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繭の夏/佐々木俊介 ★★★★☆

育ての親である伯父の事業の行き詰まりにより、カナリア荘で2人で暮らすことになった姉弟、祥子と敬太郎。引越し当日、部屋の掃除をしていた祥子は、天井裏から古ぼけた人形を見つけるが、その中の手紙の内容に姉弟は驚く。<ゆきちゃんはじさつしたんじゃない。まおうのばつでしんだんだ>
その部屋は以前、8年前に自殺した伯父の娘・咲江が使っていた・・・。


<ねえ、新しい生活のスタートに難事件を解決なんて、
                胸がドキドキするとは思わないの?>


第六回鮎川哲也賞、佳作受賞作品。

「スリーピング・マーダー」ものです。
ずっと昔に起こったはずの殺人事件を、時間を遡って推理していく、「回想の殺人」のこと。
8年前に「自殺」で片付けられた2人の死に疑いをもち、夏休みオンリーの探偵となった、祥子と敬太郎。
この2人が交互に語り手となるので、とても読みやすいし、退屈しません。
「模像~」では本格風でしたが、今回はとても優しい文体です。

感想は、面白い!の一言。
謎がどれも私好みで、終始、ワクワクしながら読みました。
真相はそんな驚くモノではないですが。
でも、「ああ、だからあのときの手紙で、あんなこと書いてあったんだ~」など、納得する箇所がいくつも。
「そんなご都合主義な」とツッコミたくなる部分もあるのですが、ちゃんと伏線があるのですよね。
読み返すと、とても緻密な計算がされていることがわかります。感心するほど。
動機は一般的に考えると弱いですが、伏線がある故、この作品の中では許せました。
なにより、トリックとそれに付随する謎の解明のくだりが巧い!
関係者が協力的すぎることや、通常、初めに確認すべきことを放っておく彼らの行動など、不自然な点もいくつかあるのですが。
天井裏に人形を隠した理由が判明したとき、とても切なくなりました。
以下、内容に触れています。OKな方は【】を反転(ドラッグ)させてご覧下さい。
「後味が悪い」との批評を読みましたが、そうかなぁ?
だって、あの場面は○の○のことでしょう。
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 2005年8月~

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