スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

セリヌンティウスの舟/石持浅海 ★★★☆☆

2年前、石垣島でのダイビングツアーで遭難した6人・美月、清美、麻子、三好、礒崎、児島は、それ以降、信頼で結ばれた、かけがえのない仲間になった。
そんな彼らを突然襲った美月の自殺。
彼女の死の意味を考えるために集まった5人は、美月が飲んだ青酸カリ入りの小瓶のキャップが閉められていたことに疑いを持つ。
彼女の自殺には協力者がいるのか?


題名のセリヌンティウスとは、太宰治『走れメロス』でメロスの身代わりになった友人の名前です。
重要な役どころにも関わらず、全く名前が記憶にないなんて寂しいですね。

この作品内では、「自殺した美月=完走したメロス」、「自殺に至るまでの心境や方法を考える5人=セリヌンティウス」と例えてますが、これが上手いんだかそうでないのか。
大体、協力者がいるのでは?と疑う根拠からして、あまり魅力を感じないのですよ。
小瓶のキャップがなぜ閉められていたのか、とか、なぜ小瓶が倒れていたのかとか、私がメンバーの1人だったら、完全に見過ごしたでしょうね。
作中でも「考えすぎだって」という台詞が頻繁に出てきますが、まさにその通りだと!
あと、他殺の可能性を全く考えないのもどうか。
ミステリなので、てっきりその流れになるのだと最後まで期待しちゃいましたよ。
その不満を解消するべく登場するのが、彼らの「信頼関係」なのですが・・・。

彼らは2年前、ダイビング中に遭難し、お互い支え合った経験から、当時ほぼ初対面に近い6人が「固い信頼」で結ばれたわけですね。
死と隣り合わせの状況で手を取り合い輪になって漂流する(この輪を「舟」に例えるのは良い!)・・・そこで生まれる絆。
これは経験がない人にはあまりピンとこない状況ではないでしょうか。
少なくとも、ダイビング経験ゼロ、シュノーケリング経験1回の私に感情移入は絶対無理。

しかし、この設定が作品全体の主軸となっているので、受け入れられないと非常に辛い。
2、3ヵ月に1度、海へ行く時に顔を合わせるだけの仲間なのに、「美月はこうするはずだ」「私たちの誰かがそんなことするはずがない」と断言するのですよ。みんな。
(それほど理解してるのに、美月が思いつめていることを誰も気付かなかったのですよね・・・)
そして、協力者がいても、殺人者がいる可能性を考えない理由は、あの遭難時に心を1つにした仲間を殺せるはずがないから。
しかし、主人公の児島がこっそり仲間の1人と交際してる時点で、他のみんなも隠れてゴタゴタしているとか、疑いを持たないものかなぁ。
こんな「信頼関係」を基に「どこまで信じるんだ!」とイライラするロジックが延々続きます。

石持さんは毎回、独特の状況や動機をテーマにロジックを展開していくので、スッキリせずとも斬新さが楽しめたのですが、今回の読後感は「海で遭難した仲間の信頼関係って凄いんだなぁ」という、ただそれだけ。
『月の扉』のように、部外者の介入があればまた違ったのでは・・・。
うーん・・・次回作に期待します!

最新記事
検索フォーム
記事一覧

 2005年8月~

カテゴリ
プロフィール

めみ

Author:めみ
FC2ブログへようこそ!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。