1962年、西新宿・十ニ社の花街にある洋館「鸚鵡楼」で殺人事件が発生する。表向きは"料亭"となっているこの店では、いかがわしい商売が行われていた。時は流れ、バブル期の1991年。鸚鵡楼の跡地に建った超高級マンション「ベルヴェデーレ・パロット」で、人気エッセイストの沙保里はセレブライフを送っていた。しかし、彼女はある恐怖にとらわれている。「私の息子は犯罪者になるに違いない」パズルのピースがはまるように、絡まり合うすべての謎が解けた瞬間、経験したことのない驚愕と恐怖に襲われる。
『殺人鬼フジコの衝動』は確かに読んだはずなのに印象が薄く、真梨さんの作風を忘れていたせいか、題名からして、この作品を探偵が登場する本格ミステリだと思い込んでしまったのですよね。 鸚鵡楼の事件があっという間に終わったことにも拍子抜けしましたが、第三章になると、もう一体何を読まされているのかと混乱することに。これまた文章が上手いので、読みたくないのにめっちゃ読みやすいという腹立たしさが。 そして「半世紀にわたって繰り返される悲劇」にしては、真相があっさりしていてボリュームに見合っていないような印象。 スラスラと一気に読めるので、岸田るり子や折原一のような作品をイメージしていれば楽しめたのかも。 | |