生と有栖川有栖の最強バディの推理が冴える。極上ミステリ集。


火村の秘密に迫りそうで、なかなかそうはいかなくて、ともどかしい気持ちになったり、火アリのほのぼのとした会話は楽しいです。
でも、ミステリとしてはどれも驚きや決め手に欠けていて消化不良の読後感でした。
印象に残ったのは「ショーウィンドウを砕く」で、ずさんな犯行だし最後の追い詰め方も予想通りでしたが、ラスト一行が好みでした。

化石少女/麻耶雄嵩 ★★★☆☆

学園の一角に建つ壁には日暮れると生徒たちの影が映った。そしてある宵、壁は映し出した、恐ろしい場面を……。京の名門高校に次々起こる凶悪事件。古生物部の部長にして化石オタクのまりあが、たった一人の男子部員をお供に繰り出す、奇天烈な推理の数々とは?

<先輩の推理は
  俺が必ずここで聴いてあげますから>


独特のゆがんだミステリを楽しむことができました。
舞台が小学校でも殺人事件を起こすタイプの作家だということをすっかり忘れていたのか、最初の事件には少し動揺してしまいましたよ。
どの短編も、潔いほど偶然に頼りまくりなトリックですが、発想が面白いし、何より解りやすかったです。
特に「自動車墓場」の真相が鮮やかで好みでした。
そして、どの事件も結局背景や動機が見えないまま終了するモヤモヤした感覚が堪らない。
毎回の彰の全否定っぷりがやりすぎに感じてしまったのは残念だし、インパクトにもやや欠けますが、2人の関係性を巧く生かしたオチは麻耶作品っぽくて好みです。
あと、化石から得られるヒントがささやかすぎて、これならリリヤン部だったとしても何とか捻り出せたのでは?とか思ったけれど、化石と同じくらい彰の失恋のエピソードは要らない気がするのです。
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 2005年8月~

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