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魔王/伊坂幸太郎 ★★★☆☆

思いがけない「力」を手にした兄弟の物語。

想像していたストーリーとは違っていました。
もっと近未来が舞台だと思っていたのですが、環境汚染、病原菌による輸入規制、失業率の悪化、北朝鮮の核の保有など、身近な問題がどんどん提示されています。
うん、これは一緒に考えないといけない。
他人事ではなく、一人ひとりの意識が大切だ。
・・・とは思うのです。しかし・・・。

兄を、共感しにくい極端な人物に設定しているせいか、とても読むのが辛かったです。
それどころか、恐怖を感じてしまいました。
<でたらめでもいいから、自分の考えを信じて対決していけば世界が変わる>
兄の信じる「考え」が一体何だったのか、政治家・犬養を何でそこまで恐れるのかが理解できない。
ただ「ファシズム」だと決めつけ反対してるだけで、結局、兄が世界をどう変えたいのかが、全く伝わってこない。
しかも、「でたらめでもいい」って。
こちらの方が危険思想なのでは。

アンダーソンに降りかかる災いや、ムッソリーニと恋人の終焉のエピソードなど、「ファシズム」の恐ろしさや、それに抗する勇気も描いてあるのはとても効果的だと感じました。
それと対照的な蝋燭のエピソードも。
ここで「統一された行動」の是非を問われることになります。
そして、兄の思想の貧弱さも浮き彫りになります。

世界をどう変えるべきか、など私たちが考えるきっかけになるための作品だと思えば、よく出来ているのかもしれません。
そのための「考えろ考えろ」でしょうし。
彼らは「流されている」私たちに対して警告を発しているのですね。
それでも、私の読後感は「犬養のような政治家が出てきて欲しい」なのですが・・・。

この兄弟を「魔王の恐怖を父親に訴える子ども」に例えるにしても、やはりそれが本当に「魔王」なのかどうかわからない。
ただの「霧」や「枯葉の音」なのかもしれない。
それよりも、具体的な反論も持たずに漠然と力を使う彼らの方が、よほど「魔王」に思えました。
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 2005年8月~

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