首藤彪34歳、現在無職。妻の死の真相を解明すべく、現場となった東伊豆の自宅へと引っ越してきた直後、陰惨な事件やトラブルに巻き込まれてしまう。その渦中で知り合った奇妙な女装マニアの中年男・狐久保朝志。外見に似合わず頭脳明晰、観察力抜群な彼の活躍で、彪の周囲で起こる事件は次々と解決していく。さらには、妻の死の真相まで知ることとなるのだが・・・。
このタイトルを見て、前作『みんな誰かを殺したい』も図書館で予約するのに勇気が要ったことを思い出しました。 前作は内容を完全に忘れてしまいましたが、無理矢理な展開でもスピードがあり、結構面白く読めた覚えが。 しかし、本書は・・・読後、脱力しました。 私の読み方がどこかおかしかったのか?
34歳にもなって一人称が『ボク』である主人公。 妻が倒れていた書斎で、事件後、何かが無くなっているような気がする。 しかし、それが何なのか思い出せない。
この主人公がなんとも腹の立つキャラで。 謎を突き止めるため、調査するのかと思いきや、一向にその気配は無く、喫茶店のウェイトレスに恋をしたり、家庭菜園を始めようとしたり。 あなたも療養が目的?と疑問に。 (後に、これらの行動も理解できるのですが・・・謎の真相にはかなり不満が。)
くどいほど同じ説明が出てくるせいか、読み難さを感じました。 「義母が東伊豆に家を建てたけれど住んでいない理由」と、「近所に住む瀬田島さんとの今までのトラブル」がこれでもかってくらい繰り返し描かれてるのです。 大して重要なことでもないのに。
そして、中盤、主人公は殺人事件に遭遇するのですが、これは必要だったの? 狐久保さんの活躍の場が欲しかっただけ? 妻の死に全く無関係だということで、ある意味驚きました。
唯一、ミスリードはややあからさまにしろ、「そうきたか」と思いました。 しかし・・・。 真相の部分で、『でもあの時、○○のように見えましたが・・・』『それは単なる間違いよ』って。 ・・・間違いかよっ。 それに、こんなところで読者目線になっちゃダメ! 仕掛けを会話で説明してどうするの~。かなり興醒め。
読者を引っ掛けようとする試みは良いのですが、前作よりも強引さが目立ちました。 とても意味ありげな伏線(っぽいモノ?)も最後まで放りっ放しなのですよ。 やはり、私の読みが浅かったのか? こんなに荒いミステリはめったに出会わないので、自分の感想に自信が無くなってきました。
まえがきに『ローマの休日』に関してサブリミナル効果を狙ったとの記述があるのですが、そこに驚きの真相があると期待して良いのでしょうか。 あえて、DVDをレンタルまでして確認はしませんが。
女装マニアの探偵と自称・オペラ歌手の設定も、必要なのかどうか。 もっと突き抜けたキャラだと思いきや、いたって普通だし。
巻末に続編の予告がされてるのですが、本当?それともネタ? | |