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水の時計/初野晴 ★★★★☆

暴走族<ルート・ゼロ>の幹部である高村昴は、ある晩、謎の男・芥に閉鎖された病院へ案内される。
そこで彼を待っていたのは、脳死状態でベットに横たわった状態で、月夜の晩に限り機器を通して話をすることのできる少女・葉月だった。
葉月は、自分の臓器を必要とする人たちに与えて欲しいと昴に頼むのだが・・・。
第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作品。


<いきる、ことも、しぬこと、も・・・・かなわなかった>

モチーフは、オスカー・ワイルドの『幸福の王子』。
王子の像がツバメに頼んで、貧しい人々に宝石を運んでもらうというストーリーを、現在の臓器移植のテーマに置き換えるという発想が素晴らしい。

2人の出会いから続く3つの章では、臓器移植を必要する患者側のドラマが描かれています。
視力が弱りつつある6歳の子供、マニラで腎臓移植をする手続きをしたOL、心臓疾患のある元高校教師。
昴は彼らの前に姿を現し、「もらうじゆうと、もらわないじゆう」を確かめようとするのですが・・・。

冒頭の『幸福の王子』の引用は途中で終わっていますが、最終章のタイトルで納得。
なぜ臓器の運搬役に昴が選ばれたのか。
ラストの葉月の「独白」に涙が止まりませんでした。

横溝賞のわりにはミステリ色は薄いのですが、伏線の張り方が絶妙です。
ファンタジー性が高いので非現実的なシーンが多く目に付きますし、キャラクターも類型的で新しさがありません。

それでも、私の読後に残ったのはただ感動と深い余韻でした。
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 2005年8月~

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