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凍りのくじら/辻村深月 ★★★☆☆

藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから5年。
残された病気の母と2人、毀れそうな家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、思い掛けず現れた1人の青年・別所あきら。
彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう・・・。


前2作で意図せずとも理解不能な女を描いてしまう筆力を自覚したのか、今回の主人公への不快感はもうぶっちぎりトップです。
それでも前作は、上巻での嫌な女のイメージが下巻で好転する効果があったので良しとしますが、今回は全くもって無理。
許容範囲を軽く超えました。

一番驚いたのは理帆子の金銭感覚。
彼女のポリシーは『時間とお金を天秤にかけるなら迷うことなく時間をとる』。
制服のシャツも気に入ってるワンピースも全てをクリーニングに出し、勿体無いという感覚がない。
そして、誘われるとすぐに合コンに出かけるほどフットワークが軽い。
そこで思うのは『どこからそのお金は出てるの?』ってこと。
父親が失踪、母親が入院中なので、入院費や生活費は父親の親友が工面してくれている。
特に記述が無いので、理帆子はバイトもしてないし、きっと彼女の遊興費は大学の費用まで出そうと言ってくれる父親の親友からの生活費から出ていると推測。
頼るのは仕方が無い状況かもしれないけれど、彼女は申し訳ないという気持ち、または謙虚な態度を一切表さないのです。
自分で稼いだお金でもないのに、上記のポリシーを言い放つ彼女の厚顔さが最後まで気になって仕方ありませんでした。
それとも、こんな考えは彼女の言葉を借りると「貧しい」のかしら。

あと、理帆子と「他人に対する現実感の薄さ」が共通している元カレの若尾(注:とびっきりの美形)。
彼の性格が原因で別れたけれど、呼び出されると会いに行く。
どうして読み手も解るくらい危険な男なのに拒否しないのか。
全ての作品に通じる「依存し続ける関係」にはもうウンザリ。
感情移入できないってば。
ただ、彼の外見が変わった途端、理帆子がドン引きするのには笑ってしまいました。
(もちろん内面も共に酷くなったのだろうけど、外見に頼るモノがとても大きかったと察する。)
散々「自分は頭が良い=他の女の子とは違う」と主張しておきながら、そんな普通の反応はないだろう。

かなり早い段階でラストのオチが解るのには逆に驚きました。
いつもミステリの真相はどうあれ、いくつか仕掛けられてたサプライズは評価してたんだけどなぁ。
すべて予想通りで意外性が無かったのはとても残念。
キーパーソンとなる別所あきらのキャラがのび太くん並みに弱かったのも残念。

まぁ、ここまでメッタメタにけなしておきながら、終盤(2シーン)ではしっかり泣いちゃいましたけどね。
前作とは比べものにならないくらい、あざとさ100%の演出なんだけど、ああいうシーンにはからっきし弱いのです。
思わず鼻をすすったりして・・・悔しい。
きっと、次回作も読んでしまうだろうなぁ。
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 2005年8月~

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