殺してしまえば判らない/射逆裕二 ★★☆☆☆

首藤彪34歳、現在無職。妻の死の真相を解明すべく、現場となった東伊豆の自宅へと引っ越してきた直後、陰惨な事件やトラブルに巻き込まれてしまう。その渦中で知り合った奇妙な女装マニアの中年男・狐久保朝志。外見に似合わず頭脳明晰、観察力抜群な彼の活躍で、彪の周囲で起こる事件は次々と解決していく。さらには、妻の死の真相まで知ることとなるのだが・・・。

このタイトルを見て、前作『みんな誰かを殺したい』も図書館で予約するのに勇気が要ったことを思い出しました。
前作は内容を完全に忘れてしまいましたが、無理矢理な展開でもスピードがあり、結構面白く読めた覚えが。
しかし、本書は・・・読後、脱力しました。
私の読み方がどこかおかしかったのか?

34歳にもなって一人称が『ボク』である主人公。
妻が倒れていた書斎で、事件後、何かが無くなっているような気がする。
しかし、それが何なのか思い出せない。

この主人公がなんとも腹の立つキャラで。
謎を突き止めるため、調査するのかと思いきや、一向にその気配は無く、喫茶店のウェイトレスに恋をしたり、家庭菜園を始めようとしたり。
あなたも療養が目的?と疑問に。
(後に、これらの行動も理解できるのですが・・・謎の真相にはかなり不満が。)

くどいほど同じ説明が出てくるせいか、読み難さを感じました。
「義母が東伊豆に家を建てたけれど住んでいない理由」と、「近所に住む瀬田島さんとの今までのトラブル」がこれでもかってくらい繰り返し描かれてるのです。
大して重要なことでもないのに。

そして、中盤、主人公は殺人事件に遭遇するのですが、これは必要だったの?
狐久保さんの活躍の場が欲しかっただけ?
妻の死に全く無関係だということで、ある意味驚きました。

唯一、ミスリードはややあからさまにしろ、「そうきたか」と思いました。
しかし・・・。
真相の部分で、『でもあの時、○○のように見えましたが・・・』『それは単なる間違いよ』って。
・・・間違いかよっ。
それに、こんなところで読者目線になっちゃダメ!
仕掛けを会話で説明してどうするの~。かなり興醒め。

読者を引っ掛けようとする試みは良いのですが、前作よりも強引さが目立ちました。
とても意味ありげな伏線(っぽいモノ?)も最後まで放りっ放しなのですよ。
やはり、私の読みが浅かったのか?
こんなに荒いミステリはめったに出会わないので、自分の感想に自信が無くなってきました。

まえがきに『ローマの休日』に関してサブリミナル効果を狙ったとの記述があるのですが、そこに驚きの真相があると期待して良いのでしょうか。
あえて、DVDをレンタルまでして確認はしませんが。

女装マニアの探偵と自称・オペラ歌手の設定も、必要なのかどうか。
もっと突き抜けたキャラだと思いきや、いたって普通だし。

巻末に続編の予告がされてるのですが、本当?それともネタ?
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 2005年8月~

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