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金春屋ゴメス/西條奈加 ★★★★★

21世紀初頭、北関東と東北にまたがる1万平方キロメートル足らずの領土が、「江戸国」として日本からの独立を宣言する。専制君主と鎖国の問題で日本の属領になった江戸だが、入国するには300倍の競争率を突破しなくてはならない。江戸出身で、後に両親と国外へ出た大学生・辰次郎は、病身の父親の頼みで応募するも1度で当選、入国することに。彼の身請け先は「金春屋(こんぱるや)ゴメス」。ゴメスは、辰次郎に致死率100%の疫病「鬼赤痢」の謎を追えと命じる。

第17回 日本ファンタジーノベル大賞・受賞作。
タイトルに興味を惹かれ手に取ったのですが、読んで良かった!
これは面白いです。

辰次郎はいまどきの若者っぽくスレているのかと思いきや、とても素直で思いやりのある男の子。
ずっと音信不通だった父親と再会し、病身の彼の頼みで江戸行きを決心するのです。
15年前、なぜ辰次郎と両親は江戸を出たのか。
なぜ、辰次郎は1度で江戸の入国許可が下りたのか。
プロローグがとても意味深なため、これらの疑問が解けるあたりは快感でした。
そこから話は一気に、最大の謎「鬼赤痢」へと向かいます。

もう何と言っても、ゴメスを筆頭に、裏金春に関係する人々のキャラクターが素晴らしい!
地蔵のような十助、辰次郎と一緒に入国した江戸マニアの松吉と旅行好きの奈美、ゴメスと唯一渡り合える粟田和泉守。
そして、兄貴分の甚三たちが語るゴメスの武勇伝が、とても愉快でその都度吹き出してしまいます。

一貫したテーマはかなり深刻ですが、この「つくられた江戸」の設定が十分に活かされてます。
真相が明らかになると同時に、江戸の建国に至る経緯が判明するという構成も巧いです。
そして、何を書いてもネタバレになるので自重しますが、私のツボを刺激する要素が満載!
ラストシーンは情景が目に浮かぶようで、じーんときました。

ただ、悪人が多すぎて個性がいまいち掴み辛かったことや、伏線があまりに少なく謎解きの楽しみを味わえないのが残念。
中盤での辰次郎の記憶探しなんて、謎自体はとても魅力的なのに、新事実をただ追いかけるだけなので単調に感じました。

星5つは少し甘いですが、読ませる力とドラマ性は抜群です。
ぜひ、続編を希望します!
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 2005年8月~

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